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大阪のおばちゃんのお話

つれづれ日記・創作・童話・エッセイ 

ちょっと 童話 {トイプードルのぴーちゃんの ぼうけん その4}

2009-02-21 20:08:47 | 童話
 じゅにあは じぶんのいえにかえると げんかんのとを
 つめで ひっかけると じょうずにあけました。
 ちんちん ちろりとおとがすると
 あいちゃんのばあちゃんくらいの ばあちゃんが
 「おや。おかえり。きょうは どこにいっていたんだい? あらっ そのこいぬは どうしたのさ」
 と いいました。
 じゅにあは
 「まいごなんだ。あした こいつのいえまで おくってやろうとおもってさ。こんばんは ぼくといっしゃにねるんだ。あぁあ~~ おなかすいたよ」
 と いっています。
 もちろん ねこごで。
 それでも・・・ おばあちゃんは
 「おや。そうかい。かわいそうだね。あっ うちには いぬのごはんないねぇ。まっときや。すぐ どっぐふーどを かってきてあげるよ」
 そういうと さいふをもってでかけました。
 「すごいね。あの おばあちゃん ねこごがわかるんだ」
 と ぴーちゃんがいうと
 「それはそうさ。ぼく もう13さい。けっこうじいさんねこなんだ。ずっと ばあちゃんとくらしていて ぼくたちは ちゃんと はなしつうじあえるんだ」
 じゅにあは とくいそうにいました。
 ぴーちゃんは まだまだ あいちゃんのかぞくと はなしが つうじあえないことが おおかったからです。
 ”おなか すいたよ”とぴーちゃんがいっても
 ”ぴーちゃん おさんぽはまだだよ”と いわれたり
 ”おやつほしいよ”とぴーちゃんがいっても
 ”あそびたいの? いま いそがしいからね”と いわれたり
 ぴーちゃんの はなしがつうじないことが いっぱい あるのです。
 ぴーちゃんには にんげんのことばは よく わかるのですが。
 いぬもねこも にんげんにはわからないけど すごいのうりょくがあるのです。 
 「すごいね。にんげんに じゅにあさんのことば わかるんだね」
 「それはさ。もう13ねんも いっしょにすんでいるんだもの」
 じゅにあは うれしそうにいいました。

 「ほらほら。どっくふーどだよ。いちばん こうきゅうなものをかってきたよ」
 ばあちゃんがいいながら おさらのなかに たっぷりとどっくふーどを いれてくれました。
 そのおいしいこと・・・ おおいしいこと・・・
 ぴーちゃんは どっぐふーどに いつもとちがうしゅるいがあることを はじめてしりました。
 「おいしいだろう? まいごになって たいへんだったね。つかれただろうね。かわいそうに。でも だいじょうぶさ。じゅにあは すごくかしこくてやさしい ねこなんだよ。あした かならず あんたを いえまでおくってくれるさ。あんしんして じゅにあといっしょに ゆっくりねなさいや」
 そういうと おばあちゃんは あたたかそうな ふかふかのもうふをもっきてくれました。

 たっぷりの どっくふーどをたべると ぴーちゃんは とっても とっても ねむくなりました。とっても とっても つかれていたからです。

 ぴーちゃんは じゅにあのとなりでねむりました。
 あいちゃんが よんでいるゆめをみながら。
 まんかいのさくらのきのしたで あいちゃんが ぴーちゃんを だっこしてくれている ゆめをみながら。
 ”あいちゃん あいちゃん あしたかえるから まっててね”
 ゆめのなかで ぴーちゃんがいっています。
 それは ねごとになりました。
 ねごとをいっているぴーちゃんを じゅにあは やさしいめでみながら ぴーちゃんのからだを やさしくやさしく なめていました。


                     つづく                     

ちょっと 童話 {トイプードルのぴーちゃんの ぼうけん その3}

2009-02-20 20:31:37 | 童話

 からすの くろがいった。
 「なんていったったかな? おまえのなまえ?」
 「ぴーちゃんです」
 「へんな なまえだなぁ~~」
 「えっ あいちゃんがつけてくれたんだもの。ぼく このなまえすきだもん」
 「そうか。そうか。あっ そうだ おまえが いつもさんぽにいっていた こうえん どんなものがあったんだい?」
 「えっと えっと・・・ ぶらんこがあって すべりだいがあって えっと そうだ! すなばがあってぇ」
 「そんなもの どこのこうえんにもあるさ。なにか かわったもの なかったかい?」
 「・・・・ そうだ! こうえんのまんなかに おおきなさくらのきがあった」
 「さくらのき・・・ か。よし なかまを よんでみる」
 そういうと くろは そらにまいあがり
 「かあぁ~~ かあぁ~~ おーい みんな あつまってくれえ~~ 」
 と なきました。

