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懐かしの名曲を見つけた! Procol Harum - A Whiter Shade of Pale, live in Denmark 2006

2022年05月14日 | 音楽
Procol Harum - A Whiter Shade of Pale, live in Denmark 2006


最初この曲に惹かれたのはイントロ部分がパイプオルガン的な響きだったのを想い出します。
まさか当時のままの演奏形態が継続されているとは知らず、とても嬉しくなりました。



小説「Obralmの風」



「もしもし?・・・」
「あの、久保さんのお宅ですね?」
相手はか細い声の女性だった。
「はいそうです」
「私です明子です」
「ああ、明子ちゃんか。ごめんごめん、てっきり悪友からやと思って」
「進から聞いたのでこんな遅くにご迷惑だと思いながら架けたの、ごめんなさいね」
「いいよいいよ、この前から電話してたんや。もう学校に出ているんやね」
「そうよ、さっき帰宅したところなの、もうくたくたで。ごめんなさい電話でこんなこと言って」
「ええ?こんな時間まで?いままで残業?」
「ええ、少しとりこんでいて」
「ああ、またモンスターピアレンツと言う連中がアホ騒ぎしているん?」
「ええまあ・・・」
「あんなアホな連中はとことん無視するか、ガツンと正論でやっつけたらんと受ける方の身が持たへんで」
岳は瞬間湯沸かし器のごとくアホな輩に対しての怒りが込み上げるのを覚えた。
「岳君そんなに興奮しないで。私のことより病気の方は大丈夫なの?ちゃんと病院に行ってる?そちらの方が心配よ」
「大丈夫、まだピンピンしてるで。病院へ行くのは最後の時と決めてんねん。、うっかり行ったら二度と帰って来られへんような気がするから」
そう言いながら思わず岳は美華を見た。
(余計なことを言ってしまった)
彼女は聞かない振りして窓から夜景を眺めている。
「そんなこと言わずにきちんと治療すれば退院出来るわよ」
「いや、医者からは・・・」
岳は言いかけて再び美華を見て言葉を止めた。
「どうしたの?誰かと一緒?」
「ああ、友達や」
「それは知らなくてごめんなさい。じゃあ切ります、私は大丈夫ですから」
「まあアホな連中に振り回されないよう頑張って」
電話を切ってソファーに座り直すと彼女が歩み寄り、立ったまま岳を見下ろした。
「お邪魔じゃなかったの?」
「ええねん、幼馴染や」
「相手の人、学校の先生みたいな感じね」
「そうや、小学校の先生で年がら年中父兄のクレーマーに悩まされてるわ」
「それはそうと、久保さんどこか悪いの?病気?」
「まあその話はいずれ話すことにして。どうして今の世の中文句を言った者勝ちなんやろうね」
岳がソファーに掛けるのを待って彼女は問いただすような格好で座り込んだ。
「話をはぐらかさないで下さいよ」
「いやいや別にはぐらかすつもりはないよ」
岳はわざと大袈裟に笑って見せた。
「そんなこと言わないできちんと話して下さい。でもどうして私こんなにむきになっているんだろう」
彼女は笑いながら言った。
岳は医者から末期癌の宣告を受けたことを彼女に語った。
彼女はテーブルに視線を落としながら話を聞いていた。

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