今日から映画「男たちの大和」が公開されるな。わしの職場は,この映画のロケセットから海を渡ってすぐのところにある。この映像は,わしが車を止めとる駐車場から写したもんじゃ。
これは,八九式高角砲。正確に言うと「40口径12.7センチ連装高角砲A1型改三」じゃそうな。大和の片舷に6基ずつ,計24門装備されとった訳じゃな。
この高角砲が12基装備されとるときが大和としては一番見慣れた型で,プラモデルもほとんどこの型じゃな。わしも子供のころから何回も大和のプラモを作ったが,こればっかりじゃった。
大和がこんな型になったんは1944年3月。それまでは,下側の高角砲3基のとこに15センチ三連装副砲が装備されとったんじゃね。同型艦の武蔵も同じような改装を受けたんじゃが,こっちは高角砲が間に合わずに25ミリ三連装機関砲だけが増設された。ここら辺りにも当時の日本の限界が見えるの。
高角砲や機関砲を山のように搭載した大和。へぇじゃが,周知のとおり既に時代は空母と航空機の時代。対空戦に高度に特化した射撃管制装置や電波近接信管を持たず,空母も既に無かった日本海軍では,アメリカ海軍に到底太刀打ちできんかった。それを承知で有効な航空援護も無く沖縄に向け出航させた当時の日本海軍は許せん。もう出撃しょうにも燃料も無かったのに,どういう意図だか降伏もせず国民をだましながら戦い続けた。ここら辺の事情は,テレビの特集番組でもよぉやっとるんでそっちを見てね。
遅くとも,東京でアメリカのB29が赤ん坊や年寄りも含めて10万人以上焼き殺すのを防げんかった3月の時点で降伏すりゃあ,沖縄,広島,長崎での大量虐殺は防げたはずのにのぉ。
このところ日本技術の誇りのように言われとる大和じゃが,今日色々なサイトを検索してみて疑問に思ったこと。それは,大和がいかにも冷暖房「完備」じゃったように書いてる人が多いこと。多分そりゃ間違い。冷房装置は確かに有ったが,乗員のためのものじゃなくて,機械や弾薬の冷却用。戦闘時以外は乗員区画の冷房にも使われたが,確か一般の兵員区画には冷房は無かったはず。南洋作戦時に冷房の無い兵員は戦わなくても弱ってしまったというような文章を何かの本で読んだ記憶があるんじゃがの(もっとも大和型以外の艦には,冷房が全然無かったんじゃけぇ,それでも随分ましなんじゃがね。)。
これが正解のような気がする。
あと,建造技術全般で世界最高いう記述もあるが,数値は忘れたが,主機の蒸気タービンの最大圧力がドイツのものに比べると大分低く,大きさに対して出力と燃費が大分悪かったとか。ここら辺りも書いてる人は少ないな。
ところで,元に戻ってこの映画じゃが,わしは見に行く気は今のところ
無い。
プライベートライアンやスターリングラードなんぞだと何とも無いんじゃが,日本人が先の大戦で死んで行くのは,見とお無い。多分見た後の感想は,映画の内容じゃぁのぅて日米両国であの戦争を起こして指導した奴らに対する(-_-メ)しか残らんような気がするでのぉ。