東洋はり医学会 大阪支部

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2月18日支部会の感想 東洋はり医学会大阪支部

2018年03月04日 22時30分47秒 | 支部会感想
2月18日支部会の感想 東洋はり医学会大阪支部


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3分間スピーチ
基礎講義 わかりやすい経絡治療.19 第14章「証決定」 

    午後より  
指導講座 高等部 「小里方式」実技
実践講座実技「花粉症」
基礎班「経絡治療の実際」


3分間スピーチは、同窓会に出席された話でした。
いろいろな人間模様を見られたようですが、同年の人のがんばっている姿には、刺激を受けられたようでした。

⑴基礎講義 
 今月は、わかりやすい経絡治療 第14章「証決定」についての講義が行われました。
 経絡治療に於ける証決定とは診断を意味し、様々な病症を持つ患者の症候群を経絡理論に基づき弁別され、予後の判定の後、手法の選択、経絡の弁別と順を追って進め、治療目標としての証が決定されます。
このような診断即治療の形式を随証療法とも云い、東洋医学の特色の一つで、現代医学に於ける病名治療とは異なるものとの事でした。
 鍼灸家にとっては、刺鍼技術もさることながら、証決定は治療を進める上での方途となるので非常に重要なプロセスだと思いました。
 又、誤治の危険性にも言及されていましたので、患者の不利益にならないよう、今後も研鑽を重ね、基本に忠実かつ柔軟に、見極め、慎重に判断しなければならないと思いました。

(2)研究発表
今回は「小児治療の纏め」として、過去に行われた幾つかの講義から要点を集約した内容でした。
 その中で、小児鍼をする際は、「子供好きにならない事」、「小児に寄り添うことはあっても同化しない事」などは、少し意外に感じました。
 私自身、小学生の子供がいて、過去に治療をする機会もありましたが、兎に角、じっとしてくれないし、脉は速くて判らないし、非常に難儀した覚えがあり、苦手意識も強いのですが、今後機会があれば、なるべく優しい手つきで、やり過ぎ・ドーゼ過多にならないよう注意しようと思いました。
脉診の際は人形を持たせると良いとのこと。
かわいいのを持たせてやってみるのも良いようです。


(3)指導講座 高等部 「小里方式」実技
 この指導講座では、初学者が切経から刺鍼までのプロセスを行い、上級者が検脉して、その適否を判断して指導すると共に第二検脉者が上級者の指導の在り方をチェックして助言すると云ったとても効率の良い二重指導法でした。
 私自身初学者として切経から刺鍼までの過程を行いましたが、切経は圧が強かったようで、脉は硬くなる。又、押手の圧も重いし「鋭すぎる気」が出ているとのご指摘を受けました。
「鋭すぎる気」と云うのは私自身に害意がある訳ではなく、鍼を刺す直前に私の気が鋭くなり、押手を通して受け手の皮膚や脉に伝わり、脉状を思わしくない様に変化させているとの意味合いでした。
 確かに、そう云われると思い当たる節もありましたので、検脉者の技術・感覚と云うのは超越的なレベルだと思うと共に経絡(気)を扱う治療家は心(気)の状態如何に自然に近づけるかを実感した次第です。
初学者にとっては、脉を診ながらの指導により、欠点を修正してもらえるので、良い刺鍼ができるように直して行こうと思いました。


(4) 実践講座実技「花粉症」
 花粉症に効くツボの取穴や一部流注、奇経治療についての実技が行われました。
本治法に用いられる経穴としては、鼻と関わりの深い大腸経の温溜・遍歴穴。
胃経の豊隆穴。とその頚部流中。
何故か腎経の大鍾穴。
又、鼻や目の近隣にあるツボとして、攅竹・眼軸・印堂穴、狭鼻・鼻通点等。
これから春にかけて花粉症の季節になりますので、機会があれば是非使ってみようと思います。


(5)実技 基礎班「経絡治療の実際」
 今回の実技基礎班では昨年からの基礎班の実技のまとめとして「経絡治療の実際」として、講師指導のもと、模擬患者に対して四診法から証決定、本治法と標治法までの一連のプロセスを実践しました。
 今回は、右背部痛の症状を主訴とし、望・聞・問・切と診察を進め、総合的に判断し主証を決定しましたが、朋輩の先生とは腎虚、肝虚で証が割れた為、指導講師からは「腎虚は一致しているので、先ずは腎を補ってみてから検脉して肺と肝を比較してみては?」とのアドバイスを頂きましたので、左復溜穴に本治法としての補法を行い検脉した所、左関上の胆の脉が強くなったように感じましたが、依然右寸口の肺の脉は弱く感じましたが、左関上の陰陽の差(幅)も大きかった為、よく判らなくなりませた。
畢竟、腎虚証として次いで左尺沢穴に補法を行い、これで標治法に移るのかな?
と思っていたら、脾と膀胱経に虚性の邪があることが発覚。(腎虚脾実症)
 次いで右陰陵泉穴に補中の瀉法を加え検脉すると胆の実も落ち着いていましたが、まだ左尺中の膀胱経の脉に虚性の邪があるとのことでしたので、入念に検脉した所、確かにそれらしき脉状を候えました。
結局、 証決定に至るまで時間がかかり、標治法には至れず残念でしたが、診落としていた脉状等を手から手を通して気付かしてもらえる事は本当に価値のある事で、今後の臨床でも大いに役立つと思いました。

脉を入念に診る事は、とても集中力を要し、精神疲労するので、せっかちな私などは、「もうこの証でいいわ!」なんてよくやってしまうのですが、これからは心を入れ替えて患者の不利益にならぬよう、忍耐力も強化し少しずつでも上の段階に行ける様にしようと思いもっと、いろいろな所の努力の必要を感じました次第です。


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東洋はり医学会 趣意書

 文化の進展は瞬時の猶予をも許さず、今や鍼灸術も世界の医学界に登場するところとなった。
 翻って国内においては、これが科学化の掛け声と共に種々な研究が進められてはいるが、その大勢は鍼灸の臨床における諸現象を現代医学によって解明せんとするものの如くである。即ち、経穴を刺激の部位となし経絡はほとんど顧りみない状態であるが、かくては数千年の伝統を誇る東洋医学の真髄を学ぶことは全く至難となる。
 病体を気血の変動とし、その病変を経絡の虚実として統一的に把握し経穴を診断と治療の場として補瀉調整する経絡治療こそ鍼灸術本来の正道である。しかして、この学理と術技を体得せしめて、真に病苦除去の実力ある鍼灸人を育成することこそ、その科学化に優先すべき必須要件であるが、不幸にしてこれを誤る時は、その鍼灸術、すなわち我が祖先の偉大な文化遺産を後世に伝承することは全く不可能となる。
 ここにおいて、我々志を同じうする者、相図って東洋はり医学会を結成し別紙綱領の完遂を期す。
 以上の主旨を諒とせられる同志は、来って本会に投ぜられんことを広く業界の諸君に訴える次第である。



綱  領
1.我々は臨床を通して古典を再検討し、病体を通じて経絡経穴を把握し、以て伝統的な鍼灸術の本道を体得せんことを期す。

1.我々は正しい経絡治療の学理と術技を修得することによって、鍼灸人としての人格と実力を涵養し、以て鍼灸家の社会的地位を確立せんことを期す。

1.我々は古典による経絡理論を正しく理解実践し、経絡経穴の普及啓蒙に努め、以て偉大な祖先の文化遺産を伝承せんことを期す。




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