手術から約2週間。
ついにこの日がやってきた。
病理検査結果が報告される大切な日。
蓄積された大量のストレスが、ようやく放出される(かもしれない)日でもある。
先生のお話は夕方からで、主人が仕事を早退して病院にかけつけてくれた。
家族同席が基本だ。
相変わらず寝汗をかきながらその日を迎えた私。朝からため息ばかりが飛び出る。
同室の方が「大丈夫、大丈夫だから。」と励ましてくれないと、つい涙が零れそうになる。
張り詰めた緊張感が、どんな時も身体を支配し続けていた。
やがて夕方になり、看護師さんが私を呼びに来る。
早めに到着していた主人は病棟のデイルームにいたが、頃合いを見計らってカンファレンスルームへと案内された。
主人は「結果のこと、そこまで心配していない」と言っていたけれど、本当は心配だったに違いない。
私が逆の立場なら、髪の毛が半分抜けるほど心配する。きっと…………。
しばらくしてお忙しい先生が時間通りにやってきた。
心拍数上昇。背中は汗びっしょり。
部屋の片隅に置いてあるパソコンを早速いじれば、私のデータがいとも簡単に出てくる。
しかし文字は目に入らない。
あまりの緊張から私の脳は完全に停止していた。反面、先生は穏やかな表情と滑らかなマウスの動きで説明を始める。
パソコンのモニターには取り出した子宮や卵巣が映っていて、先生はどこが病巣であるかを丁寧に教えてくれた。
「私の子宮………もう身体にはないんだな」
なんて、ほんの少しセンチメンタルになったものの、そこにはガンが蔓延っていたわけで、むしろ綺麗に取り出してくださってありがとうございますと感謝すべきなのだ。
癌に冒された内膜はグレーに変色していた。
そこから垂れ下がった癌はやはり頸部まで届いており、しかし浸潤は見られなかったようで、取り敢えずホッとする。
次に細かい文字で書かれた一枚の紙が差し出され、これまた丁寧な説明がなされた。
そして私はようやく自分が1a期であったことを理解した。
リンパ転移無し
浸潤は2㍉/35mm中
抗がん剤治療なし
経過観察
これらの文字が脳内に到達した瞬間、どれだけ私の緊張を取り除いてくれたことか。
「よかったな」
主人の優しい声に思わず嗚咽がもれそうになった。………が、何とか堪える。
果たしてこの時の気分を、どう言い表せばよいのか。
安堵?勝利の雄叫び?
いやここはやはり【感謝】しかないだろう。
子宮体がんを見つける切っ掛けとなった父の死。
ガンと診断された私を素晴らしいお医者さまに紹介してくださったFDr.。
手術日を即座に設定し、何よりも私からガンを取り除いて下さったYDr.。
気の小さい私をいつも支えてくれた主人。
不安な入院生活を楽しませてくれた友人たち。
同じ辛さを味わっている(いた)SNSの皆さん。
本当に本当にありがとう。
もちろん、全てが終わったわけではない。
経過観察は一ヶ月に一度ほどあるし、何よりも自分が定めた目標(ダイエット)が待ち構えている。
術後の諸々だって、全てクリアしたわけではないのだ。
健康な身体を望むのなら、常に努力し続けなければ。
本当の意味での戦いは、恐らくここからスタートする。
でも今は少しだけ休みたい。
やっとまともな睡眠を手に入れることが出来たのだから。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます