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大阪のおばちゃんのお話

つれづれ日記・創作・童話・エッセイ 

ちょっと 童話 {きつねのきんたと おぼうさま その5 }

2009-01-05 19:53:19 | 童話

 おじいさんに化けたきんたは 今日も お腹いっぱいでぐっすりとねむりこみ
きつねのすがたにもどっていました。朝 きがついたきんたは またあわててエイヤッとかけごえをかけて おじいさんに化けました。
 また おぼうさまは 
 「おじいさんに えいようのある おさかなをもらってきてあげるからまっていなされ」
 そういうと 村に出かけていきました。
 きんたは 
 ”やったぜ!さかななんて ひさしぶりだぞ。たのしみだなぁ。フッフッフッ”
 にやにやしてまっていると おしょうさまは おじさんといっしょにかえってきました。
 「おじいさんは みやこ村のゲンさんを たずねて まよってしまったといってたね。この人は ゲンさんをしっているんだそうだ。この にもののさかなを食べたら おくってもらいなされ。1里もいったらゲンさんの家があるらしい」
 「よう知ってますわ。ゲンさんは えらいケチでイジワルで としよりも びょうにんも はたらかすということだが ゲンさんの しりあいだったら まさか はたらかせはしないだろうが・・・ とにかく ひどいにんげんらしいが」
 と おぼうさまが つれてきたおじさんがいいました。
 きんたは
 ”えぇ! まずいなぁ。てきとうな でたらめな村のなまえと いいかげんな人の名前いったのに・・・ ほんとうに! そんなむらがあり そんな人がいたのかっ! まずいなぁ”きんたは思いました。”はたらくなんて! いやだ”きんたは お便所にいくふりをして にげだしました。

 きんたは 考えました。
 ”そうだ! おこぞうさんに化けよう。そうしたら あのお寺に ずっと住めるぞ!” そう考えたきんたは おこぞうさんに化けて またあのお寺にいきました。
 また あのおぼうさまがでてきて
 「これは いいときにきてくれたものだ。わしのでしがほしいと思っていたところだ。さぁ あがって あったかいものでも おたべ」
 と いってくれました。
 また きんたは お腹いっぱい食べました。しかも 今日はおかゆでかなく 白いお米と さといもいっぱい入ったおみそ汁でした。きんたは もうお腹がはれつしそうなほど いっぱい食べました。
 そして いままでのように ぐっすりねこみ きつねにもどっていましたが おぼうさまが へやにはいってくるまえに こぞうさまに化けました。

 しかし
 きんたの化けたこぞうは さっそくおぼうさまに お寺のろうかのふきそうじ にわのかれはのはきそうじ・・・ つぎつぎと おぼうさまは きんたのこぞうに ようじをいいつけました。
”えぇっ~~  しんどいよう~~ いやだよう~~”きんたは思いましたが
にげだすまもなく おぼうさまはきんたについてあるくのです。
 そして ちょっとのおかゆと 実のないお汁を食べると おぼうさまは 本堂にきんたをつれていくと おきょうをいっしょにとなえるよういいつけました。
 きんたは おきょうを知りません。
 「おまえは こぞうなのにおきょうを知らないのか? わしに ついてとなえるのじゃ」
と おぼうさまは いげんをもっていいました。
 きんたのこぞうは おぼうさまのうしろで ”せいざ”して おぼうさまについて モニャモニャ・・・ となえていましたが・・・
 ”ゴッテン”と うしろにひっくりかえってしまいました。
 こぞうに化けていても もともとはきんたはきつねですから ”せいざ”は とても むりで むつかしかったのです。
 ひっくりかえったとどうじに きんたは・・・ きつねにもどっていました!
 
