小説みたいなの書きました。
よかったら、読んでください!
あんまり手直ししてないです💦
心のひだまり
「わたしが間違えました。」
今朝、出社したらみきさんが、上司に仕事の報告をしていた。
なにかミスでもしたのかなと思ったら、
それ以上に深刻そうな顔をしている。
「わたしが、間違えました。」と何度も繰り返している。
彼女は、半年前に転職してきた。ハーバード卒でそつなく仕事もこなしスピーディにやる。普段、あまり人に謝らない彼女だがどうしたのだろうと、心配になるとみきさんがデスクに戻ってきた。
あまり刺激しないように、自分のパソコンで手を動かす。みきさんは、まだ思案顔。
周りの人は、それに気づいているのかいないのかわからない。いや、多分気づいている。
それでも声をかけない。
午後になると、わたしは営業先へ出発した。
外に出ると日差しが眩しかった。
初夏になると、体温がもともと高い私は、額にでた汗をハンカチでぬぐう。そのハンカチを会社のトイレにでるとき、おき忘れてしまった。
また戻ると、みきさんがいて、目があった。
泣いている。普段、笑顔のみきさんが。
「わたし、ホチキスが好きなんです」
「え?」
「ホチキスでパチンてやるのが。
それで書類がきれいにまとまる。
けど、昔、怒られたんです。
そんなことばっかり丁寧にやるなって。
ひどいですよね。
わたし、ホチキス好きなのに」
みきさんは、不思議な顔をしている。それでも話を続けた。
「この会社に入社して少し経ったころ、注意されました。
でも、しょうがないですよね。
まだ慣れてないし。
それなのに、怒られて。なんかむかついちゃいました」
「今じゃ、その話をした先輩はだいぶ偉くなりました。上のフロアの高見上司です。間違えてばかりのわたしに厳しく教えてくれて、まぁ昔はむかついたけど、今では感謝してます」
自分でなにが言いたいのかわからなかったけれど、みきさんになんとなく話してみたかった。
みきさんには、何か伝わっただろうか。
ちらっとみきさんの顔を見ると、
いつもの笑顔に戻っていた。
「ホチキス好きなんて変わってるね」
私は、来月、社会人進学することになっていた。
みきさんとももうお別れ。
これから先、なにがどうなるのかわからない。
けれど、みきさんには笑っていてほしい。
あの時、話したことは正解だったのだろうか。
人と人のつながりは、簡単に築けない。
それでも、本音で打ち上げあってバカする方が幸せだとわたしは思う。
みんなが笑顔でいられるよう、
幸せを願って。
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