やっぱり君が好き。

初めて愛車を車検に出した。

土曜日に預け、週末はディーラーに借りた代車を乗り倒した。
私の車よりもグレードの高い代車の乗り心地は良かった。
何がイイって、サイドミラーの折りたたみが電動なのだ。
私の車は、手動でしかたためないのである。

都心のデパートなどのスライド式駐車場へ車を入れると誘導員が叫ぶ。
「サイドミラーをたたんでください。」
私は誘導員の訴えをシカトしてエンジンを切り、ドアを開ける。
すると誘導員はさっきより少し大きな声で叫ぶ
「サイドミラーをたたんでくださいっ！」
私は車を降りてドアを閉めた後、運転席側のサイドミラーを
パコンと手で叩いてたたむ。
それを見た誘導員が申し訳なさそうな顔で
助手席側のミラーをたたんでくれる瞬間、
なんだか勝った気分になる。（本当は、負けてんだけどね。）

週明け代車をかっ飛ばし、ディーラーへ車検を終えた愛車を迎えに行く。
ディーラーの裏手には洗車したてでピカピカになった愛車が私を待っていた。

キチンと整備された愛車に乗り込みドアを閉める。
おもちゃみたいに軽いドアが「パスっ」と音を立てる。
アクセルがいつもより重く感じる。
思いっきり踏み込むと吹っ飛ぶ程加速した。
車体が軽いので怖いくらいにハンドルがきく。

信号待ちで窓を開けて、サイドミラーを手でパタパタしてみた。
あぁこれが私の愛車だ。
さっきまで乗っていた代車の事なんて一気に忘れるくらい愛おしい。。。

信号が青にかわると、
私と愛車は誰よりも早く加速して、
帰り道とは反対の方向へ走り出した。