 「わっはっは~~ わっはっは~~わっはっは~~」
 おぼうさまが おおわらいしてきんたをみました。

                     つづく
 

 

ちょっと 童話 {きつねのきんたと おぼうさま その4 }

2009-01-03 13:54:14 | 童話

 きんたは おぼうさまがもらってきてくれるという たまごを よだれをたらしながら まっていました。

 おぼうさまが かえってきました
 きんたは よだれをふくと
 「おかえりなさいっませ」と せいいっぱいの女の声でいいました。
 おぼうさまは ひとりではありませんでした。のうかの おばさんといっしょでした。

 「おぉおぉ。お腹もすいておられるじゃろう。ゆでたまごを 5個ももらってきたぞ。さあさあ お食べ。食べたら この人についていって はたらかせてもらうのだ。びょうにんや としよりでないかぎり はたらかねばな。”はたらかざるもの くうべからず”じゃからな」
 きんたは
 「えぇ!・・・ はたらく? そんなぁ~~」
 と はたらいたり うごくのが だいきらいのきんたはいいました。
 
 「きょうは たうえでいそがしいですわ。てつだってくれたら なんぼでも ご飯たべてもらっても ええですわ」
 と おぼうさまといっしょにきた おんなのひとがいいました。
 ゆでたまごを 5個たべてしまったきんたは しかたなく女の人についていきました。”やだなぁ~~ はたらくなんて。それに・・・ もともときつねのボクに
たうえなんて・・・ むりさ! そうだ 今 お腹いっぱいだもん。このまま にげちゃおう! ”きんたは かんがえると クルンといっかいてんするときつねにもどり 道のそばにあった神社にかけこみました。きのかげからみていると 女の人がふりかえり とつぜん消えてしまったきんたを オロオロ キョロキョロしながらさがしています。きんたは ”クッ クッ クッ・・・”と笑いながらかけだしました。

 翌日になると きんたは またお腹がすいてきました。昨日のゆでたまごのおいしさがわすれられません。きんたは かんがえました。”きのう ぼうさまは としよりとびょうきのひとは はたらかなくてもいいといってたなぁ。そうだ・・・ こんどは 男のとしよりに化けよう・・・ そうすれば 声のことも気にしなくていいし としよりだから はたらかなくてもいいし・・・ そうだ。 そうだ。いいかんがえだ。これで おぼうさまを 化かしてやろう。ウッフッフ ウッフッフだ」
 きんたは エイヤッとかいてんすると 男の老人になりました。頭のけも ひげも真っ白です。こしもまがっています。

 きんたは またおてらの門をたたきました。きのうの おぼうさまがでてきて
おなじように あつあつのおかゆとキノコ汁をふるまっもらいました。
 ”フッ フッ”きんたは 笑いながら おなかいっぱいになるまで 食べつづけました。



 

ちょっと 童話 {きつねのきんたと おぼうさま その3 }

2009-01-01 16:41:03 | 童話

 きつねのきんたは お腹がすきすぎて すきすぎて・・・
 なぐられたあたまが ズキズキし ・・・
 ふらふら ふらふら あるいていました。

 となりむらのはずれの 小さな山の山みちを とぼとぼ歩いていると
 とおくにあかりがみえました。
 だれか にんげんが住んでいるのです。
 きんたは また なぐられるかもしれないと こわくなりましたが
 お腹のすきすぎで
 ”もう どうなってもいいや。とにかく なんでもいいから 食べたい!”
 と思いました。
 あかりにむかってあるいていくと それは山寺でした。
 
 きんたは 考えました。ズキズキするあたまをおさえながら 考えました。

 ”そうだ! にんげんに化けたらいい”と。

 きんたは わかい女の人に 化けました。
 山寺のもんを どんどんとたたくと しろいひげのとしよりの おぼうさまが
 でてきて
 「どう なされました? こんな夜おそくに。まぁ とりあえず 本堂にあがりなされ。えらく・・・つかれておられるようじゃが・・・ 」
 「えぇ・・・ ちょっと ころんであたまをうちまして・・・」
 「おぉ~~ それは さいなんで おきのどくじゃなぁ。それに ひどく 声がかれておるようじゃが・・・」
 「えっ! あぁ 少しカゼぎみでして コンコン コンコン・・・」
 「それは たいへんじゃなぁ。なにもないが あついきのこ汁があるから まぁ それで あったまりなされ・・・」
 きんたは むねがドキドキしました。じつは きんたは 化けるとき ”声”がうまく 化けられず 男の声になってしまうのです。
 ”これは まずいぞ。もっと 女らしい声を出さねば ばれてしまうぞ”と おもいました。

 おぼうさまの出してくれた きのこ汁のおいしいこと おいしいこと。
 おぼうさまは それに おもちとふかしたさつまいもも出してくれました。
 きんたは ”女”に化けていることを忘れて 
 むしゃむしゃ べちゃべちゃと 音を立てながら おぼうさまの出してくれた
 物を あっというまに食べてしまいました。

