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コーポラティブハウス(コープ)について

10月9日はジョン・レノンの誕生日。

レノンは晩年アメリカ・ニューヨークにあるダコタ・ハウスというコーポラティブハウスに住んでいた。

というわけで、今日はコーポラティブハウスについての話をしよう。

「コーポラティブハウス」には二つの意味がある。
①入居希望者同士で組合を結成して建設資金を出し、その組合が主体となって建築家と共に建築設計に参画して建てた集合住宅。英語ではbuilding cooperativeと言う。
②管理組合が建物全体を所有する形式の住宅。協同組合型住宅。多くは集合住宅だが、戸建ての集合体でコーポラティブの形式をとる例もある。英語ではhousing cooperativeまたはcooperative housing、cooperative apartment、略してcoopと言う。

①と②は別の概念である。
②はアメリカでは多く見られる住宅形態である。①で建てられ②として運用している物件も少なくない。ダコタ・ハウスは②である。

「コーポラティブハウス」は和製英語と言われているが、英語でも「cooperative house」という言葉は使われいて(主に建物を指して使われる)、実は和製英語ではないようだ。
なお、英語の発音はcooperativeは「コウアペラティヴ」、coopは「コウアプ」に近い。
日本では「コープ住宅」とも呼ばれるが、①も②も意味しうる。

日本の集合住宅の建物名に多く見られる(多くは賃貸物件、一部分譲マンションもあり)「コーポラス」や「コーポ」の語源には二つの説があり、一つは鉄筋コンクリート造の集合住宅を意味する「コーポレートハウス(corporate house)」の略という説、もう一つは「コーポラティブハウス」の略という説だが、①によって建てられたわけでもなく、②として運用しているわけでもない。もし後者の語源説が正しいとしたら、アメリカで建物名に使われていたのを本来の意味は考慮せず(漠然と集合住宅を指す言葉と捉えて)真似して広まったと考えられる。

①は日本でもある程度見られるが、②はアメリカ特有の住宅形態とも言われている。②は日本ではそれについて規定した法律がないということもあって、ほとんど見られず、なじみが薄い。
①は自由設計といった自由度の高いイメージだが、②はルールが厳しい物件が多く、この点で両者は対照的といえる。

ここでは主に②について取り上げる。ここからは②の意味で基本的に「コープ」という言葉を使うことにする。

(購入者全員が加入する)管理組合があるのは分譲マンションもコープも同様だが、コープの場合管理組合の役割が大きい。
コープでは維持管理のための活動(清掃など)に積極的に参加することが求められる。この点は日本の団地と似ていると言える。「コーポラティブ(協力的な)」の文字通り、住人は維持管理のために協力しなければならないようだ。
コープは入居審査が厳しい。新しい入居希望者がいるとき、入居を認めるかどうか判断するのも管理組合の役目である。分譲マンションだと購入すれば自分のものになるが、コープはそうではなく、入居希望者が隣人にふさわしいかどうか審査される。
住人の入れ替わりが少ない、共通の趣味を持った人が集まりやすい、住人同士のつながりを密にしているため民主的な運営がされやすい、などといったのもコープの特徴だ。住人が集まるイベントが行われることもよくある。

アメリカで持ち家としての集合住宅は「コープ」と「コンドミニアム(condominium)」の2種類がある。
コンドミニアムは日本で言う分譲マンションと同じで、各世帯は区分所有権を持つ。略してコンド(condo)と言う。
コープは各世帯が入居する部屋に至るまで住人全体(管理組合)の所有とされ、各世帯は区分所有権を持たず、シェアと呼ばれる権利形態をとる。各世帯の部屋は居住空間が割り当てられているに過ぎない。

コープは組合所有であって個人所有でないため、固定資産税は付かない。また、個人所有でないゆえに、売却や賃貸物件として他人に貸すことは禁止または制限されていることが多い。

コープは持ち家の一種だが、賃貸物件と似た要素も若干含んでいて、「持ち家と賃貸のいいとこ取り」とも言われている。

賃貸アパートからコープに切り替えた物件も多く見られる。

コープはアメリカの大都市の古い集合住宅に多く見られる。ダコタ・ハウスがあるニューヨーク市マンハッタン区はコンドよりコープの比率が高い。
現在、コープは減少傾向にある。ルールが厳しいことや建物の維持管理のための活動に参加しないといけないとかで、若い世代には好まれないからだろう。
コンドップ(condop)と呼ばれる、コープとコンドの中間の形態をとる集合住宅もある。

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