吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

古い電工ナイフ

2012年07月24日 | 道具

電工ナイフといいます。日立武蔵という刻印は鋼の素材だそうです。
 

父の遺品の中にあったものです。
ちょっと掃除して刃を研いで、刃の付け根のカシメを締めてやりました。

以前、立ち読みしたナイフ雑誌に書いてあったのですが、電工ナイフのルーツは海軍ナイフ、船
員ナイフという旧日本海軍の支給品だったそうです。
むしろ、なぜ電工ナイフと呼ばれるようになったかの方がよくわからないらしい。
さらにそのルーツはヨーロッパのセイラーズナイフだそうです。直訳で船員ナイフですね。

「らしい」ばかりで何なのですが、そもそも歴史というものはそういうものです。
数学のようにきっちりとした答えはなかなかありません。
イイクニツクロウ鎌倉幕府も正しいとは言えないのです。

さて、その海軍ナイフの特徴です。
切っ先が尖っていないこと。
刃はまっすぐ。
柄に大型のD環がついていること。
ロック機構を持たないこと。

足場の悪い船の上で、ロープを切ることの出来る最小限の刃物ということのようです。
切っ先が尖ってないので、誤って身体に当てても怪我をしにくい。
まっすぐの刃は研ぎ易い。
柄のD環は落下防止の紐を付け易いように。
ロック機構がないので、片手で容易に折りたためる。

肥後の守もそうですが、造りはチープながら刃の材質は良くて、ちゃんと研げばよく切れます。
日常使いにとても良い道具です。

 


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