 おぼうさまは
 「おぉ おぉ ずいぶんお腹をすかしておられたんですなぁ。あたたまりましたかな? 少し よこになって 休みなされ」
 と ニコニコ笑いながらいってくれました。
 きんたは
 「やっと お腹がいっぱいになりまして。はしたないことをして はずかしゅうございます」
 といいましたが その声は どうきいても男の声でした。
 きんたは たべものも 仲間から分けてもらっているなまけものですが ”化け方”の べんきょうもさぼってばかりいたのです。
 おぼうさまにいわれて 少しだけ休むつもりだったきんたは ぐっすりと・・・
 ねこんでしまいました。
 ねこんだきんたは・・・ きつねのもとの体になっていることに 朝まで気が付きませんでした。朝 おきたきんたは じぶんの体が きつねにもどっていることに気がつき おどろいて ”えいやっ”と とんぼがえりすると 女の人に化けました。

 おぼうさまが はいってきました。
 「よく ねむれましたかな? あさの おかゆができていますが どうですかな? あなたが 食べているあいだに わたしは むらにいって あなたのためになにか えいようのあるものをかってきましょう。にわとりの卵などをな」
 きんたは にわとりのたまごが いちばんだいすきでした。
 「まぁ~~~ そんな! おてまをかけて~~ 」
 きんたは せいいっぱいの女の声を作っていいました。

 おぼうさまがむらにでかけているあいだ きんたは おかゆを きつねのすがたにもどって たらふくたべました。
 やっぱり 人間になっているより きつねのままのほうが たべやすいからです。
 おいしいこと おいしいこと・・・
 きんたは らくをしながら なまけもののままで まいにち たらふくたべられる このおてらにすみ おぼうさまをだまして くらそうと思いました。

 どうやら おぼうさまがかえってきたようです。
 きんたは ”えいやっ”のかけ声とともに また女のひとに また化けました。

                       つづく 

                          
 
 

ちょっと 童話{きつねのきんたと おぼうさま その2}

2008-12-30 21:29:28 | 童話

 きつねのきんたは 
「ちょっとさぁ! えものわけてもらえないかなぁ。あしが いたくてさぁ」
 とか。
「きみのえもの まっていたのさぁ。おそかったじゃないか!」
 とか。
 とても えらそうに いばっていうようになってしまいました。
 仲間のきつねたちから
 だんだん だんだん・・・ きらわれていきました。
 いつも えものをきまえよく しんせつに 分けてくれていたなかまたちから
 だんだん だんだん・・・ いやがられていきました。

 きんたは いままで しんせつだったなかまたちから
  きらわれたり いやがられたりする りゆうがわかりませんでした。

 きんたは はらをたてました。
 えものを わけてくれないことに おこりました。

 「あのさぁ。どうしてえものをくれないのさ! ぼく おなかすいているんだ!」
 きんたは どなりました。

 なかまは みんな そっぽをむきました。

 なかまのなかの いちばんのおとしよりのきつねの ごんたがいいました。
 「きんた! あのな。いままで おまえのわがままや じぶんかってのこうどう に みんな しんせつにしてきただろうが! もう たくさんだ! ここから  でていけ! おまえは わしらのなかまじゃない! 」
 「えぇ!・・・ そんな。ぼくは・・・ ぼくは・・・ 」
 「あのな。おまえは ひとりで これからはいきていってみよ!」
 「えぇ! ぼく ひとりで・・・ そんなんむり・・・ です」
 「出て行って ひとりで生きていけ! 」

 こうして きんたは なかまとくらしたむらはずれの山を おいだされてしまい ました。
 
 きんたは えもののうさぎを見つけて 追いかけましたが・・・
 いつも 仲間から えものをもらってばかりいて・・・
 おデブになっていたきんたは 少し追いかけただけで いきがきれて・・・
 ねずみをみつけて 追いかけましたが・・・
 あっというまに 見失ってしまい・・・
 むらはずれの おじいさんの家の にわとりを ねらいましたが・・・
 さわがれて おじいさんに ぼうでしたたか なぐられて・・・