 すると
 あちらこちらから からすが あつまってきました。
 ぴーちゃんは こわくなりました。
 にんげんたちも きゅうにあつまってきた からすのしゅうだんを きみわるそうに みていました。
 「なんだって いうんだ。いつも からすというと にんげんは きらうんだ」
 くろが はらをててていいました。
 「それはさ。からすは ごみばこあさったりするからさ」
 じゅにあが すこしえらそうにいいました。
 「まぁな。だけど。まちのなかには おれたちがたべるもの ないからさ。それに・・・ おれの じいさんやばあさんの そのまたじいさんやばあさんの そのまたじいさんやばあさんの・・・ ころは ここらへんは おれたちのものだったんだ。かきやいちじくやみかんや くだものや このみがいっぱいだったんだって かあさんがいってたぞ。たべほうだいだったんだそうだ」
 わかい からすがいいました。
 「そうだ。そうだ。おれたちのものだったんだ。ここから ずっとむこうのやままで。 にんげんのほうが おれたちをおいだしたんだ」
 ほかのからすも いいました。 
 「まぁ いまさら そんなこといっても しかたないさ。ところで このまちのなかで こうえんのまんなかに おおきなさくらのきがあるこうえんを しらないかい? 」
 くろが からすのなかまをみわたしながら いいました。
 「さくらのき? なぜさ?」
 いちばんとしよりらしい からすがききました。
 「この こいぬさぁ。ぴーちゃんというんだそうだが まいごになったんだってさ。それで ぴーちゃんのいえのちかくの こうえんのまんなかに おおきなさくらのきが あるんだってさ」
 「さくらのき? みんな しってるかい?」
 また としよりからすがききました。

 みんな おおさわぎで がぁがぁ かぁかぁ~~ そうだんしています。
 ぴーちゃんは どきどきしました。
 こんなにたくさんのからすをみたことがありません。

 「そうだ! あのこうえんだ。はるになると きれいなさくらがさき なつにはこかげになって ぼくたちを おひさまぎらぎらから まもってくれている おおきなさくらのきがあるこうえんだ」
 また としよりのからすが いいました。
 「あぁ~~ そうだ。そうだ。ちかくに こんびにがあって おれたちがすきなべんとうや かしがすててあってさ。たすかっているなぁ」
 わかいからすが いいました。
 「そうか。そうだ。おれも おもいだしたぞ。ここからだと けっこう とおいぞ。ぴーちゃんは ずいぶんとおくまで きてしまっているんだ」
 からすのくろがいいました。

 「あぁ~~ ゆうがたになってしまったぞ」
 じゅにあがいいました。そして
 「う~~ん。きょうは むりだな。くろちゃんは よるにはめがみえなし そのこうえんまで あんないしてもらうことできないぞ」
 といいました。
 ぴーちゃんは なきだしました。
 こわくて かなしくて・・・
 「まぁ こんやは ぼくんちにとまりなよ。あした くろちゃんといっしょに
 そのこうえんまで おくってやるからさ。だいじょうぶさ」
 じゅにあは あかるいこえでいいました。
 「あしたのあさ このこうえんに くろちゃんきてくれよ。ぴーちゃん おいらと くろちゃんとで おくってやるぞ。あしたのあさ たびにでよう」
 「でも。でも。ぼく・・・ 」
 「ぴーちゃんは おくびょうだなぁ。おとこのこだろ。ゆうきをもたなければだめだぞ。さぁ ぼくのいえにいこう。くろちゃん あしたのあさ またな。みんなも ありがとう」
 くろのともだちの からすたちは かえっていきました。

 ぴーちゃんは じゅにあに とぼとぼとついていきました。
 ”あいちゃん! あいちゃん!”と こころのなかで よびかけていました。

                      つづく
 
 

ちょっと 童話 {トイプードル ぴーちゃんの ぼうけん その2 }

2009-02-19 20:21:50 | 童話

 ぴーちゃんは とつぜん こえをかけられました。
 「どこに いくんのさ? ひとりで。あわててさぁ」
 おどろいてみると
 それは とっても とってもふとった ねこでした。
 まどにすわって ぴーちゃんを みおろしていました。

