福井県に伝わる夏の風物詩、「油団(ゆとん)」。和紙の敷物
https://ameblo.jp/shibaracu/entry-10953274754.html
2011-07-14 14:37:08
子供の頃に何度か味わったことがある。
なんでこんなゴワゴワした変に歩くと音がするもの使ってと。
何も知らなかったので端をすこしずつめくったりしてサキ
怒られたのを覚えている。
http://www.handmadejapan.com/features_/ft007_01.htm
から抜粋掲載
柱影映りもぞする油団かな 虚子
油団と書いて「ゆとん」と読む。油団のことが気になり出したのは、この高濱虚子の俳句を目にしてからだ。夏の季語として使われる油団は、柱影が映り込むほどにつるつるした表面をもつ和紙製品である。どうしても実物が見たくなって探した。さて、どこで作られているものやら。
その前に、まず油団について調べてみた。『広辞苑』では、“紙を厚く貼り合わせて油または漆をひいたもの。夏の敷物に用いる”と極めてあっさり。和紙のことなら何でも載っている『和紙文化辞典』(わがみ堂出版)では、“数枚の紙を張り合わせて油や漆を塗り、絵を描いたものもある。夏の敷物に用いた。パークス*の『日本紙調査報告』は大和を油団の名産地とし、『貿易備考』は、奈良県吉野町野々口のほか、福井県福井市と遠敷郡、愛知県知多郡、新潟県北蒲原郡、埼玉県熊谷、東京府下などを産地と記している”とある。どうやら昔は日本各地で作られていたものらしい。
* ハリー・パークス(Harry Smith Parkes)
1856年に在日公使となったイギリス人。当時の日本で作られていた紙製品をことごとく集め、本国に送ったのものが、パークス・コレクションとして、現在ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館などに保存されている。その中に油団の小片も含まれている。
というわけで、虚子が句に詠んだ油団とは、クーラーが普及する以前、蒸し暑い日本の夏には、見た目にもひんやりとした涼感があり、透過性が高いため体温を逃してくれる、すぐれものの敷物であることが分った。
良質の和紙をたくさん使用し、手間のかかる作業なので、昔でも高額商品であったためか、庶民の暮らしにというよりも、名家や料亭などで使われることが多かったようだ。上手に使えば3、4年目からあめ色に変化してゆき、70年から100年は使えるという。100年ももち、しかも上手に使えば美しさを増すとあっては、これは立派な工芸品といえる。奥深い和紙の実力を見る思いがする。
今では油団を作ることができる唯一の店、表具店『紅屋 紅陽堂』の牧野輝男さん、友美さん父子を福井県鯖江市に探し当て、油団の制作の一場面を見せていただき、お話を伺うことができた。幸運だったことは、油団の制作は一年に一度だけ、4月から始めて6月には終わるということで、ちょうど6畳の油団を作り始めるところだったことだ。今年はもうこれ1枚だけ、と牧野さんはおっしゃる。作るのには広い場所が要り、手間がかかる、天日に干すには屋根に持ち上がらなければならない。こうした諸々の制作上の制約のため作り手が減ったことも消滅の一因ではあろうが、日本の夏から油団が姿を消したのは、私たちのあんちょこな涼しさを求める生き方でもあっただろう。大都会の夏は、室外機から吹き出される熱気で、窓を開けても涼風が通り過ぎることはなく、とてもクーラーなしでは寝つくことができない。でも、私たちはそれが健康によくないばかりか、自然を傷めていることにも気づきはじめている。和紙の厚さにより異なるが、だいたい13~15枚が貼り重ねられると、えごま油を手で塗ってゆく。硬化油なので手が熱い!と感じるくらいの温度にまで上げて、布を使って2度塗りする。裏には柿渋を撒く。そして、たっぷりえごま油を吸い込んだ3坪10平米の一枚紙を乾かすのがまた一苦労。一日中快晴であろう日を狙って、3人かがりで屋根まで持ち上げる。だから梅雨がくる前に仕上げなければならない。
一度は屋根からつるりと落としてしまい、だめにしてしまったこともあるという。大敵は鳥。糞を落とされたらもう直すことができない。鳥よけの赤い布を針金に結んで渡して、後は鳥が上空から糞を落とさないことを祈るばかり。
開け放たれた作業場の窓にも、赤い紐が何本も吊り下がっている。窓を開け放して作業するので、鳥が飛び込んでこないためだそうだ。また、この頃は作り手も年をとってきて屋根に運びあげるのが危ないので、室内で干すようにしているという。
