上:2列互生し、片側2重に見える。下:葉裏に広幅の気孔帯
一足早いクリスマスツリーのよう
赤い仮種皮に包まれた種子
イチイ (一位 イチイ科 イチイ属 学名Taxus cuspidate 常緑針葉高木 雌雄異株 花期3,4月 別名:アララギ、オンコ) 名前は公家の正装(衣冠束帯)時に手に持つしゃく(笏)をこの木で作ったことに由来するとの説がある。高木になるが成長が遅いので木目が細かく加工しやすい。材の利用では飛騨高山の一位一刀彫が知られる。樹皮は褐色で割れ目が目立つ。葉序は枝の左右に2列に並ぶ。葉は長さ2~2.4cmほどの線形、葉の先端が鋭く尖っているが触れても痛くない。葉表は濃緑色で中央(主脈)が隆起、葉裏には目立たないが幅広の緑白色の気孔帯がある。雌雄異株で前年枝の葉腋に各々単性花がつく。雄花は肌色をした球形で多数つき、雌花は卵形で先端に小さな受粉孔が開いている。この孔に受粉滴を分泌し、花粉がこれに付着すると胚珠に導き入れて受粉する仕組みである。イチイの実(種子)は成熟すると赤い果肉(仮種皮)から黒い種子が覗く。果肉(仮種皮)は食べると甘い。一度に多く食べてはいけないとされる。生家の周りにはこの樹がなかったので児童の頃に食べることはなかった。もし身近にあったならば、空腹を満たす為ついいっぱい食って一度や2度は腹を痛めたであろう。種子にはアルカロイドが含まれ有毒である。種子を噛み砕いたり、誤って飲み込むなどすると危険。
属名Taxus Taxus はギリシャ語の弓 (材が弓作りに利用された)に由来
種小名cuspidate ラテン語 cuspida は槍 (葉の)先端が槍のように尖ったの意。