屋根裏部屋のナマケモノ

読書感想などなど。趣味のページ。

風水天戯 結べ!師弟のきずな

2011年04月29日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

望月もらん
藤崎竜(イラスト)


星淑(せいしゅく)は、風水師を目ざして修行中の第八公子。師匠である親指サイズの自称仙人・楊(よう)老師とともに、兄・英祥の目を盗んでは、お忍びで街の風水をみている。そんななか、街の異変に気づいた星淑は、オンボロ羅盤(ローバン)を使い、新たに建設中の桜閣が怪しい気を発していることを突きとめる。だが、隠された陰謀を暴こうとする星淑の前に、謎のスゴ腕少年風水師が立ちはだかり!? 空前の話題となった史上初・大賞受賞作、絶好調の第2弾!

「開け!運命の扉」レビュー



大賞受賞作の2巻目です。
今回は王宮の外での活躍でしたね。「お姉さん」こと嬌杏がほとんど登場しなくて、ちょっと寂しかったな。

風水のことに関しては今回もほとんど老師が活躍しましたが、星淑の意思の強さは頼もしかったですね。
公子と言っても名ばかりだからこそ、変な誇りとかもなくて、純粋な気持ちからの行動は読んでいていいなーと思います。

兄の太子・英祥は星淑とは反対と言ってもいい、真面目だけど頑なな心の持ち主。
融通の利かないところはすこし読んでいてイラッときますね。
彼は風水を信用せず、重要に思っているわけでもないようなので、そういう面でも星淑とは正反対なわけで。
風水が原因で兄弟仲がこじれることがなければいいですけどね。


今回は呉のお兄さんとも星淑はいい関係を築けてきているようでしたねー。
だんだん星淑にも味方と言える人が増えてきて、頼もしいです。初登場の啓天とも、これから関わることが多くなりそうですね。


3巻は夏発売。楽しみにしています!

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と緑の工房

2011年04月20日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

三川みり
あき(イラスト)


王家が認めた砂糖菓子の作り手・銀砂糖師の称号を手に入れたアン。けれどその陰には、アンのために、ペイジ工房の娘・ブリジットに自らを売ったシャルの犠牲があった。シャルを取り戻すため、アンは工房へ乗り込むが、砂糖菓子職人の大派閥であるはずのペイジ工房は、なんと没落寸前。工房を立て直せたら、シャルを返すと言われたアンは!? 個性的なペイジ工房の職人たちと、アンの新たな挑戦スタート!! 待望の第四弾!!

「銀砂糖師と白の貴公子」レビュー



第4巻。今回もきれいに収まりましたね。
ペイジ工房で働くことになったアンでしたが、彼女の職人魂はやっぱり素晴らしいですね。
個性のありすぎる職人たちをまとめ、最後まで自分の信念を曲げなかったのはアンらしいです。

ここまできて、やっぱり気になるのはブリジット。
はっきり言って面倒なキャラではあるけど、工房長の娘としての行動が常に求められていることによる、彼女の捻くれた性格は理解できなくないです。
登場人物の中で一番不幸な人かもしれませんね。早く彼女も幸せになってくれないかな。
最後の不穏な感じがとにかく気になります。

アンとシャルの関係の変化も気になりますが、・・・やっぱりゆっくりモードで進行中ですね、ラブの方は。
シャルはすでにアンに対する気持ちがリズへのものと違うことを実感しているようですが、やっぱり相手がアンだから遠慮がち。
アンは・・・恋だということに気付いているのかな? 
ともあれ、友人としてお互いを信頼する様子は、最初のころとはまるで違い、読んでいて安心感があります。


ペイジ工房の建て直しも成功しそうだし、アンはまだペイジ工房で働きそうかな?
次からは今回初登場した謎の妖精と関わることになりそうですね。
次も楽しみにしてます。

戦国恋姫伝 封印の宝刀

2011年03月22日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

菅沼理恵
石川沙絵(イラスト)


姫将軍と呼ばれた藤子は、天下分け目の戦い「長石橋の陣」で敵の武将・和泉飛鷹(いずみひだか)と出会い、彼のもとに嫁ぐことになった。正式な婚姻がまだなうえ、飛鷹の母が謎の呪法(ずほう)に倒れたことから、藤子はふたたび戦いに身を投じることに。呪法をかけたという内海の浜崎水軍を征するため、飛鷹とともに敵地に向かう藤子だったが、水軍の頭・吉見に囚われてしまい――!? 乱世が続く春華の地で花ひらく、架空戦国恋物語、第2弾!!
 
