東京都美術館「ブリューゲル『バベルの塔』展」を観たのでございます。
http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_babel.html
昨年から楽しみにしておった展覧会、単眼鏡もぬかりなく持参して平日午前中に行ったらば、危惧していた行列もなく中もさほど混んでおらず、ゴキゲンでございます。
今回の目玉《バベルの塔》はじめ、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻が約90点。
構成は以下の8章。お気に入りも挙げておきまする。
1【16世紀ネーデルランドの彫刻】
2【信仰に仕えて】
ボスとブリューゲル以外あまり期待せずに行ったらば(失礼)、たいそう好みな2作品が。
★枝葉の刺繍の画家《聖カタリナ》
★枝葉の刺繍の画家《聖バルバラ》
並んだ2作品どちらも美しく、特にドレスの布地の質感や植物の細密具合などツボ過ぎる。
描いた画家の名前は不詳で、背景の樹木の描写が刺繍の如く規則的に描かれておるゆえ「枝葉の刺繍の画家」と呼ばれておるのですと。
3【ホラント地方の美術】
4【新たな画題へ】
これまでの宗教画から、風景画・静物画なども描かれ始めたのでございます。
★ヨアヒム・パティニール《牧草を食べるロバのいる風景》
★ヨアヒム・パティニール《ソドムとゴモラの滅亡がある風景》
5【奇想の画家ヒエロニムス・ボス】
ボスの真作とされる作品は、油彩で25点、素描で10点ほどしかないのじゃ。
そんなボスの油彩2点、《放浪者(行商人》と《聖クリストフォロス》が展示されております。
背負い籠に吊るされた猫の毛皮や(ひ~!)、見つめるフクロウや、水差しでできた小人の家や、木に吊るされた熊などなど、細部まで気になるぞよ。
それぞれ4枚の拡大写真パネルの解説も分かり易い。
6【ボスのように描く】
ボスを模倣した作品も色々。
ボスの描いた奇妙な世界やモンスター、500年程前のブームだったのですな。
★ボス(彫板師不詳)《樹木人間》
ボスの没後に版画になった作品で、直径21cmの小さな円の中に奇妙な世界炸裂。
7【ブリューゲルの版画】
ブリューゲルの版画が22点展示され、隅々まで目が釘付け。
★ブリューゲル《大きな魚は小さな魚を食う》
本展の公式マスコット、足の生えた魚“タラ夫”も登場。
★ブリューゲル《大食》(連作『7つの大罪』より)
7つの大罪の中で、大食い大王なわたくしの罪はこれですかのぅ。
でもこの作品のように、川で溺れたり釜茹でにされたりは嫌じゃ。
★ブリューゲル《忍耐》
モンスター達の中で一番好きな、竪琴を背負った可愛い鳥が右側にちんまりと。
この子じゃ。(この活版印刷の絵葉書は特設ショップで購入)
8【「バベルの塔」へ】
最後のフロアに入ると、バベルの塔を拡大した天井まで届く壁が現れ、期待も高まるのでございます。
★ブリューゲル《バベルの塔》
ブリューゲルはバベルの塔を3点描いたそうですが、現存するのは2点。
今回のボイマンス美術館所蔵のものは、想像していたよりずっと小さくて驚愕。
この小さい画面に、超絶技巧の壮大な世界が広がっているのでございます。
緻密細密な塔や風景や、僅か3㎜ほどの人間を約1400人も描き込むなぞ、狂気の沙汰じゃ(←褒め言葉です)
細部を観るには、持参した6倍の単眼鏡でも不十分なほどでございます。
「バベルの塔」は旧約聖書のお話なれど、この作品に描かれた農村風景や塔の重機などは16世紀のネーデルランド。
ブリューゲルは船にも詳しかったそうで、海には様々な船が浮かんでおります。
塔の1つ1つ様式の違う窓は、年月の経過を表現しておるやも。
3DGC映像シアターの約7分半の「BABEL マクロの視点 ミクロの視点」も必見。
3DCG映像と合成画像でバベルの塔がよく分かり、楽しゅうござります。
東京藝術大学COI拠点複製画「バベルの塔」コーナーでは、約300%に拡大した複製画を展示。
ここまで拡大すると、何が描かれておるかも一目瞭然じゃ。
《バベルの塔》を観て、3DGC映像と拡大複製画を見て、再度《バベルの塔》を観ると「なるほどのぅ~」と思う点も多うございます。
特設ショップでは、バベルの塔の箱入りキャラメルやエッグスタンドや絵葉書など購入。
ガチャガチャはモンスターのピンズのみで、ちとガッカリ。
お供のEは、2010年のBunkamura「ブリューゲル版画の世界」展の時の、モンスターのフィギュアガチャを期待しておったのじゃ。
この時に運よく出た竪琴を背負った鳥は、オカメインコが棚から蹴落として竪琴が取れてしもうたからのぅ。
会期は7月2日までですが、いらっしゃる方は混まないうちにお早目に。
《バベルの塔》や細密な版画作品は、遠くからでは観辛うござりますゆえ。
お写真撮影コーナーで、タラ夫とツーショ。
大きさ比べ。
ロビーには、大友克洋の《INSIDE BABEL》も展示されてございます。
(写真撮影可)
そして表参道。2つのTOBICHIへ。
まずはメイン会場の、TOBICHI2「ヒグチユウコ バベル原画展」
https://www.1101.com/tobichi/higuchiyuko_babel/index.html
ブリューゲル「バベルの塔」展に合わせたヒグチユウコの作品集『BABEL Higuchi Yuko Artworks』の全原画が展示されておりますのじゃ。
ヒグチユウコ、大好きなのでございます。
「バベルの塔」展で展示中のブリューゲルやボスなどを元に描いた作品12点と、《表紙の文字》《奥付の絵》《タラ・ひとつめたち・タラ夫》
《ひとつめ一族の野望》はブリューゲルの《バベルの塔》、《略奪者たち》はボスの《放浪者》・・・などというように、元になった作品の小さい画像も添えられ、観比べる事ができまする。
どの作品も本当に素晴らしく、狂喜乱舞しつつじっくり観たのでございます。
何時間でも観てられるくらいじゃ。てかもうここに住みたいぞよ~。
作品はごく近くから観られますが、緻密細密なうえ会場が暗いので、単眼鏡より虫眼鏡を持参すればよかったと悔やんだのでした。
会期は5月7日まで。お勧めですぞ。
ブリューゲル「バベルの塔」展と共にぜひ。
わたくしも再訪する所存にござります。
窓の外は墓地なのよ。
3軒隣にあるもう1つのTOBICHIでは、ヒグチ作品の複製画やグッズなど販売。
今回の作品集『BABEL Higuchi Yuko Artworks』は、金色の箔押し加工が施されていたりなど、素晴らしい仕上がり。
TOBICHIで販売されている作品集は、直筆サイン入りでございます。
お写真撮影コーナーもあるのよ。
「バベルの塔展」の半券を提示すると、タラ夫の名刺が頂けるそうですが、うっかり提示し忘れてしもうた。
次回行ったら貰わねばw
★追記
タラ夫の名刺を頂きましたぞ。
裏面のヒグチユウコのイラストが楽しいのぅ。
名刺の下のちまいタラ夫は、「ブリューゲル版画の世界」展の時のガチャなのじゃ。