 きんたは もう お腹がぺこぺこで 死にそうになりました。

 おじいさんの畑の おいもをしっけいしょうと おもいましたが
 また おじいさんにみつかり ぼうでしたたか なぐられ・・・
 きんたの あたまは こぶだらけになってしまいました・・・

                    つづく
 
 
 

ちょっと 童話 {キツネの きんたと お坊さま  その1 }

2008-12-29 21:11:36 | 童話

 ある村の 小さなお山に キツネのきんたがすんでいました。
 きんたは 食べることが大好きでしたが じぶんで狩をするのは 
  きらいでした。
  めんどくさいからです。
  しんどいからです。
 だから いつも だれかが取ってきたえものを もらうことにしていました。

 「ちょっと ケガしてさぁ。えものを取りにいけなかったんだ」
  と 後ろ足を引きずりながら いいました。
  すると 仲間のだれかが 
 「いいよ。ぼくのをわけてあげる」と かならずいってくれて
 きんたは ”らくちん らくちん”といいながら わけてもらったえものを
  たらふく食べることが出来ました。
 「きょうは いっしょうけんめいえものさがしたけど 見つからなかったんだ。
 いいさ。はらぺこで ねむるよ」
  と かなしそうに いうこともありました。
  すると 仲間はだれかが
 「ぼくの えものは きょうは大きいんだ。だから はんぶんあげるよ」と か ならずいってくれて
 きんたは ”へっへっ”といいながら わけてもらったえものを 
  ペロリッと食べてしまいました。

 いつも いつも 
 きんたは えものを取ることもせずに
 仲間のだれよりも いっぱい食べて
 仲間のだれよりも 太って 元気でした。
 いつしか
 きんたは ”じぶんは だれよりも えらいんだ。みんなは オレのためにえも のを 取ってくるんだ”と 思うようになりました。
 きんたの心に (かんしゃ)ではなく (あたりまえ)の心が
 たくさん たくさん・・・  たまってしまっていたのです。

                   つづく
  

ちょっと 童話 { くまの ”ののた”の みつけたもの  }

2008-12-18 22:19:10 | 童話

 くまの ”ののた”は とっても とっても くいしんぼうです。
 もちろん いちばんすきなのは あまいあまい はちみつです。
 でも くりのみも どんぐりも のいちごも だいすきです。
 ときどき ほんのときどき
 やまをおりて むらのはずれの 
 げんたじいさんの にわの かきのきにのぼり 
 こっそりと すばやく おいしい あかいかきのみを
 とって・・・ たべちゃうこともあります。

 げんたじいさんは ”ののた”のいたずらを しっていました。
 こっそり かきのみを とっている”ののた”を こっそり みていました。
 うれしそうに にこにこわらって みていました。

 げんたじいさんは ”ののた”を じぶんのこどものように おもっていまた。

 あるひ
 ”ののた”は いつものように おいしいたべものを さがしていました。
 あちこち あちこち さがしていました。
 なかなかみつかりませんでした。
 ところが
 たべもののかわりに・・・

 ”ののた”は おなじなかまのくまに であいました。
 ”ののた”は どきっとしました。すこし ぼっと してしまいました。
 ”ののた”は たべもをさがすことも わすれてしまいました。
 ”ののた”は ともだちが できたのです。
 ”ののた”は ともだちが たいせつなことを しりました。
 ”ののた”は ともだちになったくまと 
          げんたじいさんの にわのかきのみを たべました。

 ”ののた”は たべものよりも もっとたいせつな
          ともだちを つくることができました。
 ”ののた”は ともだちは はな みたいだとおもいました。
          はなは たべられないけど
          そばにいると いいにおいがして
          こころが あかるくなり たのしくなり
          げんきになり やさしくなれるからです。
        

 げんたじいさんは にひきのくまが 
 なかよく かきのみをたべているのを 
 にこにこしながら みていました。
 ”ののた”に ともだちができたことを
          いちばん よろこんでいたのは げんたじいさんでした。

 そして
 ”ののた”は はなのような
        ともだちと なかよくくらしていました。いつまでも。

                 おわり

  # ”花より団子”といいますが 本音は花だと思います。
   団子に走る人間より 花を愛でる人間のほうが ”人間”ではないかと
   私は 思うからです。

    に   江戸かるた   憎まれっ子世にはばかる
        尾張かるた   憎まれっ子頭(かみ)堅し
        上方かるた   二階から目薬

 
 