3mmほどの厚さに打ち合わされた油団は、冬場は丸めて納屋などに保管されることが多い。季節が巡ってきて再び広げた時、端がめくれあがり足をとられるようなことがないため、専用の留め金も考案されている。薄めで堅い油団が上質とされ、良質の和紙を使うことと、油をたっぷり染み込ませることが肝要。牧野さんの作る油団は、広げて暫くするとぴたっと畳に添い、端がめくれることはないという。修理のために持ち込まれた古い油団は、しみ一つないものから、端がちぎれていたり、数カ所に穴があいているものまで。油団の運命も使う人次第というわけだ。
私の訪問にあわせて昨日広げた、とおっしゃる30年以上たつという油団は、すでにしっとりと畳に馴染み、庭の緑陰を映しこみ、逆光をうけて艶めかんばかり。
時代のたった細かな編み目の藤の敷物も美しいし、漆を拭き込んだ欅の床も美しい。しかし、油団は、和室にふさわしい敷物として、今までに見たこともない種類の美しさを持っている。
牧野さんは、子供の頃、よく親に、油団のうえで昼寝をすると風をひくよといわれたものだとおっしゃる。数年前、福井テレビが室温と油団上の温度をセンサーで計ったところ、油団の上は室温より2度低かったという。和紙の力、恐るべしである。
もう作らないのですか?
牧野父子の口ぶりからは、世の中が必要としなくなった油団は、もう作る必要はないんじゃないか、という雰囲気が伺える。作るほうの苦労ばかりではなく、使うほうも、2日にあげず乾拭きをしたり、糠袋で拭いたり、涼風のたつころには丸めてしまったり、初めのうちは水分をこぼしたままにしておくとシミになったり、重い家具をのせておくと型が残ったりと、世話が焼ける。しかし、初めは白っぽかった油団が、次第にあめ色に変化し、堅く丈夫な表面をもつようになり、それからは水をこぼしても、家具を置いても大丈夫。手作りのものは、手をかけて育てるという心意気があってこそ、美しさを引き出すことができるというが、油団もそのようだ。作り手の制作能力にちょうどみあうくらい、油団を欲しいという人が居て、この手仕事の技が消えてしまわないことを願うばかりだ。
●「油団(Adobe PDF)
http://www.supercom.ecweb.jp/magazine/yuton.pdf#search=' 油団'
●油団 - 特集記事:福井新聞
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/feature/index.php?cat=339&author=37
●行燈と油団(あんどんとゆとん)
http://www.washiya.com/washinomokuji/0009.html
◆●ゆとん●油団●通販私はしてません 何故私の処にアクセス一日200超えてます
https://ameblo.jp/shibaracu/entry-11338790838.html
●油団(ゆとん) 夏の風物詩 | 志葉楽のブログ
https://ameblo.jp/shibaracu/entry-11319015324
2012/08/02
アメモバーで 油団(ゆとん)とが キーワードとしていた。
◆ゆとん。それは、江戸時代に生まれた「科学で解明できない」夏の ...
https://sunchi.jp/sunchilist/sabae
2019/08/14
福井県鯖江「紅屋紅陽堂」の職人に聞く、夏を涼しく過ごすエコアイテム
投稿日: 2019年8月14日
産地:
鯖江
編集:
長谷川賢人
大人になると夏休みも数えるほど。外に出かけてゆくのも楽しいですが、ただ寝そべって涼む時間も贅沢だなと思う今日この頃です。
涼しく過ごすアイテムを探していて、江戸時代から伝わる夏の敷物があることを知りました。
天然素材の「涼感マット」?
その名は「油団 (ゆとん) 」。エアコンなどの電化製品の普及とともに姿を消しつつありましたが、近年のエコ意識の高まりで、改めて注目されるようになった暮らしの道具です。
聞くところによると、敷いておくだけで部屋が涼しく感じられて、触れるとひんやりと冷たいのだとか。これは試してみたい。
幾重にも張り合わせた和紙にえごま油を塗って作られる油団。かつては全国各地で作られていましたが、製造技術を受け継ぎ、今も作り続けているのは福井県鯖江市の表具店「紅屋紅陽堂」の職人さんのみなのだそう。その技法は、福井県指定無形民俗文化財に指定されています。
◆【動画あり】油団(ゆとん)とは?福井産の夏の敷物で日本の涼を体感!