 ぴーちゃんは あわてて かけだそうとしました。
 だって・・・
 ぴーちゃんは ”ねこ”というものが だいのにがてでした。
 だって・・・
 いつも さんぽしている ぴーちゃんを
 おおきなめで にらみつける ねこが きんじょにいたからです。
 
 「こら こら にげるなよ。しんぱいして こえかけたのにさ」
 「でも・・・ ぼく・・・ こわいもの・・・」
 「どうしたのさ。あっ! すてられたんだな」
 「ちがうよ! あいちゃんは そんなことしないもの」
 「へぇ~~ きみのかいぬしは あいちゃんっていうのか」
 「あいちゃんも とうさんもかあさんも ばあちゃんも ぼくのこと とっても
 だいじにしてくれてるもの」
 「そうか・・・ なら まいごなんだな」
 「・・・ おうちが わからなくなっちゃって・・・」
 ぴーちゃんは かなしくなって くうぃん くうぃんとなきだしました。

 「そうか。そうか。かわいそうだな。おなかすいただろ? ちょっと まっておきや。そうそう おれのなまえ じゅにあっていうんだ」
 そういうと そのねこは  
 すわっていたまどから ぴょんととびおりると いえのなかにはいっていきました。

 しばらくして
 じゅにあは おかしのふくろをくわえて まどから 
 ぴーちゃんのそばに ぴよんと とびおりました。
 「さぁ そこにある こうえんにいこう」
 というと はしりだしました。
 ぴーちゃんも いっしょにはしりだしました。

 ぴーちゃんは とっても おなかがすいていることに きがつきました。
 こうえんにつくと
 じゅにあは こうえんのすみにある おおきなきのしたにいくと
 おかしのふくろを するどいつめでやぶると
 「たべや。おなかすいただろう? まぁ それから おまえのいえさがしてやるわ。いいともだちいるからな」
 「ともだち?」
 「そうや。しょうかいするわ。お~い。くろちゃん~~ くろちゃん~~」
 じゅにあが よぶと ばたばたばたばたと おとがして からすが やってきました。
 ぴーちゃんは ひめいをあげました。
 あいちゃんと さんぽしているとき
 からすに なんども いたずらで つつかれそうになり
 こわいおもいを していたからです。

 「なんだ。このこいぬは! ずいぶん こわがりだな」
 からすの くろが くっくっと わらいながらいいました。
 「おぉ~~ おいしそうな びすけっとだ。おいらも いただくとするか」
 「たべ。たべ。ひとふくろ ちょっと もらってきたんだ。こいつ おなかすいてるみたいだからな」
 「ぼく・・・ ぼく・・・ 」
 「いいから。いいから。おいしいよ。あぁ そうか。おまえ どっくふーどしかたべたこと ないんだろ? にんげんのたべもの おいしいんだぞ」
 ぴーちゃんは こまりました。
 だって・・・ あいちゃんの おうちのひとは ぜったい にんげんのたべものをくれません。 にんげんのたべものを たべるとびょうきになるからと いわれているからです。
 でも ぴーちゃんは おなかがすいて すいて がまんばできません。

 ”いっこだけなら いいかな”
 ぴーちゃんは びすけっとを いっこたべてしまいました。
 ”にこだけなら いいかな”
 ぴーちゃんは もういっこたべてしまいました。
 「おいしい~~ おいしい~~ 」
 ぴーちゃんは いままで こんな おいしいものをたべたことがありませんでした。
 さんこ よんこ ごこ ろっこ・・・
 ぴーちゃんは もう むちゅうで たべてしまいました。

 「おい おい もう やめとけよ。さぁ おまえのいえさがしの たびに しょっぱつだ。くろちゃんが さがしてくれるさ」
 「えぇっ! からすが? どうやって?」
 「くろちゃんは このまちのこと なんでも しっているんだ」
 じゅにあは とくいそうに ひげをぴくぴくさせて いいました。


                  つづく 
 
  
 

ちょっと 童話 { トイプードルのぴーちゃんの ぼうけん その1}

2009-02-18 20:33:28 | 童話


            た    江戸かるた    旅は道づれ
                 尾張かるた    大食上戸餅食らい
                 上方かるた    立て板に水
 

 トイプードルのぴーちゃんは ちゃいろの犬です。
 あいちゃんと あいちゃんのおとうさんとおかあさんと 
 おばあちゃんに とっても あいされていました。
 いま いっさいです。
 
 おさんぽがだいすきで いつも ちかくの こうえんに
 あいちゃんと おさんぽにいきます。
 
 「おさんぽに いこう」と あいちゃんがいうと
 ぴーちゃんは おおよろこびで おうちのなかを
 はしりまわります。
 こうえんにいくと あいちゃんを ひっぱるように
 はしりまわります。 
 
 あるひ
 あいちゃんは それにひっぱられて
 ころんでしまいました!

