私の中には龍がいる。
心の中の奥の暗闇に、それは静かにその身体を横たえている。
きっと誰の心の中にも、龍は静かに眠っている。
その人に、自覚があるないにかかわらず。
その龍が大きければ大きいほど、その龍の存在を自覚することは難しい。
そして自身、それを認めることができない。
その存在を自覚する人は、その龍は一度暴れ出すと、自身ではどうにもできないものであることに気付いている。
龍を起こしてしまうと、それは自身でさえ、時とともに鎮まるのを待つしかない。
だから龍を起こさぬよう、いつも心の闇に怯えている。
高尚な禅僧や歴史上の高貴なる偉人でさえ、それは例外ではないだろう。
ただ、少しだけ凡人よりも、その龍を鎮める術を会得しているというだけのことか。
私の中には、龍がいる。
心の中には、龍がいる。
疲れ果てていて、少しだけ龍を目覚めさせてしまった。
一日休んだ。
言葉にしてみた。
空を眺めてみた。
どうやら、龍は鎮まったようだ。
眠れる龍は、とてつもなく大きい。
育てたのは、自分自身の心。
そこにある闇。
そこにある宇宙。
