ビーンズ文庫
久遠
根木佳子(訳)
Izumi(イラスト)
台湾角川ライトノベル大賞《金賞》受賞!!
世界は絶望に彩られていた。
君に出会うまでは――。
四百年前、人々が神を殺したため、輪廻が失われ幽鬼がはびこる世界。記憶をなくした少女・幽冥(ヨウミン)は「義人」のひとりに選ばれる。その宿命は、この世を護る贄人(にえびと)・繭(チェン)のために命尽きるまで戦うこと。他の義人たちと共に戦うなか、記憶に刻まれた自分を呼ぶ声に悩まされる幽冥だったが、神の復活を望む人々が反乱を起こし――!? 「来世でも、あなたに会いにいくよ」
ついに上陸!第1回台湾角川ライトノベル大賞《金賞》受賞作!!
図書館で予約したのですが、なぜか漏れてしまい、読むのが遅れてしまいました・・・。
上記の通り、台湾で大賞受賞したものを、翻訳した作品。
とにかくとにかくとにかく! 素晴らしかったです。久々にぐっとくるものに出会えました
人間が神を殺したために〈輪廻〉が失われた世界が舞台。
最後の贄人である繭が死ぬと、神が蘇って人間に復讐するという。そのために、主人公の幽冥は繭のために命までも差し出して戦う義人の一人。・・・って感じでしょうか。まとめると。
世界観がややこしく、最初はなかなかついて行けないという面もありましたが、読み進めていくほど話に引き込まれました。
贄人を永遠に生かすために、義人たちの命は彼のために削られ、そのために義人は夭逝してしまいます。
幽冥は死を恐れ、口には出さずとも他の義人たちも自分の境遇に不満を抱かずにいられないわけですが、皆の複雑な思いが読んでいてずっしりと来ます。
繭も繭で、彼に求められているものは存在だけで、400年以上生きている上に、この世の声・色・味・香りを感じられず、精神の半分以上が罌粟と共に眠っている状態。
それでも、純粋な性格を持つ故に、怒りを幽冥にぶつけられたときにはそれを受け入れ、謝ってしまう彼。どこまでもまっすぐで、読んでいて複雑な気持ちになります(いい意味で)。
本当に、台詞の一つ一つが胸に響きます。
恋愛色がなく、笑いもほとんどない作品ですが、よかったです。
繭と幽冥に何か繋がりがありそうだし、下も楽しみです。