一昨日は、国立西洋美術館「アルチンボルド展」を観たのでございます。
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2017arcimboldo.html
アルチンボルドの作品は過去に数点観た事あれど、画家については殆ど知らず、“寄せ絵”とか“だまし絵”の画家という認識だったのじゃ。
ところが本展を観て、マクシミリアン2世や神聖ローマ皇帝ルドルフ2世をはじめとするハプスブルク家の人々に寵愛された画家で、あのだまし絵チックな肖像画が大人気だったと知ったのでございます。
そして『四季』と『四大元素』の連作が一堂に会する、たいそう楽しい展覧会なのじゃ。
構成は以下の7章。お気に入り作品なども挙げまする。
★【1.アルチンボルドとミラノ】
《紙の自画像(紙の男)》
素描で、髪も髭も衣装も顔までも紙という、アルチンボルドの自画像。
アルチンボルドが影響を受けた、レオナルド・ダ・ヴィンチの素描などもございます。
★【2.ハプスブルク宮廷】
ハプスブルク宮廷に関連する工芸品や肖像画など並んでおりまする。
そして階段を上がると、お待ちかね『四季』と『四大元素』の連作が。
植物や動物を組み合わせた肖像画、アイデアも凄うござりますが、素材のひとつひとつが非常に写実的にしっかり描かれておるのも凄うござります。
宮廷で好評を博したというのも納得じゃ。
四面の壁に、《春》と《大気》、《夏》と《火》、《秋》と《大地》、《冬》と《水》が向かい合うように展示。
8点のうちお気に入り4点は、
《春》
80種以上もの花々が緻密に描き込まれ、色彩も華やか。
アジア、アフリカ、アメリカの花々も描かれてございます。
華やかなれどゴツい横顔に、男性かと思うたら女性とか。
《大気》
鳥みっしりにも程がある鳥アタマ、どこが顔やらわからぬほど鳥まみれですが、離れて観るとよう分かります。
皇帝の象徴の鷲や、ハプスブルク家の紋章にある孔雀もおるぞよ。
《大地》
こちらは動物みっしりみっしり。
ヘラクレスに関連するライオンや、羊毛騎士団に関連する羊は、皇帝を表しておるのじゃ。
《水》
こちらはお気に入りというより、不気味過ぎて「ひょえ~!」と一瞬ドン引くも、食い入るように観てしまう作品。
60以上もの水に関連する生き物が、緻密に描き込まれております。
こんなに不気味なのに、大粒パールのネックレスとバロックパールのイヤリングをしているところをみると、まさか女性かの?
次の部屋には連作8点の拡大パネルも展示され、細部までよく分かります。
他にも、素描『ルドルフ2世に献じられた馬上試合の装飾デザイン集』では、《コック》《龍の仮面をかぶった男》《ケルベロス》がお気に入り。
★【3.自然描写】
アルチンボルドの追随者の作品や、ブロンズの工芸品が並んでおりまする。
天井まで届く“クンストカンマー”(芸術と驚異の部屋)のパネルが何気に楽しい。
★【4.自然の奇跡】
アルチンボルド以外の画家の、多毛症の少年を描いた作品など。
★【5.寄せ絵】
アルチンボルド以外の画家の寄せ絵も色々ございます。
口にするのが憚られるブツの寄せ絵の顔のお皿にはびっくりですが、まさかこれに食べ物を乗せたりしたのじゃろうか。
★【6.職業絵とカリカチュアの誕生】
アルチンボルドは、モデルの職業に関する事物を寄せ集めて、風刺的な肖像画を描いたのでございます。
アルチンボルドの職業絵は3点。
《法律家》
鼻は羽根を毟られた鳥、顎はマスで、腹黒そうな法律家じゃと思うたら、アルチンボルドはこの人物を馬鹿にしておったらしい。
この肖像画はあまりに似ていて、皇帝や宮廷の人々に気に入られたそうな。
★【7.上下絵から静物画へ】
アルチンボルドの上下絵2点が楽しゅうござります。
《コック/肉》
皿の上の肉を逆さにするとあら不思議、ヘルメットをかぶった男の横顔に。
展示室に入る前には、めちゃ楽しい記念撮影コーナー“アルチンボルドメーカー”がありますぞ。
額の前に立つと、コンピューターが野菜や果物を組み合わせ、その人の肖像画を描くのでございます。
しかも正面顔だけでなく、横顔や斜め顔も。
わたくしもやってみとうござりましたが、数人並んでおる状態ゆえバッグから出られず、お供のEだけやりましたのじゃ。
結果・・・
Eは「似てない!」と申しますが、これはかなり似ておるかと・・・ぷぷぷ
誰も並んでおらなければ、わたくしも試したのにのぅ。
ウサギの耳はニンジンじゃろうか、ナスじゃろうか。
それともウサギはコンピューターが認識してくれぬのじゃろうか。
会期は9月24日まで。お勧めでござります。
平日の昼間、ガラガラでびっくりいたしましたが、今後TVなどで特集されれば混雑必至。
ご興味ある方はお早目に。
★おまけ画像
久々のDENで、バベルの塔チックなソフト巻きプリン。