 
 
   
 

ちょっと 童話 {太郎のてんびん棒  その3}

2008-12-01 22:29:53 | 童話
 おじいさんは 庄屋さんからもらったてんびん棒を ”太郎のてんびん棒”となずけました。
 たんぼや畑にいくとき モッコにくわやすきやかまを入れ イネのなえやさいのたねを入れて うしろとまえに そのモッコを 太郎のてんびん棒にぶらさげて歩くと・・・ なんと・・・ 
 いままで おじいさんの こしや足のいたみがきえ かるがると にもつをはこぶことができました。
 「あぁ らくちん らくちん。太郎のてんびん棒のおかげだよ。ありがたい。ありがたい」 
 と おじいさんは 毎日 毎日 太郎にいいました。

 太郎のてんびん棒は どんなに 重いにもつをはこんでも かるがるとはこぶことができるのでした。ふしぎな ふしぎな てんびん棒でした。

 おじいさんは 月に二回 町にでかけ はたけで とれたダイコンや なっぱや 山で取ってきたきのこや きのみや かれえだや にわでとれたかきやみかんをモッコに入れて 太郎のてんびん棒につけて 売りに行きました。

 町まででかけても おじいさんの足は 若者のように かるがると歩くことができたのです。
 それに ふしぎなことに・・・ おじいさんの売りにいったものは あっというまに 売れてしまうのでした。
 「太郎のてんびん棒のおかげさ。太郎のおかげさ。ありがたいねぇ」
 と おじいさんは おじいさんのあしもとで いっしょに歩く太郎に いつもかたりかけるのでした。
 そのたびに 太郎は幸せで・・・ 幸せで・・・ 太郎のあしどりも かるくかるくなるのでした。

 町に行く さいしょの日には いつもかえりに アンコのいっぱいつまったおまんじゅうをかってかえり おじいさんと太郎は いろりのそばで 食べました。
 「おいしいなぁ おいしいなぁ。太郎のてんびん棒のおかげだよ」
 おじいさんは 太郎のあたまをなでながらいいました。

 町に行く もう一回の日には 海でしかとれないというタイというお魚をかってかえり その日だけは あわやひえやおいもの入ったおかゆではなく ほかほかのまっ白なごはんをたいて おじいさんと太郎は いろりのそばで 食べました。
 「おいしいなぁ おいしいなぁ。太郎のてんびん棒のおかげだよ」
 おじいさんは 太郎をだきしめながらいいました。

 おじいさんと太郎は となりの村の正直じいさんのように 大判小判がざっくざっくほりあてたり 枯れ木のさくらを咲かして お殿さまからごほうびをもらって 大金持ちにはなることはできませんでしたが しあわせいっぱいの毎日を おくったということです。

                    おわり

 #犬も歩けば 棒にあたる・・・は 犬棒カルタの最初です。 
  そのもともとの意味は お散歩に出た無実の犬が 訳もなく災難にあうことをさし まぁでしゃばると災難にあうという意味だとのことですが 私は 犬でもなんでも 何もしないでぼっーとしているより 行動をおこせば 幸運に出合うというふうにとっていました。そしてそのほうが 「気持ち良い」という意味で このお話を 書いて見ました。

 {ろ}は
       江戸カルタ      論より証拠
       尾張カルタ      六十の三つ子
       上方カルタ      論語読みの論語知らず     です。   
 
 

ちょっと 童話 {太郎のてんびん棒 その2}

2008-11-29 20:49:52 | 童話

 ある日 太郎はおじいさんと畑に行きました。
 おじいさんが 畑ではたらいているあいだ 太郎は あぜみちや のはらを
 くんくんと かぎまわりました。
 大判小判が どんな匂いがするのかわかりませんでしたが おじいさんのためにさがしてあげようと・・・くんくん くんくんとかぎまわりました。
 太郎の鼻のあたまは すなやどろや くさのみやくさのはで べちゃべちゃになりました。
 
