きっと雨男の師匠が家を出たのだろう、かあちゃんと「バーバーくん」と3人で駅へ行きみんなと落ち合い電車へ。
するとかあちゃんが思い出して、「シゲ面は」と叫んで気がついた
嗚呼、インクを使い果たして11枚もプリントして茶封筒に入れてデスクの上に置いておいたものを・・・・
(ここ、悲しげなメロディで)
♫ かあちゃんが夜なべをして つくう~ったシゲ面を ポンコツオヤジすっかり忘れ けいかーく台無しさ ♪
それでもまだ間に合うと、南千住で下車して小僧に電話して持ってきてもらうことにした。
北千住へ引き返し小僧の到着を今か今かと待ち、持ってきたものを見て諦めた。
シゲ面の入っている茶封筒と言ったのに、小僧が持ってきたのは結婚式の招待状だった・・・。
仕方がない、忘れたオヤジが悪いのだ。
こうなりゃスピーチ力でカバーしてやる
池袋の結婚式場へ到着したのはほぼギリギリ、教会の中でアーメンを聞きながら、ふたりの入場を待つ。
やがて純白の衣装を身につけた「シゲちゃん」が登場し(馬子にも衣装)、花嫁の「ミキちゃん」が続く。
参列者が口々に可愛いと呼びかけ、しどろもどろの新郎のあいさつをへてもろもろの儀式を終え、夫婦になったふたりが退場して、一同披露宴会場に移動。
正面に設けられた主役のふたりの席の新郎側のすぐに「シゲちゃん」の元職場の社長や諸先輩方、その隣りのチームモグランポの席につくと、お皿の上に手作りのメッセージホルダーとカード、各テープルには新婦の大好きなディズニーランドのお城や建物を模した装飾が出席者の目を楽しませてくれる。
披露宴が始まり、ふたりの職場の社長さん方がよどみなくとても上手なスピーチをしてくれて、続いてこのオヤジの乾杯の御発声となった。
以下、再録(たぶん)。
「ただいまご紹介いただきました私は、北千住で小さな店を営んでおります。
こちらのおふたりにはマスターと呼んでもらっておりますが、あちらのテーブルの連中からはポンコツオヤジなどと呼ばれている今日この頃でございます。
シゲちゃんとのつき合いはもう10年ほどにもなりましょうか、彼の職場の先輩と共に来店してくれたことから始まりました。
当時の彼は、強烈なキャラクターの持ち主の諸先輩方の中で目立たず大人しく、発するセリフと云えば“あー”とか“うー”ぐらいでありましたが、それから数年が経ち、なにが悲しいのか毎晩のように店で酔っぱらっていましたところ、幸運にもカウンターの横並びにミキちゃんが座ったのであります。
彼の先輩からは“シゲはやる時にはやる男です”と聞いておりましたので、なにをやってくれるのかと思っておりましたら、今日このような運びとなったわけでございます。
私の店には、カップルで来店され、やがて結婚し子供をもうけ、今では家族でいらしてくださる常連さんが何組もおります。
ですが、店で知り合ったお客さん同士が一緒になるケースはこの18年間で初めてのことでございます。
ですから感慨ひとしおで、そのような経緯で恐縮ながら本日乾杯の発声を賜わったしだいであります。
このおふたりの様々なエピソードをお話しするとなると、だいたい3時間27分ほどかかってしまいますのでそれはまたの機会に譲りまして、本日はひと言だけ申し上げたいと思います。
ふたりはいま幸せの絶頂ですが、この先、ふたりが生きた年齢の倍以上もの長い年月を共に生きて、家族を紡いでゆくことになります。
その時々で小さなことから大きなことまで、様々な決断をしてゆかなければなりません。
そうした時、胸の内を言葉にして、なんでも話せる夫婦になっていただきたい。
“あー”とか“うー”ではなく、思いの丈を言葉にして、いくつになっても“シゲキ的”な会話のできる夫婦でいてほしいと思います。
そして僭越ながらおふたりのご両親の言葉を代弁するとすれば、
“はやく孫の顔をみせてくれよぉ”
“はやく孫を抱っこさせてくれよぉ”
ということではないでしょうか。
えー・・・、ん(ここでチームモグランポの方を見る)長い失礼しました。
もう喉がカラカラだということで、乾杯の発声に移らさせていただきます。
えー、関係各位はお約束の準備をお願いします。
失礼して私も(と言って後ろを向き、懐から取り出したシゲ面をかぶる)。
(シゲ面の鼻のあたりをホジホジしながら正面を向き)それでは改めまして、シゲちゃん、ミキちゃん、結婚おめでとうございます。これから末永く幸せな家庭を築いてください。
