2010年に発表された論文によると、収入が増えても長期的な幸福度は変わらないことが確認された。
収入が増えれば買いたいものがもっと買える。
収入が増えれば行きたいところにもっと行ける。
収入が増えれば、生きたいように生きれる。
「だから、収入が増えれば必然と幸福になれる。できることが増えれば、幸福になれる」と私たちは思い、日々勤しんでいる。一部は収入を増やすことに躍起になり迷走したり、お金だけ欲しさに宝くじに家賃用のそれをつぎ込んだり、なんとも。
確かに、収入の増加は短期的な幸福となる。
給料袋が厚くなったとき、通帳の数字が増えたとき、単身で海外に飛ばされなんだかよくわからないポストに就いたとき。
人間は収入が増えた現実に快感を覚える。それらの快感は私たちが想像する通りの景色だろう。
が、その快感は刹那も持たない。長期的な幸福にはならないのだ。
快感が続かない理由はいろいろ考えられる。
「収入によって得られる快感は、他者や過去の自分との相対的所得から発生するものがほとんど。環境が変われば快感は一概ではない」とか。
「金銭があること自体は快感にはならず、その使い道によって幸福かどうかが決まる」とか。
が、もっと単純に。
慣れてしまうんだ、その収入に。
宝くじに当たった人が浮かばれないのはそのためだ。
収入が増えたときに幸福になれるかどうかは、増えた収入で何を買いたいか、どこへ行きたいか、どう生きたいのかが纏まっているかどうかとも言えるのかもしれない。
参考文献
Richard A. Easterlin, Laura Angelescu McVey et al. (2010) The happiness–income paradox revisited.