 リードを はなしてしまった あいちゃんは
 「ぴーちゃん ぴーちゃん! 」と さけびました。

 でも
 ぴーちゃんは じゆうになった うれしさで 
 ものすごいいきおいで はしりだしました。
 ぴーちゃんは はじめは じょうだんのつもりで はしりだしたのですが

 いつのまにか・・・ 
 こうえんのそとに はしりだしてしまっていました。

 ぴーちゃんが きがついたとき
 ぴーちゃんは しらないみちに ひとりぼっちで いました。

 ぴーちゃんは はなを くんくんしました。
 みみを ぴんぴんしました。
 あいちゃんの においさがし あいちゃんの こえをさがしました。

 でも・・・
 さがすことが できませんでした。

 ぴーちゃんは ひとりぼっちで こころぼそくて
 きゅ~ん きゅ~んなきだしました。
 ぴーちゃんの まわりを にんげんたちが とおりすぎていきます。

 ”どうしょう~~ どうしょう~~”
 ぴーちゃんは かけだしました。
 そして あいちゃんのいえから もっと とおくに いってしまったのです。


                     つづく
  
 

ちょっと 童話 {わらいんぼじいさんとおこりんぼじいさん その2}

2009-02-07 20:00:53 | 童話

 あるひ こどもたちが よきちじいさんの
 はたけのそばを とおりました。
 おこりんぼじいさんの よきちじいさんのはたけは
 くさが ぼうぼうとはえて あれはてていました。

 よきちじいさんは はたけやたんぼのしごとを なまけていました。
 やまに きのこやこのみをとりにいくことも めったにありません。
 かわに さかなをとりにいくのも ときどきでした。

 こどもたちは だいきらいなよきちじいさんに
 みちばたの こいしをなげつけました。

 よきちじいさんは ものすごい・・・
 おこりんぼじいさんになり 
 こどもたちを どなり おいかけまわしました。

 こどもたちは いつもやさしい ごんたじいさんのいえに
 にげていきました。

 いつも にこにこの わらいんぼじいさんの
 ごんたじいさんが おこりんぼじいさんになりました。

 ごんたじいさんが いいました。
 「ひとに いしをなげたり からかったりするにんげんは はずかしいにんげんだぞ! ひきょうなにんげんだぞ! 」
 こどもたちは ごんたじいさんのことばは わかりませんでしたが
 やさしいごんたじいさんが おこりんぼじいさんになったことで
 じぶんたちが よきちじいさんにしたことは わるいことだとしりました。

 ごんたじいさんは いいました。
 「よきちさんは むかし おまえらとおなじくらいのこどもを びょうきでなくしたんだ。とってもくるしんで たくさんないて あんまりかなしんで おくさんもしんでしまって。よきちさんは わらわなくなって しごともいやになって おこりんぼになってしまったんだよ」

 いつも おおさわぎして あそびまわっているこどもたちは 
 みんな なみだをこぼしました。

 よくじつ よきちじいさんは はたけにいっておどろきました。
 むらじゅうのこどもたちが 
 よきちじいさんのはたけの くさとりをしていたのです。

 そのよくじつ よきちじいさんは やまへ ひさしぶりにいきました。
 むらじゅうのこどもたちが
 よきちじいさについて やまにのぼり きのこやきのみをとって
 よきちじいさんの せおいかごにいれました。

 また そのよくじつ よきちじいさんが かわにさかなをとりにいきました。
 むらじゅうのこどもたちが
 よきちじいさんについて かわにいき わいわいにぎやかにさかなをとって
 よきちじいさんの さかないれの びくにいれました。

 それから まいにち むらのこどもたちは よきちじいさんのいえに
 あそびにいきました。
 おこりんぼじいさんの よきちじいさんは 
 すこしずつ すこしずつ
 こどもたちと なかよしになりました。
 むらのこどもたちは よきちじいさんのまえで うたをうたったり
 いしけりしたり なわとびしたり おにごっこしたりしてあそびました。

