左の手首のあたりを3㎝弱切るくらいだから処置室みたいなところでチャチャっとやるのかと思いきや、ちゃんとした手術室に案内され、上半身は服を脱いで手術着を着てキャップを被ったがジーンズはそのまま、足首にはニューヨークの身元不明死体みたいにリストバンドをつけられた。
クラッシック音楽が静かに流れる手術室に入り、暖められた手術台に横になる。
男性医師が2人、ナースが3人、右腕に血圧計のカフが巻かれ、胸に心電計がつけられ、伸ばした左腕が切られるところが見れないように顔のところに衝立が設置された。
10数年前に左肘を粉砕骨折して針金を埋め込まれたことを思い出すが、あの時は手術室の天井のステンレスに手術の模様が映し出されていや~な気分だったが、今回は顔も布に覆われて血みどろの腕は見れないからちょっと一安心。
「なにかお好きな音楽をおかけしましょうか❓」
とナースが言うので、一瞬「YAZAWAで」と言いかけて思い直した。
メスが入るのに♪乗ってくれ Ha~Ha~♫なんてかかってもちょっとなぁ・・・。
心電計の電子音がピッ、ピッと規則正しく流れ、血圧計に圧がかかり腕が締め付けられる。
左腕の肘を垂直に立てて手のひらを開くと、消毒液がタパタパ塗られすっぽりと袋みたいなものが被せられた。
親指のすぐ下の手首のあたりに穴が開けられ、そこに局部麻酔の注射が打たれた。
それがちょっと痛いが、やがてぼんやりとした感じになり触られているのはわかるが抓られても痛くなくなった。
医師たちが互いの名を名乗り手術の内容を復唱し、手術が開始された。
心電計の音が少し早くなり、ビビリと思われないようゆっくりと深呼吸を繰り返して電子音を元どおりのリズムに戻す。
局部麻酔で痛みはないが、液体の冷たい感じ触られている感じはするし、音は聞こえるからあんまり冷静ではいられない。
ゆっくり深く鼻呼吸をして平常心を保つが、膝から下が震えだす。
おいおい、異常事態⁉
いや、手術室が寒いのだ。
震えが全身にきて歯の根が震える。
「痛くないですか❓」
医師が聞くので、痛くはないが寒いと訴えると、「あ、やっぱり」と医師の一人が言いすぐに室内の温度が上げられた。
それからだんだん暖かくなってきてウトウトしてきて、医師たちがする世間話しも手術器具がたてるカチャカチャ言う音も遠くぼんやり聞こえだす。
銃撃戦でタメージを受けたT-800が自分の腕を修理するイメージ、ダース・ベイダーに腕を切られたルークの痛み、それを病院船で医療ドロイドから治療されるイメージ、ブラックゴーストの手術室で目覚める009のイメージ、脈略もなくそれらのイメージが脳裏を駆け巡る。
どれだけ時間が経ったのか、
「血管を広げるのため液体を入れるので少し冷たいですよ」
と言う声で我に返ると、手首に冷たいものが流れる感じがした。
「あと10分ほどで終わりますよ」
との声で意識を左手に向けると、針で縫ってるような引きつり感がして、やがて消毒液で腕を拭かれる感じがして顔にかぶさっている布と衝立が取り除かれた。
手術灯が消され「お疲れ様」と声をかけられて左腕の傷を確認した。
まだ局所麻酔で掌は痺れているが、力は入れられる。
ゆっくりと起き上がって手術室を出た。
手術室をでるとかあちゃんがオロオロと寄ってきて、二人して術後の説明を聞いた。
傷口は防水のシールで覆われていてシャワーを浴びるのはいいけれど湯の中に浸すのはNGだとのことで、水仕事は要注意。
傷口から雑菌が入って感染症になるのが一番危ないので、水仕事をする時は手袋をしてなるべく濡らさないようにとのこと。
二週間はそのまま、シールが剥がれそうになったらその上からまた別のシールを貼って水がかからないようにすること、傷口にものを下げたり過度の力がかからないようにして、腫れたり痛みが酷いようならすぐに診察を受けることと注意を受ける。
二週間後くらいに抜糸できるが、その間にシャント(動脈と静脈を直接繋いで多量の血液が静脈に流れるようにする)を発達させて太くして透析の針を刺しやすくするため「ストレスリリーサー」をニギニギするのだそうな。
親父の時は「月影兵庫」みたいにクルミを2個クリクリやっていたけれど、こんな可愛らしいお星様かい😜
まあということで、手術直後を休みにして正解だった。
酷く痛む訳ではないが、用心のため痛み止めを飲んでしばらくしたら、こんなんなっちゃった😧
赤黒く血だまりが膨れて醜い。
親指の付け根は痺れているし、ピリピリした感じが不快だ。
まあ年内の営業はあと4日だから、水仕事には手袋をして、なるたけ焼きはかあちゃんに任せて養生した方がいい。
新年は6日から、傷を休めながらニギニギをして血管を育てて太くするのに努めよう。
まったく、傷だらけのジジイだな・・・。
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