「偽りの婚姻」レビュー



わ、私、前巻すごい批判してる。ひえー・・・


「そこまで読みたくない」と前に書いたくせに、読みました。
前巻よりおもしろかった気がします。
王道で話が進んでいくので、期待を裏切られないです。王道の醍醐味と言えば、醍醐味?


藤子と那岐(飛鷹)の相手を思う気持ちが微笑ましい。
(未来の)妻のために単身で敵地に乗り込む那岐の威勢は天晴れでした。

欲を言えば、もうちょっと藤子と吉見のやりとりを加えて欲しかったかな。
でも、最後はきれいにすっきりまとまった感じなので、めでたしですね。


次は藤子の元婚約者・河上雪政さまも登場しそうです。藤子争奪戦に発展するか!?


花は桜よりも華のごとく 第三幕・鬼炎万丈

2011年03月18日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

河合ゆうみ
サカノ景子(イラスト)


強引でもいい。触れて抱きしめて、自分のものにしたい――
戦国の世の狭間。行方不明になった能の名門一座次期太夫、蒼馬(そうま)を追って、京を発った男装の天才舞姫、白火。潜り込んだ荷馬車の中で眠ってしまった白火は都を騒がす悪党「土蜘蛛」の頭、朱鬼(しゅぎ)に拾われる。しかし、鬼のすみか、大江山で再会した蒼馬は「ここがどこだかわかってるのか!!」と白火に冷たくて!?
第8回ビーンズ小説大賞、読者賞受賞の能楽恋絵巻、第3幕!!


「第二幕・月下氷刃」レビュー



計画停電、やるのかやらないのか・・・


えーと、第三巻です。
白火が失踪した蒼馬を追っているうちに、組織みたいなのに入り込んでいた感じでした。
やっぱりストーリーはシンプルだけど、所々に入る能の場面は綺麗でいいですね。

今回は蒼馬の驚きの過去が発覚。まさか義賊出身だったとは。
彼自身が土蜘蛛の中で何をしていたのかも気になってきます。

白火と蒼馬の関係も進展しましたねー。ちょっと強引な感じでしたけれど。
白火って純粋な感じがするので、恋愛に疎いヒロインだと勝手に思い込んでいたら、意外にそうじゃなくて安心(?)しました。

それにしても白火の色気すごいですねー。色気で男を虜にするって、こういうヒロインは珍しいんじゃないでしょうかww

やっぱり土蜘蛛を守るために戦うことになった蒼馬と白火。京を敵に回してしまい、これからどうなるんでしょう。


そういえば、今回悪霊を舞で鎮めた白火。彼女の舞には不思議な力があるみたいな話がちょっと出てましたけれど、もしそういう力があるならば、はっきりと出して欲しい気が。
霊とかも微妙に出てくるので、ちょっと世界観が掴み辛くなってきました。


あやかし江戸物語 妖狼たちにご用心!

2011年03月16日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

伊藤たつき
音中さわき(イラスト)


「おまえは美味そうな匂いがする」百獣国(ひゃくじゅうこく)・江戸。そこは化妖(かよう)と呼ばれる獣たちが集う場所。薙刀の名人で草食動物のみこは、幼なじみを捜すため、肉食獣だらけの江戸へやってきた!!人気歌舞伎役者の二海(にかい)に助けられ、見つけた幼なじみの一人は、みこを無理やり押し倒し「大奥へ入れ」と告げる江戸三代将軍徳川家密で!? 本能丸出しの肉食獣から、みこは貞操を守れるのか――!? 恋の花咲く大江戸ラブファンタジー開幕!!


先月の新刊。新シリーズです。

おもしろかったです。
にぎやかで楽しいお話でした。
江戸っぽくて江戸じゃない、おもしろい世界観がよかったです。

登場人物が、みんないいキャラしてます。
二海がイラストのイメージとは違い、いい奴でしたww
一陸と空三の謎めいた感じもよかったです。
周りに押されて、みこのキャラがちょっと薄くなっている気がしないでもないけれど。


これからは諒影とかと戦う方向に話が進んでいきそうかな?
秘密という秘密は大体明かされた感じだけど、みこの成長や、徳川兄VS弟みこ争奪戦の行方も気になります。

フォーチュン・オブ・ウィッカ3 タロットは夢をいつわる

2011年03月14日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

月本ナシオ
薄葉カゲロー(イラスト)

 
超幸運体質のアイリの職場は、創立記念式典に向けて準備中。息抜きに人気占術師のタロット恋占いにいったアイリは、相棒(パートナー)を組む超不運体質のハイヅカこそが大切な人と告げられる。そんな時、二人でパレードに参加できるありがたくない栄誉に当選してしまい大慌て。けれど、運気が乱れる呪術を敵にかけられ、ハイヅカの相棒失格の危機!! しかも、その呪いを解く方法はなんとハイヅカのキス…!? 吉凶混合コンビ、急接近!?
 