 よきちじいさんのいえから こどもたちの わらいごえがきこえました。
 よきちじいさんの わらいごえもしました。
 もちろん そのなかには 
 わらいんぼじいさんの ごんたじいさんの わらいごえもしました。

 わらいんぼじいさんの ごんたじいさんも
 おこりんぼじいさんの よきちじいさんも
 むらじゅうのこどもたちも
 みんな わらいんぼになり そのむらにわらいごえが いっぱいになりました。

 そして そのむらは しあわせいっぱいの こうふくむらといわれ
 いつまでも さかえたということです。
 

                     おわり
    



 

ちょっと 童話 {わらいんぼじいさんと おこりんぼじいさん その1}

2009-02-06 21:50:15 | 童話
 
          わ    江戸かるた    割れ鍋にとじ蓋
               尾張かるた    若いときは二度ない
               上方かるた    笑う角には福くる

 むかし あるむらに ごんたというじいさんと 
 よきちというじいさんがいました。
 ごんたじいさんは とてもはたらきものでした。
 まいにち まいにち たんぼではたらき はたけではたらき
 やまで きのこやきのみをとり かわで さかなをとり
 はたらきました。

 ごんたじいさんは なによりも
 むらのこどもたちと あそぶのがだいすきでした。
 むらのこどもたちは ごんたじいさんがだいすきでした。
 ごんたじいさんのいえでは 
 まいにち まいにち 
 こどもたちの わらいごえがしていました。
 
 となりにすむ よきちじいさんは
 その こどもたちの わらいごえが
 きになって
 はらをたてて おこって おこって
 ごんたじいさんのいえに どなってきました。
 ごんたじいさんは こどもがきらいでした。
 いつも うろちょろし さわぎ やかましい
 こどもが きらいでした。

 よきちじいさんをみると
 こどもたちは くものこをちらすように
 にげていきました。
 よきちじいさんは こどもがきらいでしたが
 こどもたちも よきちじいさんがきらいでした。
 
 いつも いつも
 おこっている よきちじいさんを
 こどもたちは おこりんぼじいさんとよんでいました。

 いつもいつも こどもたちと あそんでくれる
 ごんたじいさんを 
 こどもたちは わらいんぼじいさんとよんでいました。

 もちろん こどもたちは
 おこりんぼじいさんの
 よきちじいさんのことが だいきらいでした。

 わらいんぼじいさんの
 ごんたじいさんのことが だいすきでした。


                        つづく
 

 

  

ちょっと 童話 {ひるねのすきな たぬきのごんた}

2009-01-28 20:47:38 | 童話
         
         ぬ    江戸かるた   盗人の昼寝
              尾張かるた   盗人の昼寝
              上方かるた   糠に釘


 たぬきのごんたは ひるねがすきです。よるねもすきです。
 一日じゅう ねています。
 でも・・・
 おなかがすきます。それは こまります。
 おなかがすくと ねむれません。
 おなかが 「ぐぅ。ぐぅ。ぐぅ。ぐぅ」なります。
 しかたがないので そのときは おきて やまをおりて
 むらにでかけます。
 むらのはずれにすむ ゲンじいさんのはたけの 
 さつまいもを ぬすみにいくのです。

 ゲンじいさんのはたけの さつまいもは
 とっても おいしいのです。
 ごんたは おおきなおなかのうえに
 りょうてで いっぱいのさつまいもをのせて
 よたよたしながら いえにかえります。

 くらい くらいよるなので あしもとが ふらふらしますが
 がんばって よくばって・・・ 
 ぬすんでかえります。
 それで パクパクパクパク さつまいもを たべ また ひるねをします。
 
 ゲンじいさんは とっても おこりました。
 まいにちまいにち はたけのていれをして
 やっと とりいれるようになった さつまいもを
 よなかに こっそりぬすんでいく ごんたを
 こらしめようと かんがえました。

 でも ゲンじいさんは としをとっているので ちからがありません。
 たぬきのごんたは ひるねをいっぱいし よるねもいっぱいしているので
 ちからが いっぱいあります。

 ゲンじいさんは かんがえました。それで・・・
 さつまいものかわりに いしを いっぱいはたけに うめておきました。

 ごんたは また おなかがすいたので
 よる こっそり ゲンじいさんのはたけに やってきました。

 「きょうの いもはおもいなぁ。きっと みがいっぱいで おいしいぞ~~」
 そういいながら
 「よいこらっしょ。よいこらっしょ」
 と おなかのうえにのせ ごんたのいえまで もってかえろうと
 「ふぅふぅ・・・」
 いいながら やまみちをのぼっていきました。

