レーベルはBertram International Records、1957年作。ライナーノーツによると、本人が録音したテープをホノルルのディスクジョッキーJimmy Walkerに持ち込み、それを放送したところ反響の大きさにレコード会社に推薦したとの事。略歴によると1956年と57年にエド・サリヴァン・ショーに出演。アメリカ空軍バンドの一座に加わり世界ツアーに二度参加したとある。
収録曲は以下
A1 Ukulele In Orbit
A2 Here Is Happiness (Kokoni Sachiari)
A3 Brazil
A4 I Left My Heart In San Francisco
A5 Bugler's Holiday
A6 Lover Man
A2 Here Is Happiness (Kokoni Sachiari)
A3 Brazil
A4 I Left My Heart In San Francisco
A5 Bugler's Holiday
A6 Lover Man
B1 Seventy Six Trombones
B2 Granada
B3 Holiday For Strings
B4 Blue Danube
B5 Tea For Two
B6 12TH Street Rag
B2 Granada
B3 Holiday For Strings
B4 Blue Danube
B5 Tea For Two
B6 12TH Street Rag
A1はメドレーで、Mr.Sandman - Stars And Stripes Forever - Yankee Doodle Boy- Limehouse Bluesのジャカソロ・メドレー。A2「ここに幸あり」は1956年に大ヒットした日本映画の主題歌で、ハワイやブラジルの日系移民の間でも愛唱歌となったもの。A5は運動会の徒競走で必ずかかる、あの曲だ。B4はクラシックの「美しく青きドナウ」、A3, A6, A5はジャズスタンダードだし、A6はラグタイム曲だがウクレレではロイ・スメックはじめジャカソロ奏法(コードをジャカジャカ弾きながら演奏する、アメリカ本土・ボードヴィル由来のウクレレ奏法)の定番曲としてお馴染み。
YouTubeを検索すると、1956年放送のエド・サリヴァン・ショウーでアメリカ空軍 "Tops in Blue Show"の一員として「星条旗よ永遠なれ」や「ラヴァー」をメドレーでニコニコしながら軽々と見事に弾きこなす、若々しい制服姿のアジア系のアメリカ兵の映像が見られる。世代的にはオータサンより一回り先輩、という計算になるが、映像を見ると、かなりの名手であったことがわかる。
本アルバムの選曲を見ると、得意のジャカソロ系をはじめ、後にオータサンが弾きそうなジャズ・コードを取り入れた演奏や、ウクレレではエディ・ブッシュのバージョンが知られるB3などがいち早く取り入れられており、モダンな演奏スタイルで後に活躍するハワイの若手ウクレレ奏者たちに影響を与えた先駆者的な存在であったと思われる。
演奏はギターにManny Cuizon、ウッドベースAlbert Kaailau Jr.、ドラムにGregg Malina Jr.のトリオ・コンボが控えめに伴奏を付けている一方、A1, A3, A5, B2, B4, B6はマルチレコーダーによる多重録音で、本人がウクレレの他ギターとベースを多重録音している。こうした手法でも先駆けと言える作品かもしれない。
このDon Baduriaという人は、後にもう一枚Music Of Polynesia Inc.というレーベルから「Ukulele Magic Hawaiian Style」というアルバムを同レーベル・オーナーのJack de Mello によるプロデュースで70年代に出していて、これは90年代にIZやブラザーズ・カジメロの作品等で知られるThe Mountain Apple Company(こちらはJack de Melloの息子Jon de Melloがオーナー)からCD化された。このCDはウクレレ再評価やハワイブームに乗って一時期CDショップでもよく見かけたものであり、決して無名のウクレレ奏者ではない。