https://co-life-style.com/yuton/
2019/09/19
筆者が油団を知ったきっかけは、数年前にテレビ東京の番組『和風総本家』で
紹介されたのを観たときでした。
さまざまな伝統工芸や職人などを紹介する大変素晴らしい番組ですが、
油団の紹介がされた回は、格別印象深かったことをいまでも覚えています。
和風総本家は毎回超難題のクイズが出題されるのですが、このときもご多分に漏れず
分かるはずもない問題だったように記憶しています。
油団なんて存在自体ほとんどの人が知らないのに、クイズの正解が油団だったのです。
出演者の東さんが「分かるわけねーだろ」と突っ込んでいたような気がしています。
◆handmadejapan.com [日本の手しごと]/Shopping
http://www.handmadejapan.com/shopping_/sp_ft007.htm
油団はすべて注文制になっています。
現在、牧野さんで作って下さる油団のサイズは、2畳ものです。一畳サイズが2枚つなげられ、二つに折って平たい状態で収納できるようにとの工夫から作られたものです。価格は2畳で26万円です。
今回、handmadejapan.comでは、特別にお願いして、1畳の油団を作っていただくことになりました。小さいものなら年寄りでもできるでしょう、と輝男師匠が受けてくださいました。お昼寝用には1畳がぴったりと思います。
◆●sample-148油団(ゆとん)と障子の家●
http://www.washiya.com/b2b/ipec21/sh/sample1/148/index.htm
永森建設モデルハウス
玄関を上がると、いきなり油団(ゆとん)の間(笑)に・・・
ここはこの家の主独り占めの書斎となるとのこと。
羨ましい。
ウーン、寝てみた~い
★和紙屋の杉原商店 http://www.washiya.com/index.html
◆福井県の文化財 | 油団の製作技術 - 福井県ホームページ
http://info.pref.fukui.jp/bunka/bunkazai/sitei/mukeimin/25yuton-no-seisakugizyutsu.html
油団の製作技術 │ ゆとんのせいさくぎじゅつ │
指定 県
種別 無形民俗文化財(民俗技術)
管理者 牧野 友美
所在地 鯖江市田村町
指定年月日 平成26年3月28日
油団は、何層にも貼り重ねた和紙の表面に荏胡麻油を塗り、鏡面のように磨いたものである。触れると冷たいことから夏用敷物として重宝された。その歴史は明らかではないが、明治期の記録によると、江戸時代後期には全国的に生産が行われていたようである。しかし、近年のクーラー等の普及や和室の減少等から需要が激減し、現在は鯖江市の「紅屋紅陽堂」で生産されるのみとなった。
油団はまず、仕上げの大きさになるように(6畳用であれば6畳の大きさ)鳥の子紙といわれる和紙を貼り合わせ、その上に楮100%の和紙を貼り重ねていく。1枚貼るごとに「打ち刷毛」で垂直に強く叩き、下の紙の繊維と一体化させる。和紙を13~15層貼り重ねた後、裏面に柿渋、表面に荏胡麻油を塗り、天日で5日程度乾燥させ、1ヶ月ほど寝かせた後、木綿の布でつぶした豆腐を擦り込んで艶を出し完成となる。完成品は3~4mmの厚さとなる。完成直後は淡い茶色であるが、使い込むうちに深いこげ茶色になっていく。
油団の製作は現在、「紅屋紅陽堂」のみで行われており、和紙産地である本県に伝わる技術としても貴重なものである。油団の製作技術の技術保持者は、油団の技術を受け継ぐ「紅屋紅陽堂」の3代目である牧野友美氏。
◆武田邦彦 (中部大学): 環境よもやま話 その三十 油団
http://takedanet.com/archives/1013799097.html
◆自然と伝統勉強会 その9 : 武田邦彦 (中部大学)
http://takedanet.com/archives/1013798205.html
2007/04/15
ふたたび、油団 ―
「油団」と書いて「ゆとん」と読む。
この素晴らしい敷物についてはこのホームページでも何回か書いた。
伝統的な日本の敷物で、7月、梅雨が開けたら倉から出してきて座敷に敷き、夏を過ごすと秋口には豆腐か雪花菜(きらず:おから)を使って丁寧に拭き、また倉にしまう。
六畳の油団を巻いてしまえる倉を持っていなければならないので、庶民には少しほど遠いものではあるが、それでも伝統の智恵が詰まっている敷物である。