 やまみちは きのうのあめで ぬかるんでいました。
 それに くらいよみちは ぼんやりとしかみえません。


 「あぁ!・・・」
 というと げんたは やまみちをころげおちていきました。
 やまみちの いしころや きのねっこや ささのはのあいだを
 げんたは ごろごろ ころがっていこました。

 それに
 ゲンじいさんが さつまいものかわりに うめておいたいしが
 ごんたのあたまやおなかに ゴンゴン あたりました。
 ごんたの あたまやおなかやあしは ”たんこぶ”だらけになりました。

 「いたたっ・・・ いたたっ・・・ 」
 ごんたは あしをひきずり あたまとおなかをさすりながら
 やっと いえまでたどりつきました。

 ごんたは 
 「うん うん・・・ 」
 うなりながら 
 ”もう ひるねはやめて このやまのなかで きのみや やまいもをさがすことにしょう”・・・ と おもいました。

 10日ほどたった あるひ
 ゲンじいさんのいえのまえに 
 ごんたは やまでとってきた きのこを そっとおいてかえりました。

 ゲンじいさんは それを まどからみていて
 ニコニコ ニコニコわらっていました。

                      おわり
 

ちょっと 童話 {けちんぼの タケばあちゃん その2 }

2009-01-20 09:03:29 | 童話
 なんども なんどもタケばあちゃんは
 「おとのさまの おおばかもん! 」
 とさけぶ タケばあちゃんに おとのさまのけらいは
 「ぶれいものめ! だまれ! だまれ! 」
 と おおごえで どなりましたが タケばあちゃんは さけびつづけました。

 たまたま おにわをさんぽしていたおとのさまは タケばあちゃんの さけびごえをききました。
 「なんだ。なんだ。なにごとだ! あれは だれだ! わしのことをおおばかものと いうておる! けしからん」
 といいながら おとのさまは タケばあちゃんのいるほうに かけだしました。
 けらいは おどろいて
 「おとのさま! おとのさま おまちください! あのものは タケばあちゃんです。 こちらに よんでまいりますから~~」
 と おおごえでよびとめましたが おとのさまは ますます早くかけだしました。 いそいで けらいたちもかけだしました。

 「なんじゃ なんじゃ! おまえはだれじゃ。わしを おおばかものというたのは おまえか!」
 おとのさまは あたまから ゆげがたつほど かおが まっかになるほど おこって タケばあちゃんを どなりました。
 タケばあちゃんは
 「おまえさんが おとのさまか? このおおばかもの!」
 と どなりました。けらいは そばでオロオロしています。
 「おおばかもの とは どういうことだ!」
 「おおばかものめ! このごみすてばをみてみろ! もったいない。もったいない。まだ たべられるもの つかえるもの みんなすててあるじゃないか!」
 「なになに?・・・」
 おとのさまは それまで おしろのごみすてばなど みたことがありませんでした。
 「なんだ! きたない。くさい! こんなもの いらないこのばかりではないか! 」
 「おおばかものめ! おとのさまというのは くにでいちばんえらいひとだときいていたが・・・ なさけない! たべるもの つかえるものをすてて もったいないことばかりしていて なにが! えらいひとなんじゃ! このおおばかもの」 けらいが タケばあちゃんを つきとばしました。
 つきとばされた たけばあちゃんは ころがってしりもちをつきましたが
 「もったいないことしていて なにが とのさまじゃ。ものを 大切にするひとが いちばんえらいひとなんじゃ!」
 と まだ おとのさまに もんくをいいつづけました。

 そこで おとのさまは ごみすてばを ぐるっとみまわしたみました。
 けらいに
 「なぜ まだ たべられるものをすてたり つかえるものをすてたりするのじゃ? このタケばあちゃんのいうとおりじゃ。みんなで 考えて つかえるものは つかうのじゃ! ”もったいない””もったいない”を これからは このくにの あいことばにする!」
 といいました。

 そののち そのくにでは タケばあちゃんにおしえてもらい しろいごはんののこりは ほして いつでもつかえるように ほしいいにし さかなややさいののこりも くふうして つくだににし きものは ぜんぶつくりなおし またつかえるようにし かぐもしゅうりして いつまでもつかえるようにしました。
 すると・・・
 あるひ・・・
 おとのさまが ごみすてばを そっとみにきました。

