上:カンボクの冬芽(仮頂芽)麟芽だが裸芽っぽい 下:カンボクとアジサイの装飾花と中性花および両性花
カンボク (肝木 スイカズラ科 ガマズミ属 学名Viburnum opulus var. calvescens 落葉小高木 花期5,6月 果期10月頃) 葉は対生、葉身は広卵形で3裂(深裂、浅裂)、無裂葉も混じる。仮頂芽(混芽)が芽吹くと新梢を伸ばし、その下部に葉、先に散房状の花序をつける。花序の周囲には白い5片の装飾花がつき、中心部に小さな両性花が多数咲く。ガマズミ属の装飾花は花弁が変化したものであり、この装飾花の中心部に小さな柱頭らしきものがぽつりとついている。なお、アジサイの装飾花は萼が変化したものであり、この装飾花の中心には花弁を持つ中性花がぽつりとついている。カンボクの果実(核果)は球形で1cmほどもあり意外に大きく感ずる。秋に透明感のある赤色に熟す。完熟実を一粒食ってみたが酸味がかなり強かった。小鳥にも酸っぱ過ぎるのか、葉が落ちた後も長く枝に残っている。冬芽は仮頂芽が2個つき、合着した1枚の芽麟に包まれ裸芽っぽく見える(写真)。ガマズミの冬芽は2対の疎毛の生えた芽麟に包まれ、オオカメノキの冬芽は一対の芽麟が早期に脱落し裸芽状で冬を越す。
属名Viburnum ガマズミはギリシャ語<Viburnoに聞こえる> ラテン語Viburnum ヴィブルヌム
種小名opulus ラテン語opulusはカンボク 変種名calvescens はcalver+接尾語scens で、裸出+~ぽい、~ぽく変化した。さて、どこを指して裸出っぽいというのだろうか。裸芽っぽく見える冬芽のことだろうか。裸っぽく見える中性花だろうか。
テマリカンボク 学名Viburnum opulus var. calvescens f. sterile カンボクの1品種で両性花がすべて装飾花になったもの。オオデマリに酷似した手毬状に咲く。f. sterile は品種名.不稔(sterilitas)の意。