今回は伝統に学ぶということで単に「素晴らしい」というのではなく、この敷物について少し科学的な光を当ててみることにする。
油団は、現代風の工業製品に見られない次の特徴がある。
1) 電気を使わなくても涼しい
2) 買った時より20年ぐらい経った方が良い
また「素晴らしい」と言いたくなるが、本当に素晴らしい。まず、第一に、環境に優しいと言うことである。現代のクーラーは電気を使って冷媒を液化し、それが再び蒸発する時に潜熱を周囲から奪う。それで冷やすわけだが、また電気を使って冷媒を液体に返さなければならないので、結果的には周囲の温度を上げる。周囲の環境は暑い季節にさらに温められ、自分だけが涼しい。利己的環境制御の典型的なものである。
第二に、買った時には、見かけはそれほど素晴らしいものではない。あわいベージュ色であり、和紙で作られたということが一見して判る。つやもそれほどでもない。しかし20年も使うと、その上品さといったら相当なものである。油団を敷いてあるということ自体で座敷は上品になる。
★武田邦彦教授 ガリレオ放談 第30回 「油団の不思議」 伝統材料と日本文化 1
https://youtu.be/TkhiKWec1uU
14,961 回視聴
•2012/07/12
小学館ブックピープル
チャンネル登録者数 3960人
『2015年放射能クライシス』(小学館/1,260円)の著者、武田邦彦教授によるShogakukan Book People連載 http://bp.shogakukan.co.jp/takeda/
★武田邦彦教授 ガリレオ放談 第30回 「油団の不思議」 伝統材料と日本文化 2
https://youtu.be/kqnztM5o_zA
14,961 回視聴
•2012/07/12
小学館ブックピープル
チャンネル登録者数 3960人
『2015年放射能クライシス』(小学館/1,260円)の著者、武田邦彦教授によるShogakukan Book People連載 http://bp.shogakukan.co.jp/takeda/
◆油団 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/油団
油団(ゆとん、ゆたん)は、日本の伝統工芸品の一つで、敷物として使われる。
幾重にも貼り重ねた和紙の表面に荏胡麻油を、裏面に柿渋を塗って作られる(漆が用いられることもある)。
暑さをしのぐため、夏場に畳の上に敷く(俳句の夏の季語にもなっている)。
100年以上使い続けることができる場合もある。
手や裸足で触れると、ひんやりした感じがある。
汗を吸収する際の気化熱の作用が冷感をもたらすのではないかと推測されている。
幕末にイギリスの駐日公使を務めたハリー・パークスが興味を抱いて持ち帰った切れ端がヴィクトリア&アルバート博物館に保管されている。
秋になると巻いて、土蔵などに仕舞われる。1枚の油団を仕上げるのに上質な和紙を15~20層分使い、和紙を1枚貼る度に打ち刷毛で叩く。
8畳のもので約1万回叩かれ、3~4ミリメートルの薄さになる。
作っているのは福井県鯖江市の表具店「紅屋紅陽堂」のみである。
◆『油団(ゆとん)って知ってますか?』 http://amba.to/NOHKWN
◆油団とは - 季語・季題 Weblio辞書
油団とは?季語・季題。
紙を厚くはり合わせて、油または漆をひいたもの。夏の敷物に 用いる。[季]夏。
読み方:ユトン(yuton)
「油団」の用例一覧
・久生十蘭 平賀源内捕物帳 長崎ものがたり (青空文庫)
『指された 辺 ( あたり ) を源内先生が眼で辿って行くと、床に敷いた 油団 ( ゆとん ) の端が少しめくれ、その下から紙片のような白いものが 覗出 ( のぞきだ ) している』
★現代俳句データベース(人名)
低く吹く風に身をおき渋油団
作 者 桂信子
季 語 油団
季 節 夏
◆油団 - 季語と歳時記 - きごさい歳時記
http://kigosai.sub.jp/archives/16303
2010/03/26
油団
2010/03/26
ゆとん
三夏
紙を厚く張り合わせて、油や漆を塗った丈夫な敷物。畳の上などに敷いてひんやりとした感触を楽しむ。
踏むやそもまたなつかしき油団かな
上川井梨葉「梨葉句集」
渋ゆとんくちなしの花うつりけり
室生犀星「魚眠洞発句集」
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