「フォーチュン・オブ・ウィッカ2」レビュー



テンポよく中身しっかりで、ますますおもしろくなってきました。

今回の事件はそれほどストーリーの中心ってわけでもなく、人物関係の色々に注目!って感じでしたかねー。
今回の一大事件は、アイリとハイヅカの《呪いを解くためのキス》なのですが、キスしても実際の関係にはそれほどの変化は見られず。おもしろいけど、ちょっとじりじりします。
アイリはハイヅカへの想いを意識してんでしょうかね。
まあ、この二人はマイペースにゆっくりと進展して行きそうなので、これからも楽しみです!
 
シアーズの過去と、コーネルとの意外な関係も明らかになりました。
彼女も早く願望通り結婚して、幸せになってほしいな。


今回初登場したエルヴィン&ヴァージニー・トリニック兄妹は、次巻で深く関わってきそうですね。
彼ら、いい人に見えるけど実際はどうなのかな?と思ってしまいました。

次もとにかく楽しみです!

赤き月の廻るころ 奪われた王位

2011年02月14日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

岐川新
凪かすみ(イラスト)


「だからわたしは――国を捨てて、ここへきた」ついに結ばれたレウリアとジェラール。しかしジェラールは腹心の部下であるギースに裏切られ、孤立無援の状況に!! レウリアは自国にジェラールの擁護を頼むが決裂し、二人は引き離されてしまう。レウリアの身を案じたジェラールは、しばしの別れを決意し、『海の民(ゼル・イデイア)』の頭領・レアムと結び、自国へ戻るため動き出したのだが!? 最終章突入、運命のグランド・ラブロマン第7弾!!


「赤き月の廻るころ 蜜色の約束」レビュー



もう7巻!?
あれー、前巻のときも同じこと言っていた気が・・・。

6巻よりおもしろかった、気がする?
最終的にはいつもと同じことに陥るんですけどねー。恒例の〈精霊たち、お願い〉パターン。
ちょっと違う展開がほしい気持ちがなくはない。

レウリア&ジェラールの強引で意地っ張りなやりとりはいつもどおり楽しませてもらいました。
レウリアもちょっと大胆になりましたねー。
ジェラール、お前の強引さがレウリアにうつって来てるんじゃないかっ? みたいなww

新しくレウリアを狙う、邪魔なのも登場したし、ジェラール頑張ってください。

華葬伝 ~Flower Requiem~ 下

2011年02月06日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

久遠
根木圭子(訳)
Izumi(イラスト)


輪廻の失われた世界で、残虐な幽鬼と必死に戦う「義人」の幽冥。最後の砦、贄人・繭(チェン)の純粋さにふれ、命をかけて彼を守ろうとするが、神の復活を望む人々との間に衝突がうまれる。さらに、巧妙に仕掛けられた罠に仲間の義人たちがはめられていく。自分のなくした記憶こそが世界を護る鍵を握ると気づいた幽冥は――!? 「今度は、どうか私の手を放さないで」 台湾から日本初上陸!! 四百年の時を超えた純愛ファンタジー!


さっき上の感想書いたばかりですが、今度は下です。
個人的な感覚で感想を書いているため、好みには合わない方もいるとは思いますが、一つの意見として読んでください。


・・・正直、ここまで泣かされるとは思わなかった。

下は怒号の展開。戦いの場は籠庭の中に留まりつつ、本当にスリリング。
最後の20Pは涙涙。
そして、話の所々に散りばめられていた違和感とか、秘密らしきものが思わぬ方向に明かされていって、先の読めない展開に驚かされてばかりでした。

下に入って少しで、義人の一人(ネタバレ防止。名前は出しません)が倒れ、次々と状況は悪化していきます。
籠庭に反抗する勢力〈反朱〉が籠庭に攻め込んできたりとか、そういうお決まりの展開はなく、最後まで楽しませてもらいました。

幽冥の秘密については、なんとなく予想はしていたけれど、事実はもっと深かった・・・というか、何というか・・・・・・。
彼女と黒潤の関係も、実は複雑だったんですね。

繭については、もう・・・。彼のひたむきな想いに胸が詰まりました。
最期にやっと慕っていた人と会え、それでもまたすぐ別れなければいけなかった繭。(涙涙)
最後の回想場面を読んでいると、どこかで出てきた言葉が登場し、現在との繋がりに泣けてしまいました。幽冥の考え方も、繭が始まりだったんですね。