 ごみすてばの ごみが ほとんどなくなったいました。
 
 おとのさまは おおよろこびをして タケばあちゃんを またしろによび ごみすてばをみせました。
 タケばあちゃんは そのごみすてばをみて たいそう よろこびました。
 「おとのさまも たいしたものだ。おおばかものが なおった。なおった! ”もったいない”を あいことばにすれば くにがさかえる。くにがさかえれば ひとびともよろこぶ。みんな しあわせに なるんだ」
 と たけばあちゃんは いいました。

 おとのさまは タケばあちゃんに なにか ほうびをあたえるといいました。

 タケばあちゃんは
 「村にも となり村にも おいしゃさまがいないで みんな とってもこまっているんだ。おおばかものの なおったおとのさま! どうか むらにおいしゃさまをおいてくれ。わしは くらしには ちっともこまったおらん。なんにもほしくない。おいしゃさまが きてほしいんじゃ」
 と いいました。
 おとのさまは おしろのおいしゃさまの でしを タケばあちゃんのいる村にいかせました。
 村のみんなも となり村のひとたちも たいそうよろこびました。

 タケばあちゃんが コツコツためた小さなはこをかぞえてみたら 20こもたまっていました。
 こぜにをかぞえてみたら なんと 20両にもなっていました。そのお金を タケばあちゃんは むらにやってきた おいしゃさまに ぜんぶもっていきました。

「これで くするになるくさや きのねっこをかってくだされ。みんなのすてたごみを拾ってつくった金じゃ。みんなのものじゃから。”もったいない”心で つくった金じゃ。みんなにやくだったら うれしいことじゃから」
 そう おうしゃさまにいうと タケばあちゃんは スタスタあるいてかえっていきました。もちろん!!! その とちゅうで また タケばあちゃんは すててあるものを ひろってかえりました。ニコニコ しながら。

                        おわり   
 

ちょっと 童話 {けちんぼの タケばあちゃん その1 } 

2009-01-17 15:44:30 | 童話
 むかしむかし ある村に タケさんという おばあちゃんがすんでいました。
 タケばあちゃんは 「もったいない。もったいない」が くちぐせでした。
 村の 東から西まで 南から北まで
 ヒマさえあれば とことこあるいて 
 すててあるものを 拾ってくるのが 好きでした。
 
 「もったいない。もったいない。このカゴは まだまだつかえるぞ」
 そういうと やぶれた竹カゴを拾い うらの竹やぶのタケをきり
 じょうずになおすと 町に売りに行きました。
 しんぴんのようなねだんでは 売れませんでしたが
 それでも わずかのお金を また 大切に 小さなはこにしまっておきました。

 もう どうしょうもないほど やぶれたきものを 拾ってくると
 「もったいない。もったいない。まだまだ使えるぞ」
 そういうと いままでためておいた きものを ぜんぶ広げて
 まだ使えそうな ところをきりとって 
 家のよこの川で きれいにあらい
 そのはぎれで 一枚の きものを作って また 町に売りに行きました。
 しんぴんのようなねだんでは 売れませんでしたが
 それでも わずかのお金を また 大切に 小さなはこにしまっておきました。

 かけたちゃわんや おわんまで 拾ってきました。
 かけたちゃわんやおわんを もっと こまかく わって
 「もったいない。もったいない。これをねんどにはって かわかせば りっぱな
 かざりもんに なるぞ」
 そういいながら タケばあちゃんは にわにでて
 天気のいい日に 何日もかけながら かざりものを作りました。
 そのかざりものは うつくしい えに なっていました。
 そのかざりものも わずかなお金でしか 売れませんでしたが
 それでも わずかのお金を また 大切に 小さなはこにしまっておきました。
 
 村では ”けちんぼの タケばあちゃん”とよばれていましたが
 タケばあちゃんは 「もったいない。もったいない」と 
 いつもの くちぐせで いいかえしていました。

 その村を おさめる おとのさまが タケばあちゃんのウワサをききました。

 とのさまは けらいに タケばあゃんをよんでくるよう いいつけました。

 タケばあちゃんは みたこともない りっぱなおしろに おどろきましたが
 何にか 落ちていないかと  おとのさまにあうために歩いているみちを 
 キョロキョロ キョロキョロしながら 歩いていました。

