身体にやさしい豆料理が食べたいと思い食品庫を探すと、丹波の黒豆と「リフライドビーンズ」の缶詰が出てきた。
黒豆をもどして厚揚かなにかと煮てみようかとも思ったが、ちと時間がないし少々面倒だったので、缶詰を温めてお手軽なメキシカンでマチューテになるのもいいかと・・・。
「リフライドビーンズ」
こいつはいんげん豆をにんにくと塩と油で炒めた素朴なもので、料理の付け合せやトルティーヤにのせて食べたりする。
缶を開けて固まったスライム状の塊をドゥルゥンと鍋に落とすが、缶の内側にまだいっぱいこびり付いているので、これがもったいないので何か液体を入れてこそげとろうと思った。
赤ワインなんぞがあればよかったが、運悪くというかまさに適材といおうか、ホセ・クエルボ社が誇るプレミアム・テキーラ、ブルーアガヴェ100%を原料にした「1800 レポサド」があった。
とたんに脳裏にはマリアッチのギターが狂おしくかき鳴らされ、テンションが上がっちゃってついつい缶の中にドボドボいれてしまうのであった。
テキーラで缶の中をきれいにし、鍋の中へ投入。
火にかけスプーンでかき回しながら、よせぁいいのに香辛料をタパタパ、タバスコをペチョペチョ、おまけにケチャップとソースなんぞも入れてしまい、素朴な豆料理が濃い何かに変わっていってしまうのであった。
テキーラが強く薫るねずみ色のペーストは、もはや本来のものとはかけ離れ、味見をしてもどっちつかずで締まりが無い代物で、調味料ごときではもうどうにもできないほど得体のしれないモノになっていた。
不味い、マズイ、まずい・・・・・、おそらく世界一マズイ豆料理になってしまった
さすがに体調がイマイチだと、魔が刺してこういう怪物料理をつくってしまうのだ。
こんなマズイものはマチューテさえ受け付けないであろう。
悲しい気持ちで、もう食欲は失せ、渋茶をすするのみであった。
翌日、自分以外の誰も手に付けないことは明白な世界一不味いモノを、それでも何とかしようと鍋を火にかけた。
まず、残念ながらもったいない「1800 レポサド」の酒っ気を完全に飛ばしてしまい、味を誤魔化すのにうってつけのカレールゥを溶かし、さらに牛乳と粉チーズを加え、なんとか味を整えた。
しかしこの「リフライドビーンズ」は粘りがあり、まるで飴菓子のようにビョーンと伸びて、カレーライスには不向きだから、玉ねぎのみじん切りを加えてドライカレーにするのが賢いとみた。
しかし病後のかあちゃんにはとても無理だから、小僧に食わすしかない。
変な喰意地でテキーラを無駄にし、メキシコの伝統料理をぶっ壊してしまったことを、メキシコ国民の皆様に深く陳謝いたします。
まだ本調子じゃないんだよねぇ・・・・・、
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