とにかく、最後まで素晴らしかったです。
バッドエンドでもなく、ハッピーエンドとも言いがたい結末でしたが、心に残る作品でした。

華葬伝 ~Flower Requiem~ 上

2011年02月06日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

久遠
根木佳子(訳)
Izumi(イラスト)


台湾角川ライトノベル大賞《金賞》受賞!!
世界は絶望に彩られていた。
君に出会うまでは――。

四百年前、人々が神を殺したため、輪廻が失われ幽鬼がはびこる世界。記憶をなくした少女・幽冥(ヨウミン)は「義人」のひとりに選ばれる。その宿命は、この世を護る贄人(にえびと)・繭(チェン)のために命尽きるまで戦うこと。他の義人たちと共に戦うなか、記憶に刻まれた自分を呼ぶ声に悩まされる幽冥だったが、神の復活を望む人々が反乱を起こし――!? 「来世でも、あなたに会いにいくよ」
ついに上陸!第1回台湾角川ライトノベル大賞《金賞》受賞作!!



図書館で予約したのですが、なぜか漏れてしまい、読むのが遅れてしまいました・・・。

上記の通り、台湾で大賞受賞したものを、翻訳した作品。
とにかくとにかくとにかく! 素晴らしかったです。久々にぐっとくるものに出会えました

人間が神を殺したために〈輪廻〉が失われた世界が舞台。
最後の贄人である繭が死ぬと、神が蘇って人間に復讐するという。そのために、主人公の幽冥は繭のために命までも差し出して戦う義人の一人。・・・って感じでしょうか。まとめると。

世界観がややこしく、最初はなかなかついて行けないという面もありましたが、読み進めていくほど話に引き込まれました。


贄人を永遠に生かすために、義人たちの命は彼のために削られ、そのために義人は夭逝してしまいます。
幽冥は死を恐れ、口には出さずとも他の義人たちも自分の境遇に不満を抱かずにいられないわけですが、皆の複雑な思いが読んでいてずっしりと来ます。

繭も繭で、彼に求められているものは存在だけで、400年以上生きている上に、この世の声・色・味・香りを感じられず、精神の半分以上が罌粟と共に眠っている状態。
それでも、純粋な性格を持つ故に、怒りを幽冥にぶつけられたときにはそれを受け入れ、謝ってしまう彼。どこまでもまっすぐで、読んでいて複雑な気持ちになります(いい意味で)。

本当に、台詞の一つ一つが胸に響きます。


恋愛色がなく、笑いもほとんどない作品ですが、よかったです。
繭と幽冥に何か繋がりがありそうだし、下も楽しみです。

風読みの巫女とはぐれ退鬼師 恋の初風

2011年02月03日 | 読書感想    ビーンズ文庫
ビーンズ文庫

遠沢志希
キリシマソウ(イラスト)


亡き母の跡を継ぎ、立派な風巫女(かざみこ)になるため修行中の明日香(あすか)。しかし風読みしても失敗ばかり。そんな明日香は少し先、四半刻先の未来を視る力を持っているけれど、偉大な母にはまったく及ばない。ある日、明日香は凄腕として名高い退鬼師(たいきし)の蓮夜(れんや)と出会う。口は悪いけれど不器用な優しさを見せる連夜が気になるが、連夜は「師殺し」の大罪を背負っていて!? 半人前風巫女×クセ者退鬼師の絢爛豪華な和風ラブファンタジー開幕!


「封印の女王」の作者さんの新シリーズ。
ビーンズはなんちゃって日本を舞台にしたものが多いですねー。

おもしろかったけれど、それほど特色を感じさせない、なんというか優等生っぽい作品でした。王道を進んでいる感じですね。


主人公の明日香、なんとなくキャラが「封印の女王」のリーゼロッテと被りますなあ。あ、作者が同じなので当たり前か。
リーゼロッテと同じで、自分の力に自身を持っていなくて、ひたむきに頑張っていると見せかけて実は怠けている子でした。
頑張ろうとしている勢いはいい感じです。
都に行くことになり、彼女がどう変化するのかが楽しみです。

蓮夜のぶっきらぼうな感じはよかったです。個人的に、ひねくれたヒーローっていうのが好きなのでww
彼が凄腕の退鬼師であるが故に、ちょっと緊張感に欠けていたかな?って感じがしないでもないけれど。
戦いの場面とかも、蓮夜の余裕な感じに加え、明日香の力があったので、なんとなく読んでてドキドキしませんでした。


そう言えばこのシリーズ、角川のホームページに書かれていた売り文句が『おまえを逃がしはしない――クセ者退鬼師の標的になった明日香は!? 退鬼ラブファンタジー、開幕!!』なのですが・・・。こんな内容だったっけ?