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ばりん3g

向上心がある人は、実は自尊心が低い?

2017年に発表された論文によると、自己中心的かつ自尊心が低く不安定な人は良心的な羨望を抱きやすく、自尊心が低い人は悪意的な羨望を抱きやすく、また自尊心が高く安定している人は羨望を抱きづらいという。

 

……1つづつかみ砕いで解説する。

まず、羨望は嫉妬とも言い換えることができ、これは格上の相手と比較することで生じる不快な感情を指している。で、羨望には大きく2種類あり、格上の相手と同等の能力・物品を得たいという良心的な渇望と、格上の相手を引きずりおろして自分と同等にしてしまおうという悪意的な渇望がある。

良心的な渇望は向上心とも言い換えられ、対象を研磨する達成意欲の1つになりうるが、悪意的な渇望はその動機に自己中心的な思考や失敗への忌避が絡むこともあり、あまり望まれるものではない。

今回の論文は、この良心的・悪意的な渇望と自尊心がどう関わっているかを追求する内容となっている。

 

自尊心という概念は非常に複雑であり、単純な強度だけでは語れない。今回の論文では、自尊心の安定性に焦点が向けられている。

推測と結果から、自尊心が安定している人は自己の基盤が確立していることから、自身の能力を知るための比較をあまり必要とせず、そのため比較から発生する渇望も少ないという。

逆に、自尊心が不安定な人は自己の基盤が願望で塗り固められていることが多く、自身のあいまいな能力基準を比較からの評価で補うため、比較から発生する渇望が多くなるという。また自己中心的かつ自尊心が不安定な人は良心的な渇望に掻き立てられ躍起になることが多く、簡単に言えば『負けず嫌い』のような状態になる。

ちなみに、自尊心が低い人は渇望に奮い立つこともなく、もしくは奮い立てるだけの余裕がないことから、ただ妬みをこぼし完璧主義者などに発展していくという。

 

ーーー一応言っておくが、

「アイツは常日頃から渇望する質も量もすごいから、アイツの自尊心は低いぞ!」

なんて『自尊心の高さこそ正義』と言いたいためだけに、この証拠を使うんじゃないぞ。

 

 

参考文献

Jennifer K.Vrabel VirgilZeigler-Hill et al. (2017) Self-esteem and envy: Is state self-esteem instability associated with the benign and malicious forms of envy?


論文を参考にいろいろ喋るブログです。

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