T.Shimada's Diary

日々の話題、過去の話題から。

えちぜん鉄道のLRT化

2007年01月20日 23時49分45秒 | 福井の公共交通
 現在、福井駅周辺の整備について2つの大きな懸案がある。1つは西口広場のレイアウト、もう1つは駅東側に建設される新幹線駅とえちぜん鉄道の路線の扱いについてだ。

 西口広場については、タクシー駐車場、バス乗り場、乗用車の乗り降りスペースの位置を巡って、福井鉄道の延伸スペースを含めてレイアウトをどうするかが焦点となっている。これは昨年末までに検討委員会で決定する予定だった。が、委員の間で意見が分かれたため結局は持ち越され、今年1/19に一応の決着がついた。

 一方、駅東側の問題。新幹線駅は元々3階建てとする予定だったが、より建設費が少ないという理由で2階建てに計画が変更された。しかしこれにより、JR在来線とえちぜん鉄道に将来単線区間が生じることとなり、安全性と運行ダイヤの面での問題が出た。また2階建てで停車スペースを確保するため、当初より東側に駅高架をずらす必要があり、拡張区域の立ち退きが生じる可能性も出た。


 そのような中、1/17付の地元・福井新聞に掲載された県の新たな提案は、「勝山永平寺線だけ高架化し、三国芦原線はLRT(Light Lail Transit:次世代型路面電車)化する」というものであった。具体的には、

・えちぜん鉄道の路線のうち、勝山永平寺線のみ高架化
・三国芦原線はLRV(Light Rail Vehicle:軽鉄道車両)を導入し、田原町駅から福井鉄道と接続(相互乗り入れ)し、福井駅付近まで乗り入れる
・田原町~福井口はシャトル運行を行う

となっている。まだ京福であった頃から言われてきた相互乗り入れの案がこのような形で浮上してきた。福井市が「LRTを県都のシンボルに」と新案を強く要請したとのことで、新幹線駅の2階建て堅持、かつ駅東側への拡大を抑える案、さらには新幹線開業後のまちづくりを見越した案として浮上したよう。ただし、LRV導入のための車両費、およびホーム改修などの設備費で60~80億円かかるほか、相互乗り入れに係る技術面の問題があるという。

 これらの問題以外に乗客への影響が考えられる。学生の流れを例にとると、田原町駅周辺の文京地区は高校・大学が多く、朝夕には学生の乗降が絶えない。その中には勝山永平寺線から三国芦原線を乗り継いで利用する学生も多く、まず両路線での乗り継ぎで輸送上・時間上の問題は考えなければならないように思える。

 また、路線を案に沿って変更した場合、三国芦原線から福井駅へは福井鉄道の路線経由で行くか、福井口まで乗って勝山永平寺線で行くことになる。前者は福井鉄道とのダイヤの兼ね合いや軌道での遅延影響、後者は乗り継ぎの時間について考える必要があると感じる。

 三国芦原線にLRV(ここでは小型かつ低床の電車を指すだろう)を導入することには、輸送力不足や外的影響(車両が軽いから横風などで倒れないか、積雪時に立ち往生したり圧雪で脱線するのでは)などの理由で反対を掲げる利用者もいるそうだ。これらの問題は、福井鉄道がまさに直面している問題であり、そのことがかえってえちぜん鉄道のLRT化への批判を強めているのだろう。

 今回の案は、新幹線駅の計画変更による不具合を緩和する目的で出されたという性格が強い。えちぜん鉄道の利用が軌道に乗り始めてまだ少し、というところに福井鉄道との相互乗り入れを含めたLRT化計画は、「乗りやすく便利で、環境にもやさしい」といわれても、資金面、輸送力、技術上の問題から決して容易でなく、また全面的に歓迎されているわけではないよう。本当は新幹線駅計画を3階建てに戻すのが良いのだろうが、一度国に申請した手前、やすやすと撤回できないのも実情のよう。LRT化を促進するだけなら、田原町駅~福井駅でかつての福井鉄道市内線のように専用車両を導入し、かつ信号機など設備面での改善を図る、という考えもある。それよりも先に、批判の元になっている福井鉄道の改善(少なくとも輸送面の改善)が必要かもしれないが。

 都市計画は将来のまちの方向性を決めてしまうだけに慎重に行わなければならない。一度進めてしまうとやり直しがなかなかできないだけに、この問題についても、沿線の住民、利用者を含めた議論をし固めていくべきでは、と思う。


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