ウクレレとSwing(スヰング)音盤

A Man & His Ukulele (1969) / Eddie Bush


ジャケット写真では、ホノルルのハワイアン・ヴィレッジをバックに、満面の営業スマイルでカマカ・ウクレレを構えるEddie Bushの写真があしらわれている。後年には別のジャケット・デザインに差し替えられ、CD化も果たしている。ハワイ・Sea Shell Recordsからのリリース。60年代らしいサウンドで、内容はとても良い。

収録曲は以下
A1 Malaguena    
A2 Nostro Concerto
A3 Holiday For Strings
A4 Next Door To Paradise
A5 South Pacific Medley

B1 Traces
B2 Somewhere My Love (Theme From Dr. Zhivago)
B3 Under The Double Eagle & Stars & Stripes
B4 The Hands I Love
B5 Waiting For The Robert E. Lee & Swanee
B6 Little Grass Shack, Hukilau & Little Brown Gal

冒頭A1「Malaguena」のっけから熱がこもった大迫力の演奏で飛ばしている。同曲はオータサンも「The Many Moods Of Ohta-San(1976)」や、もっと古い60年代初頭の録音「Legendary Ukulele」でも既に披露しているが、聴き比べてみるのも一興か。アルバムのアレンジはBenny Kalama, Paul Mark and Bernie Hal-Mannとクレジットがある。このうちPaul Markは70年代にPokiレーベルでのオータサン諸作でキーボードを担当した人物で恐らく相違ないだろう。Benny Kalamaはソロ・アルバムが何枚もCD化されている程のウクレレ/歌手で、B4ではハワイアン・ファルセットの歌声も披露している。録音はSounds of Hawaiiスタジオ。

このEddie Bushという人は、昼は銀行マン、夜はミュージシャンという二足のわらじで息の長い活動を続けたウクレレ奏者で、ホテルでの観光客向けルアウ・パーティや、ラウンジ演奏が主戦場だったようだ。このレコードも、ラウンジ演奏で自ら一枚一枚手売りをしていたのか、本人サイン入りの盤が大量に出回っているのが面白い。本業が銀行マンだけに、マメな人だったのだろう。

兼業ミュージシャンながら、アメリカ本土、欧州、豪州、アジアをツアーで回り(有休取ったのだろうか)、ジョニー・カーソンやマイク・ダグラスなどのTVショウや、ラジオ放送のハワイ・コールズにも呼ばれたというから、なかなかのやり手である。1935年生まれというとオータサンとは僅か一歳違い(年下)であり、同世代のライバル的存在と位置付けても差し支え無かろう。

本アルバムのタイトル曲は、ウクレレ音楽のコンピレーションなどにも収録されるなど、非常に印象的な楽曲/演奏だが、実は原型と言えそうな演奏を、57年作と言われるDon Baduriaのレコード中に見出すことができる。同じくオータサンも2001年に同名アルバムでソロ・ウクレレ演奏を披露している。B3後半のStars & Stripes Foreverなども定番ウクレレ曲といえ、いずれも当時ハワイのウクレレ奏者にはお馴染みのレパートリーだったかもしれない。

なお本作が唯一のアルバムかと思いきや、これ以外にも日本での吹き込み盤の存在が海外のコレクターによって確認されている("Ukulele Hawaiian Golden Play"  Eddie Bush and his Blue Islanders / Overseas records)。


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