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支流からの眺め

UR戦争にあっても目覚めないのは誰か

 欧州では太古から領土と王権をめぐる戦いが続いてきた。ナポレオン戦争と第一次世界大戦にはさすがに懲りて、国際連盟が設けられた。しかし、その効なく、20年で第二次世界大戦(WWⅡ)が起こった。WWⅡ後には、米国が主導する形で国際連合(United Nations:UN)が作られた。米・ソ・中・英・仏を特権的な常任理事国とし、わが国や独を敵国として抑え込む枠組みで固定させた。

 ただし、米ソの対立構造は変わらなかった。そのため、世界各地での民族紛争、朝鮮戦争やベトナム戦争、米ソ冷戦などが発生した。1991年の冷戦終結を迎え、米国と民主国家連合の覇権が確立し、この30年は欧州を中心に世界は平和を享受した。今回のUkraine-Russia(UR)戦争は、WWⅡ後初の欧州における本格的な戦争である。UR戦争の勃発で、UN体制の限界が露呈した。

 UN設立時と現代の違いは4つある。WWⅡを実体験した人々が去り、悲嘆と消耗の中で人が殺し合う生々しい記憶が薄れていた。兵器も進歩した。核兵器は質・量ともに拡大し、他の兵器は高度に電子化された。また、平和な期間に経済的な互恵関係が進み、逆に経済戦争の威力が高まった。そして、ソ連邦の解体、米国の混迷、中国の台頭の結果、世界は米国一強から三国時代となっていた。

 UR戦争を支える露国民の心は、ロシア帝国とソ連邦の栄光への望郷である。それを冒す他国に対する猜疑心と、弱体化した自国の姿への怒りも共有している。栄光復活の為には軍事力の行使は正当化され、人道は無視される。露国は官僚的で国内法には厳格なことはあるが、国際法はしばしば無視してきた。中共国とは協力関係を装いつつも、対米勢力での主導権を握ろうとしている。

 UR戦争による変化は何か。人々に戦争の悲惨さの記憶を甦らせた。電子戦争や経済戦争の威力を顕示し、国力(軍事力と生産力)の充実と他国との同盟の重要性を明らかとした。一方で、核の威嚇には米国も含め誰も手を出せないことを実証した。勝敗によらず、UR戦争で露国は国際的信用を失う。中共国は、露国の失墜を米中対立の中で巧みに利用しようと狙っている。

 わが国はどうか。核攻撃や領土侵犯の脅威が増し、永遠の平和という理想は夢となった。西側の国々と個別の同盟を深めると共に、武力の充実と自国のために戦う覚悟が必要である。日本人が戦闘行為の矢面に立たない限り、米軍の本格的な支援はあり得ない。それでも、日本が核攻撃を受けるか、米国本土が核威嚇を受ければ、米国は日本を切り捨てるだろう。

 平和憲法は、他国を侵略しないという意思表示である。国防のための軍備は当然必要であり、抑止力としての核装備が必須となった。UR戦争にあっても目覚めないのは、平和を唱えれば平和が来ると信じる空想的好人物(平和教信者)、潜在的敵国の謀略に拐かされたか迷わされた被洗脳者(親中北鮮派)、他人より肉親を憎む近親憎悪的な変質者(日本売国奴)のいずれかである。

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