 畑の近くの かわはらまで 大判小判をさがしに行きました。
 とつぜん
 「たすけて~~~  たすけて~~ 」というさけびを ききました。 
 おどろいて 太郎が川のほうを見ると
 子どもが 川にながされていきます。
 太郎は おおいそぎで川にとびこみ ひっしでおよいで 
 子どもにちかづき 子どもの きものをくわえ 
 川ぎしにむかって いっしょうけんめいおよぎました。
 はが ぬけるかと思うほど くちのあごが はずれるほど はをくいしばり   くびがおれるほど くびに力をいれて
 子どもの体を ささえて・・・ いっしょうけんめい およぎました。

 やっと 子どもの体を川ぎしまではこび およぎつくと・・・
 太郎は 体中の力がぬけ 気を失ってしまいました。
 
 太郎は ほかほかのあたたかさと 体をきもちよくなぜられるきもちよさと 
 かおにかかるみずのしずくを かんじました。

 太郎は 目をあけました。
 いろりの火と 太郎の体をなぜるおじいさんの手と 
 なみだをながしている おじいさんのかおが みえました。

 「おぉ よかった。よかった。太郎が 気がついた。あぁ 太郎が死んだら どうしょうと・・・ しんぱいでしんぱいで。よかった。よかった」
 と おじいさんは太郎をだきしめると オイオイ なきだしました。
 おじいさんは あたたかいおかゆを ねている太郎のくちに
 少しずつ 少しずつ 木のしゃもじで 口に入れてくれました。
 太郎は 幸せでした。
 その夜は 太郎はおじいさんのむねのなかで だっこされなからねむりました。

 よくあさ おじいさんと太郎が 井戸で水をくみ
 おじいさんは かおをあらい 太郎が おいしい井戸水をのんでいると
 庄屋さんが あさはやくから おじいさんの家にやってきました。

 「おはよおぉ~~ おじいさん! きのうはありがたいことで。うちのだいじな息子を その犬がたすけてくれたそうで。もう かんしゃしてもかんしゃしきれんわ。それでな うちに代々つたわる てんびん棒を礼にやろうとおもってな。このてんびん棒は わしのじいさんのじいさんが この国をおさめている殿さんより もっとえらい殿さんから いただいたものだと つたえられている わしのうちの宝もんなんだ。むすこの命の恩人の おじいさんに このてんびん棒をもらってもらいたいのだ」
 といいました。
 おじいさんは おどろき
 「そんな だいじなものは いらんですわ。もったいないことです」
 と なんどもことわりましたが 庄屋さんは そのてんぶん棒をおいてかえってしまいました。

 庄屋さんは 村中の人にしたわれている とてもやさしい庄屋さんでした。
 おじいさんは そんな庄屋さんのうちの 宝物のてんびん棒もらって 
 とっても よろこびました。
 太郎のあたまをなぜながら
 「ありがたいこって ありがたいこって。これも 太郎のおかげだぞ。太郎ありがとうなぁ。ありがとうなぁ」
 と いいました。
  
 そのてんびん棒は ぴかぴか光っていました。
 おじいさんが かたにのせてみると そのかるいことかるいこと・・・・

 おじいさんは
 「おぉ おぉ かるいかるい。まるで 鳥のはねのようじゃ。太郎のおかげだ」
 と 大喜びしました。
 太郎も 大喜びするおじいさんをみて 大喜びしました。

               つづく
  

ちょっと 童話 {太郎の てんびん棒  その1}

2008-11-28 22:29:20 | 童話

 むかし むかし ある村に  
 おじいさんと太郎という名前の犬がすんでいました。
 おじいさんと 太郎は とっても仲良しでした。
 山にしば刈りに行くときも たんぼにいくときも 畑にいくときも
 町に くりやあけびや おいもやなっぱや かきやみかんを売りに行くときも
 いつもいつも いっしょでした。

 ある日 いろりで いわなをやきながら いいにおいと 
 あたたかい いろりの火につつまれながら 太郎は うとうとしていました。
 おじいさんが 太郎のあたまをなぜながら いいました。
 「あのな となりの村の 正直者のじいさんがかってた犬がな ある日 大判小判を ざっくざっく ほりあてて えらい大金持ちになったんだそうだ。だけど そのじいさんの となりに住む いじわるじいさんが その犬をかりてな・・・ 大判小判を ほらそうと思ってなぁ。だけど 出てきたのは ガラクタばかり。 怒ったいじわるじいさんが その犬殺して そこに木を植えたんだと。悲しんだ正直じいさんは その木でうすを作り もちをついたら うすから大判小判がざっくざっく でたんだと。それで いじわるじいさんが そのうすを借りて もちをついたら またがらくたばっかしだったんだってさ。それで 怒ったいじわるじいさんがそのうすをもやしてしまったんだと。悲しんだ正直じいさんは そのうすの灰を 枯れ木にまいたら・・・ なんと 枯れ木のさくらに花が咲き 殿様からたくさん ごほうびをもらって 幸せにくらしているそうだってさ。だけど・・・ さぁ。 わしは いやだな。かわいい犬が 死んじまうんだっら 貧乏で いいさ。なぁ~~。わしは 太郎がいれば それで幸せさ」
 