 すると
 おしろのゴミすてばに 気がつきました。

 タケばあちゃんは おどろきました。
 タケばあちゃんが 今まで たべたことがない しろいごはんや やさいや
 たべのこしのさかなやら・・・
 欠けた うるしのおわんやら こわれた ながもちやら・・・
 やぶれたふすまや びょうぶやら・・・
 きれいなきものやら・・・
 いっぱい いっぱい 捨ててありました。

 タケばあちゃんは さけびました。
 とっても おおきなおおきなこえで さけびました。

 「もったいない! もったいない! とのさまというのは ばか! じゃ!」と


              つづく

 

 

ちょっと 童話 {きつねのきんたと おぼうさま その6 }

2009-01-06 16:20:42 | 童話

 おぼうさまは わらいころげていました。
 きんたは にげだそうと思いましたが・・・ 
 おぼうさまの やさしいえがおに きんたも
 「えっへっへ えっへっへ」とわらってしまいました。
 
 「きつね。おまえのなまえはなんというのだ?」
 「き・・・ きんた・・・です」
 「そうか。きんたや。おまえが わかいむすめになり おとしよりになり こうして こぞうになり・・・ 。わしには はじめからわかっていたのだぞ」
 「えぇっ!あのう・・・ よなかにきつねにもどっているのを みられたの?」
 「わっはっは・・・ きんた おまえは きつねの化け方のほうほうを いいかげんにしていたのだろう? むすめになっているときも おとしよりになっているときも こぞうになっているときも・・・ はじめから ”しっぽ”が まるみえだったぞ。しっぽをけすほうほうを きんたは しっかりおぼえていなかったんだな」
 「えぇっ・・・」
 「きんた! おまえはまだ若いんだ。らくをして はたらかず だれのやくにもたたずに・・・ だれかから もらって じぶんだけのことをかんがえていては だめだぞ」
 「・・・・ 」
 「きっと なかまのきつねたちからも そうして”らく”して えものをもらってばかりいたんだろうなぁ・・・ 」
 「それは・・・ そうです」
 「あのな。にんげんには”仏のかおも三度”ということばがあるんだ。みんな はじめは”しんせつ”だが その”しんせつ”に甘えて なんども そのほうほうをつかって ”しんせつ”にしてもらい じぶんのどりょくをしないでいるとな みんなは そのにんげんを みすててしまうんだ。おこっているわけじゃないんだぞ。その”しんせつ”が そのにんげんを”ダメ”にしてしまうからなんだ」
 「おれ はたらくのキライ! えものさがしてはしりまわるの めんどうだし。らくがいいもん」 
 「きんた。にんげんもどうぶつも みんな ”いきる”ためにはたらき えものをさがしまわるんだ。それが”いきてる”ってことなんだぞ。”いきる”っていうことは しんどいし つらいこともあるし めんどうでもあるけどな。よろこびでもあるんだぞ。たのしいこともみつけられるんだぞ。きんたも なかまのところにもどって じぶんのためにも だれかのためにも えものをとり わけあって”いきる”ってことしてみなさい。だれかにしてもらうのではなく だれかのためにしてあげる・・・ このことが”いきる”ってことなんだぞ」 
 きんたには おぼうさまのことばのいみは よくわかりませんでしたが おぼうさまのおかおをみていると きんたのことを とってもたいせつに思って いってくれていることだけは わかりました。
 とっても やさしい目で きんたをみつめてくれていたからです。

 きんたが むすめやおとしよりやこぞうに 化けていることをしっていても おぼうさまは たくさんのごちそうを きんたにたべさせてくれたのです。

 きんたは きつねのすがたのまま ”せいざ”をしました。
 ころびそうになるのを ひっしでがまんして おぼうさまに いいました。
 「おれ・・・ いままで じぶんのことだけをかんがえていた・・・ ほかのもののことなんか かんがえたこともなかったなぁ。おぼうさまのいうとおり ほかのものたちのこともかんがえて・・・ いきることにします」
 「そうか。きんたにはできるぞ。がんばって のやまをはしりまわるんだ。ともだち いっぱいできるぞ。きっと」
 おぼうさまは きんたのあたまをなぜながらいいました。

 つぎの日 きんたは なかまのいるやまにむかって はしりだしました。
 
 おぼうさまは そんな きんたのすがたがみえなくなるまで てをふって みおくってくれていました。

                     おわり

        
         へ    江戸かるた   屁をひって尻つぼめる
              尾張かるた   下手の長談義
              上方かるた   下手の長談義