音楽の力（2）Schindler's list - John Williams - NL orchestra

Schindler's list - John Williams - NL orchestra


演奏者も聴衆も感極まって涙する、まさに音楽の持つ力がよく表れた動画を見付けました。
演奏曲が人の心を揺さぶる内容だけにより効果的と言いましょうか、音楽の持つ不思議な力を感じずにはおられません。

そんな音楽の一端を趣味として継続している限りはこの素晴らしさを忘れてはならないと思いました。









小説「Obralmの風」




それに伊藤という英霊と様々なことを語り合いたい。
取り留めのない空想を電話の音が突然かき消した。
咄嗟に明子からだろうと受話器を持つと予想に反して男の声だった。
「久保、中島や」
「おお、この前はお疲れさん。お陰で楽しかったわ」
「この前から気になってるんやけどな、背中が痛い言うてたんはどうや？あれから医者へ行ったか？」
「なーんや、そんなこと心配してわざわざ電話くれたんか。ありがとう、翌朝には消えとったわ。ゴルフで日頃使わへん筋肉を使ったから、その影響やったと思うよ」
「ならええけど、まあそれを聞いて安心したわ。それより今から店へ来られへんか？」
「今からって、もう八時前やで。どないしたんや急に」
「今店の客でお前を知ってるっていう若い女性がいるんや」
「若い女性？いったい誰や？」
「サイパン旅行の写真を見せたら『この人知ってる』って言うから、彼を呼ぼうかと言うたら頷いたんや」
「ええっ！その客は常連さんか？名前は？」
「この前から時々来てもらってるわ」
中島は受話器を持ったままその女性に名前を告げていいかと尋ねている様子だった。
「もしもし、吉井美華さんという女性や」
「吉井美華？おおっ！知ってるよ、何でてそこに？」
「そやから、うちのお客さんやと言うてるやろ」
中島は大声で笑った。
「じゃあ今から行くわ」
「オーケー、とびっきりのご馳走でもして時間を稼いどおくから早よ来い」
受話器を置いて慌しく身繕いして岳は表に飛び出した。
吉井美華が中島の店に現れた？これは運命の悪戯か。
旅行後彼女に連絡しようと考えていた矢先の出来事に岳の心はときめきに似た感情が広がった。