 それを聞いていた太郎は
 (そうだ ぼくも おじいさんの役にたちたいなぁ)と 思いました。
 それから どうしたら おじいさんを幸せにできるかと考えていましたが 
 考えていると・・・ ねてしまいました。
 
 おじいさんと はたけやたんぼにいっしょにいくときも
 町にいくときも 歩きながら 考え 考え・・・ ました。 
 だけど・・・
 太郎には 大判小判をさがすことができませんでした。
 なぜなら・・・
 太郎は 大判小判の匂いをしらないので・・・鼻が 役に立たないからです。 
 太郎は おじいさんの役にたちたい 役に立ちたいと しんけんに思いました。

 太郎が 生まれてすぐ捨てられて 冷たい雨の中 
 おなかすかして死にそうだったとき 
 おじいさんに拾われて あたたかいおかゆを食べさせてもらい
 おじいさんにだかれて ねどこでねむったとき
 太郎は しあわせで しあわせで
 いつか おじいさんに 恩返ししようと 思ったのです。
 ずっと ずっと ずっと 思い続けていました。
 おじいさんを しあわせにしてあげたいと・・・ 思い続けていました。

               つづく
 
 

ちょっと 童話 {ぷーちゃん・・・ {しあわせが やってきた}

2008-07-23 22:45:36 | 童話

 ぼくを  かってくれた 
 おんなのひとは  まぁちゃん
 おとこのひとは  たけちゃん
 やさしいやさしい  ふたり
 ぼく しあわせ  いいきもち

 「はやく  あかちゃん  ほしいね」
 「きっと  きっと  あかちゃん  やってくるさ」
 「まっているのにね」   
 ふたりは  あかちゃん・・・ というもの
 ほしいんだね。 
 いつもいつも  そのはなしなんだ

 あかちゃんって  なあに?

 そうだ
 きっと  さんぽのとき 
 よくみる  だっこされたり  
 ちっちゃな  くるまにのって  
 まんまるな  あたまの  まんまるな  めをして
 いいにおいのする  ちっちゃな  にんげんのことなんだね

 まぁちゃんと  たけちゃんは
 あの  あかちゃんという  にんげんがほしいんだ
 ぼくを  こんなに  かわいがり  あいしてくれている
 ふたりに
 あんなに  まっている  あかちゃんを
 「ください  ください」
 って  ぼく  まいにち  おつきさまに
 おねがいしたんだよ  まどからみえる  おつきさまに

 そしてさ・・・
 まぁちゃんの  おなかに
 ちいちゃな  ちっちゃな  あかちゃんが
 やってきたんだって・・・

 ぼく  あかちゃんって  
 いつも  さんぽのときみる  あかちゃんが
 すぐ  やってくるのだって  おもっていたんだけど・・・

 あかちゃんって  まぁちゃんの
 おなかのなかで  だんだん  だんだん
 おおきくなるんだって

 「ぷーちゃんは  しあわせを  はこんできたんだ」
 「そう・・・ ぷーちゃんは  くろいトイプードルだもんね」
 「くろいトイプードルは  しあわせを  はこんでくるんだってさ」
 「そう・・・ そういう  いいつたえがあるのね」
 「ぷーちゃんが  あかちゃん  つれてきてくれたんだ」
 「ありがとう  ありがとう  ぷーちゃん!」

 まぁちゃんが  ぼくを  ぎゅっと  
 いたいほど  ぎゅっと  ぎゅっと
 だきしめてくれた  
 まぁちゃんも
 たけちゃんも
 ぼくも・・・
 しあわせいっぱい  しあわせいっぱい

                        おわり