マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
写真やイラストはフリー素材を拝借しています。

沼(芥川龍之介)

2022年01月31日 | 小説の朗読

 

沼(芥川龍之介作)

 

文中の「Invitation au Voyage (旅への誘い)」は

フランスの音楽家アンリ・デュパルク作曲の歌曲。

 

 

            

 

芥川龍之介(1892~1927年)は

東京生まれの小説家。

「鼻」「羅生門」「ある阿呆の一生」など

多くのすぐれた作品を発表したが、

強度の神経衰弱のために自殺した。

・ 

 


待つ(太宰治)

2022年01月28日 | 小説の朗読

 

 

太宰治の短編小説「待つ」は、

省線のその小さい駅に、私は毎日、

人をお迎えにまいります。」

という一節で始まる。

省線とは、省線電車のこと

 

わたしは小学校に上がる前、親に連れられて

荻窪駅でこの省線に乗り降りした記憶がある。

チョコレート色の

鈍重な感じのする車両であった。

太宰は20代の終わり頃、荻窪に住んでいた。

彼の死の二年後に荻窪で生まれたわたしは、

案外、彼がなじんだのと同じような風景を

見ていたのかもしれない。

わたしが小さい頃の荻窪駅は、

古い木造の建物だった。

改札係は木製の低い柵に囲まれた中に立ち、

切符切りバサミをカチカチと鳴らしていた。

 

 

荻窪駅前から続いている

薄暗く狭い通路の両側には市場があった。

漬物や鮮魚などの猥雑なにおいに満ちており、    

夕方になると買い物かごを下げた主婦で

ごった返していた。

今の大きな駅ビルなどウソのような

昔々のことである。

 

太宰は、自分が住んだことのある

荻窪や三鷹周辺をイメージして

この「待つ」を書いたような気もする。

 

待つ(太宰治)

 

 

太宰治(1909~1948年)は、

青森県津軽出身の小説家で、

「晩年」「人間失格」「斜陽」

「走れメロス」「富岳百景」

などの著作がある。

 

ダメ人間だった太宰だが、

その著作では

ヒトの心情を見事にすくい上げ、

語り口のうまさと相まって

人気の高い作家である。

 


ふりだしにもどる 詞曲MARI

2022年01月25日 | 自作曲紹介

 

CDアルバムのリリース(2019年12月)の5か月後、

ちょうど新型コロナのために

初めて外出自粛になった頃の作品。

徹底してナンセンスな歌を作りたかったのです。

 

 

ふりだしにもどる 詞曲MARI

 

ふりだしにもどる  詞曲MARI

 

※ めぐりめぐりめぐる めぐりめぐりめぐる 

  「人と物 物と人  人と人 物と物」 

  めぐりめぐりめぐり 振出しに戻る

ナオミがネットで買ったケチャップを  

届けた宅ドライバーが  

車につるしてるお守りを  

出した神社の巫女さんたちの

ハカマを仕立てたお針子さんが  

昨日なくしたスマホを 

拾って警察に届けたミュージシャンに  

バンドを組もうよと声かけたのは

  なんと ヒロミ なんです

 

マサオが通ってる小学校で  

給食を調理してる人が   

猫にあげるはずのカツオブシで 

オデンをこしらえたばあちゃんの←

リューマチを治した女医さんの  

庭に来る植木屋さんが

大切に育てた真っ赤なチューリップを  

こっそりチャッカリちょん切ったのは

  なんと マサオ なんです     

※繰り返し

 

わたしのヘンテコリンな歌を   

イヤホンで聞いてる そこのあなたが  

ふらり立ち寄る純喫茶の  

BGMのCDのパッケージの

写真を撮ったカメラマンの  

ジャケットのポケットのビスケットをパクっと 

食べたチワワの飼い主と

ピンポンの試合で対戦したのは

  なんと わたし なんです

※繰り返し


見知らぬ犬(萩原朔太郎)

2022年01月22日 | 詩の朗読

 

 

見知らぬ犬(萩原朔太郎)

 

見知らぬ犬(萩原朔太郎)

この見もしらぬ犬が私のあとをついてくる、

みすぼらしい、後足でびつこをひいてゐる不具の犬のかげだ。

 

ああ、わたしはどこへ行くのか知らない、

わたしのゆく道路の方角では、

長屋の家根がべらべらと風にふかれてゐる、

道ばたの陰気な空地では、

ひからびた草の葉つぱがしなしなとほそくうごいて居る。

 

ああ、わたしはどこへ行くのか知らない、

おほきな、いきもののやうな月が、ぼんやりと行手に浮んでゐる、

さうして背後のさびしい往来では、

犬のほそながい尻尾の先が地べたの上をひきずつて居る。

 

ああ、どこまでも、どこまでも、

この見もしらぬ犬が私のあとをついてくる、

きたならしい地べたを這ひまはつて、

わたしの背後で後足をひきずつてゐる病気の犬だ、

とほく、ながく、かなしげにおびえながら、

さびしい空の月に向つて遠白く吠えるふしあはせの犬のかげだ。

 

 

萩原朔太郎(1886~1942年)は、

群馬県生まれの詩人。

詩集「月に吠える」「青猫」「純情小曲集」

小説「猫町」などの著作がある。

 


絵はがき(堀辰雄)

2022年01月19日 | 小説の朗読

 

これまでわたしは

「堀辰雄とは結核療養中に小説を書いた人」

くらいにしか知らなかった。

代表作を読んだこともない。

だからこの「絵はがき」が初めて読む堀作品である。

爽やかな詩のようなこの小品は、

1930年夏の

高原の避暑地からの楽しい便り。

わたしはとても心惹かれる。

 

絵はがき(堀辰雄)

 

堀辰雄(1904~1953年)は

東京生まれ、東大国文科卒の小説家。

肺結核にかかり、たびたび軽井沢で療養する。

代表作は「聖家族」「風立ちぬ」「かげろふの日記」など