(このとき、チームモグランポ一同と床屋軍団の一部、そして新婦のミキちゃんまでシゲ面をかぶっていて大爆笑をさそう予定であった・・・)
そしてますますのご両家の繁栄を祝しまして、乾杯 」
と、スピーチを終わる予定だったのに・・・・・残念。
だがなんとか大役を果たし席に戻ると、オヤジがなにかバカなことを言わないかとドキドキしながらかあちゃんが待っていて、ホッとしたのか手にしたシャンパンをこぼしてしまった😥
お酒が入って披露宴は活気づき、新婦が衣裳替えに向かい新郎がひとりになると、待ってましたとばかりに調子コキたちの暗躍が始まった。
新郎の席の下にあるお酒をこぼすバケツを取っ払い、ビールを手にした刺客が次々に列を作って新郎を取り囲み、ビールの一気飲みを強要するのであった。
そうこうしていると新婦が素敵なドレスで登場し、宴は粛々とすすみ、隣りを見れば娘をもつ鬼軍・師匠がシクシクと泣いているではないか
「マギー司郎」みたいなスーツで鼻をすすっているパパを見て、フン、そんなことぐらいで泣きおってとふんぞり返っていたオヤジだったが、新婦のご両親に挨拶にいった途端今までなんでもなかったダムが決壊して涙と鼻水が溢れ出てしまった
みっともないが、どうしようもない。
娘の親の気持ちになってしまって、どうにも涙が止まらない。
かあちゃんももうグシャグシャで、「ミキちゃん」のご両親と一緒に涙、なーみだの一幕。
自分たちの席に戻ってようやく落ち着き、泣きはらした目で「むっちゃん」に向かって
「悪いけどキミの結婚式には呼ばれても行かないから、なぜなら涙と鼻水を垂れ流すくそじじいになってしまうから」
と宣言し、師匠にも
「auちゃんの結婚式には呼ばれても行かないから、なぜなら涙と鼻水を垂れ流すくそじじいになってしまうから」
と、同じことを言うくそじじいになってしまった
そうは言っても、背中が大きく空いて胸の谷間が素敵な新婦のドレスに見とれながら、岩のような顔の新郎がどこかへ消えたのはゲーゲーしてるんだろうくらいに思っていた。
するとキリンの営業マンみたいな半纏に生樽サーバーを背負った岩が戻ってきて、反撃を開始した。
うぬ、お主なかなかやるでないの。
ここまでやられて拒むことのできない調子コキ1号「ホリちゃん」に、お口に直接生ビール。
当然次はヘタレ、そして仕上げはお約束の「ハマちゃん」に総攻撃。
なんじゃいこの絵は 歯医者がぐずる子供に治療してるんかい
そんなことがありーの、すこし収まるとまた師匠とオヤジはグスグスと鼻水をすすり、手作りの暖かく感動に包まれた披露宴は終了した。
新郎新婦とそのご両親に見送られ、雨男の師匠がグスグス泣いたためにますます激しくなった雨の中を会場を後にした。
いやー、娘の両親はつれーや。
もし当事者だったら凄まじく醜態を曝しちゃうぜ。
あーよかった、ただのクソオヤジで。
などと思いながら、駅の近くの居酒屋に落ち着き、泣いた恥ずかしさを怒りに変えて師匠とオヤジは「ヘタレ」を説教し、その返す刀で「ホリちゃん」と「ハマちゃん」も引っ叩くのであった。
そうして涙を乾かしていると、片付けて着替えた新郎新婦が合流し、あらためてプライベートで乾杯。
式では言えないこともずけずけとぶつけ、そうしないとまた師匠とオヤジは泣き虫さんになってしまうから・・・。
いい感じで酒を飲み、明日から新しい生活をはじめる夫婦を送り出して別れ、途中の電車で力尽きた「ハマちゃん」と「むっちゃん」とかあちゃんと別れ、師匠と「ホリちゃん」と「ヘタレ」と一緒にまたまたお約束の「壁夢」で、それまで元の職場の社長や同僚と飲んでいた「バーバーくん」と落ち合ってまた飲んだ。
大方の予想ではオヤジはここまでもたないで泣きながらつぶれると思われていたが、フン小僧どもめ 元気で元気すぎるんだよ、このオヤジは。
楽しくて嬉しくて、とても寝ている場合じゃねぇだろ
だが、「バーバーくん」と我が家に帰った後の記憶はない
嬉しくて楽しくてたっぷり飲み過ぎて飲み疲れて、久しぶりに両足の腿がつって苦しんで起きた。
きっと花嫁の父もこんな感じなんではないだろうか・・・。
「シゲちゃん」「ミキちゃん」お幸せに。
コメント一覧
mogmas
バビル3世
バビル3世
最新の画像もっと見る
最近の「迷想雑記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事