2月の一大イベント、バレンタイン。
気づかぬふりをしていたら流れるように去っていきましたね。
皆さんはしっかり〝想い〟を伝えることはできたでしょうか?
さて〝想い〟といえば伝える前に込めたりすることもあるわけです。
チョコレートをつくるとか、マフラーを編むとか。
私も商品や作品をつくる際には度合いに差こそあるものの〝想い〟が注入されています。
※決して呪いではないのでご安心ください。
この〝想い〟というもの、
ひとつひとつ手づくりする内に自然と生まれるものもあれば、最初から決まっているものもあります。
商品のコレクションテーマ(コレクションごとのお題)や展示作品のコンセプト(概念)がそれに当たるのではないかと私は思っています。
こうこうこういったテーマ・コンセプトの元、こういうデザインでこんなものをつくりたい。
テーマ・コンセプトがあって生み出されたものには〝想い〟が元々込められているのです。
話は少し変わりますが、ものづくりをする際によくストーリーが大事というようなことが言われます。
確かにつくり手がどういう人なのか、どうやってつくられているのかなどがわかると購入する側も思い入れをしやすいし、より身近に感じます。
私も消費者としてそう感じることは多々あります。
例えば農家さんの顔写真があると安心感もプラスされます。
ストーリーは信頼に繋がります。
こうして考えるとストーリーも〝想い〟のひとつといえるのではないでしょうか。
しかしこのストーリーにテーマ・コンセプトが絡んでくるとどうも全て良しというわけにはいかないようなのです。
以前百貨店の催事で商品を出させていただいた際に、〝moon〟シリーズというものを準備していきました。
〝moon〟シリーズは簡単にいうと、少し欠けている部分があるくらいが魅力的であるということを伝えたくてつくったものでした。
しかしいざ説明をしようとすると、この商品テーマはお客さまが求めているものではないのだということに気付かされたのです。
というのも、催事では完成した商品がデザイン的に魅力的かどうかが大事であり、その他の要素は二の次になるからです。
いや、催事に限らず、まず第一にデザインというのは当然のことなのですが、そう思ったのには理由がありました。
「テーマがあるとその印象に引っ張られてしまう」
こう言われたのです。
例えば〝moon〟シリーズは、マイノリティ問題に対しての想いを私なりに表現したいとつくったものでした。
でもお客さまとしてはマイノリティの問題に対して共感したとしても、それで身につけたい!となるわけではないのです。
自分のイメージと合うかどうか、身につけた時にテンションが上がるかどうかが大事なのです。
説明で必要なのはテーマではなく「球体をあえて部分的に削ったことで光の反射が複雑になり、個性的に光りますよ」ということでした。
アイテムに込められた想いはこっそり隠します。
〝想い〟の押し付けはただの重石にしかならないこともあるという気づきは私にとって重要なことでした。
とはいえ世の中にはモノが溢れていて、自分がつくったものがその中のひとつになった時、どうしたら見てもらえるのか。
似たモノが並んだ時の差別化は、結局のところストーリーだったりテーマ・コンセプトだったりするのだろうと思います。
しかし全てを説明するのではなく、お客さまの中でイメージを膨らませていただくことも大事な要素。
このバランスが難しい。
私がつくるものの中でもしっかりテーマ・コンセプトを考えているものと、感覚的につくったものとがあります。
どちらがいいのかはわかりません。
基本的には伝えることはありません。
でも時々「これはどういう想いでつくられたのですか?」と聞いてくだささる方もいらっしゃいます。
そういう時には喜んでご説明させていただいております。
今回はブログというプライベートの場ということで、自由に書いてきました。
さて次回はこの流れでGlass×Urushiの〝変身シリーズ〟について語ってみようかなと思います。