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/k/と/g/は/w/との相性がいい?

今日5月18日は「言葉の日」ということで、言葉に関して私が興味を持った話題を取り上げます。

いくつかの言語の例を見て、無声軟口蓋破裂音[k]と有声軟口蓋破裂音[g]は、両唇軟口蓋接近音[w]との相性が良いのではないかと思える節があります。

[w]は唇を丸めると同時に奥舌を軟口蓋に接近させて発音される。軟口蓋で調音される点は[k]、[g]と共通している。[w]は母音[u]が子音化した半母音で、[u]も唇を丸め奥舌と軟口蓋との間の狭めを伴って発音される後舌母音である。

拗音とは子音と母音との間に半母音を介して発音されるもので、現代日本語においては[j]を介して発音され(行によっては[j]を介さないものもある)、イ段の文字の後に「ゃ・ゅ・ょ」を付けて書かれるものが存在するが、昔は[w]を介して発音された「くゎ」、「ぐゎ」もあった。「くゎ」、「ぐゎ」はそれぞれ[kwa]、[gwa]と発音されたが、江戸時代中期ごろに直音化して「か」、「が」と同じ[ka]、[ga]で発音されるようになり、それらは現代仮名遣いで「か」、「が」と書くこととなった。平安時代には「く・ぐ」に小書きの「ゐ・ゑ」と組んだ「くゐ」[kwi]、「くゑ」[kwe]、「ぐゐ」[gwi]、「ぐゑ」[gwe]もあった(漢字音で見られた。例:貴=くゐ→き、外=ぐゑ→げ)が、早い段階で直音化して[ki]、[ke]、[gi]、[ge]と発音されるようになり、仮名表記も「き・ぎ・け・げ」が使われるようになった。[w]を介した拗音はカ行とガ行のみに現れた。

スペイン語における「ua」、「ue」、「ui」などといった「u」で始まる重母音はestatua[esˈta.tu̯a エスタトゥア]、nuevo[ˈnu̯e.βo ヌエボ]のように「u」も母音として発音されるのが普通だが、前の子音が[k]または[
g/γ]の場合uを[w]のように発音されることが多い(例:
cuidado[kwiˈða.ðo クィダード]、
Uruguay[u.ɾuˈɣwai̯ ウルグァイ]、
pingüino[piŋˈɡwi.no ピングィーノ])。
前の子音が/k/、/g/以外の場合でもestatua[esˈta.twa]、nuevo[ˈnwe.βo]のように[w]で発音記号が書かれることが多いが、聞いた感じでは[u]が弱く短く発音されていても半母音の[w]までにはなりきっていない。ちなみに、[u̯]というふうに下に弧を付けたのは重母音の中で弱く短く発音されることを表す。

中国語の介音「i」と主母音「a」の組み合わせはピンインで前(その音節の先頭)に子音がある場合は「ua」と書き、前に子音がない場合は「wa」と書くが、実際の発音も前に子音がある場合は[u̯a]で、子音がない場合は半母音化して[wa]と発音される。私が大学2年生の時の中国語の先生は「-ua-」の前に軟口蓋音「g、k、h」が来る場合、「g、k、h」は奥の方で発音する音なのに対し、「u」は唇を突き出して前の方で発音する音なので矛盾しているため、「u」は「オ」に近く聞こえると言っていた。例えば「関(guān)」、「快(kuài)」はそれぞれ「グアン」、「クアイ」というより「ゴアン」、「コアイ」に近いとのこと。また、先頭の子音が「h」の場合は、例えば「歓(huān)」はカタカナで書くと「フアン」ではなく「ホァン」、「話(huà)」は「フア」ではなく「ホァ」に近いとも言っていた(これに関しては日本語の「ふ」の子音がHではなくFに近い音だからという理由もあるだろう)。
発音記号(IPA)では普通[ku̯an]、[kʰu̯aɪ̯]と書かれるが、半母音と考えて[kwan]、[kʰwaɪ̯]と書かれることもある。中国語の先生は逆に相性が悪いような言い方をしていたが、[k]、[g]と[w]または母音[u]とが互いに影響し合っている一例と言えるだろう。
広東語では「g」と「k」にのみ円唇化した(半母音[w]の色合いを帯びたように感じる)gw[kʷ]、kw[kʷʰ]という音が存在し、例えば「広東」はGwong2dung1[kʷɔːŋtʊŋ](グォーンドゥン)と発音する。

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