東洋はり医学会 大阪支部

(一社)東洋はり医学会は60年、大阪支部も50年以上、経絡治療はり専門臨床家の学術を支えてきた勉強会・講習会の団体です。

4月15日支部会の感想 東洋はり医学会大阪支部

2018年04月25日 00時19分06秒 | 支部会感想
4月15日支部会の感想 東洋はり医学会大阪支部

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3分間スピーチ
研究発表 小児の健康に影響を及ぼす因子と経絡治療
実践講座実技 小児治療

    午後より
支部年間研究テーマ、「刺鍼と脉状変化の検証 其の4」はりの刺入
実技 基礎班・研修班「基本刺鍼」「証立て」
実技纏め・質問、臨床質問

感想
3分間スピーチ
 著書「五感で読む漢字」を執筆した中国人著者は来日した際、日本での漢字の使い方に違和感を感じたと云います。
 日本では聴覚機関で何か音を受容する時、概して「聞」と云う漢字を用いますが、中国では主に「聴」を使用するとの事で、「聞」と云う漢字を用いる際は、「香り(匂い)をきく」と言う際に使用されるそうです。
 東洋医学の診察法である四診の聞診に於いては患者の発する声に加え香りも同時に診察するのは、叙上の様な中国の漢字文化ではないかと示唆されていました。
 我々日本人は平素匂いを嗅ぐと云っても「香り(匂い)を聞く」とは、中々表現しませんので、日中間の文化の違いを感じましたが聞診に匂いが含まれる疑問が解決できました。

研究発表「小児の健康に影響を及ぼす因子と経絡治療」
 其の1
小児の健康に影響を及ぼす因子として主に「食」、「運動」、「睡眠」、「思考(メンタル)」の四つを挙げられていました。
 以上四因子は小児の生活環境と直結しており、両親の影響を非常に大きく受けるものであるから、診察する際は、先ず親を経絡的に弁別する必要があるとの事でした。
 発表の中でも言及されていましたが、「三つ子の魂百まで」
と云いますが、人間は凡そ三歳迄の環境(その土地の匂い、両親の言葉掛けや指導等々)により、潜在的な人格が形成されると云われています。
又、東洋医学では「内傷なければ外邪入らず」と云う様に心の柔軟性が高ければ外部環境の影響を受ける事なく健康を維持できます。
故に、遺伝的因子等を除けば、子供の健康は両親の育て方に左右されますので、如何に健全な環境と心を作れるのかが親の責任であると感じた次第です。

其の2
健康は、遺伝、習慣、考え方、環境により、影響を受けますが、小児は、周り、特に親の影響を多く受けます。
小児の治療だけでなく、親への知識の提供、説得等が肝腎という発表でしたが、その後、時代による生活習慣の変化で、親を含む患者教育の難しさに話は発展しました。
現在、小児を持つ先生の話も聞けて、時代の変化を感じつつ、大変興味深い話となりました。


実践講座実技 小児治療
其の1
 過去の本部指導講師の講義内容に基づき小児模型を用いて小児鍼の一連の流れを実践しました。
 私自身、テイ鍼、ザン鍼を実際に手に取って指導を受けるのは初めての事でしたので、とても有意義な経験でした。

其の2
小児鍼の実技でした。
人形を使っての実技でしたので、鍼の使い方、流れが分かり、研究発表と共に理解も深まり、機会がないのですが、小児鍼もしてみたいなと思います。


支部年間研究テーマ、「刺鍼と脉状変化の検証 其の4」はりの刺入
支部研究テーマの刺鍼による脈状の変化でした。
補法、瀉法による変化をみましたが、どの様な変化というのは、私には解りませんでした。


実技 基礎班「基本刺鍼1」
其の1
 今回は、実際に受け手に対して基本の補法と瀉法、補中の瀉法の内、「堅」の手技を実践しました。
 私の場合は、補法に於いて一回目は抜鍼のタイミングが速く補いきれていないと指摘を受け、打ち直した際、今度は充分に補おうと四拍程度位の深さで抜鍼しましたが、「これは補い過ぎだから三拍程度位の深さに入る寸前くらいで抜鍼すれば良い」とのご指摘を受けました。
 又、瀉法と補中の瀉法の手技に於いては共に抜鍼時の押手の下圧が弱いので、もう少し押手の下圧や密着を意識する旨の指摘を受けました。
 この様に毎回指導者が脈を診ながら細やかな指導をして頂き、修正出来る事は日々の成長に繋がりますので、本当に有意義な時間だと思いました。

其の2
基本の補法、瀉法、補中の瀉法を脈を診てもらいながら刺鍼しました。
刺鍼時の体の傾く癖、文言の奥にある意味、意識等の指摘を受け、接触から後の、動きに対する意識にも気をつけようと思います。

実技 基礎班「証立て1」
其の1
今回は左腰痛の模擬患者に対して望・聞・問・切の四診法を行い、証を決定するまでのプロセスを実践しました。
 朋輩の先生と共同での実技でしたが、脈状診の浮沈、虚実の見立てで相反する見解が生じたので、指導の先生に確認してもらった所、「この脈状であれば沈、虚であろう」と返答を頂きました。
 自分は単に皮下に脈が触れれば「浮脈」で、脈が柔らかく、指を押し上げる力の弱い脈を「虚脈」と判断していましたので、今回の様に脈状が柔らかくても中脈がしっかりしていれば実であり、多少皮下に脈が触れたとしても、この感覚であれば沈脈と診るべきと云う的確な指導を頂けた事はとても良い経験になりました。

其の2
模擬患者を前に、術者二人で相談しながら、意見の合う所、会わない所を確認して進めました。
自分の診ていない所がわかり、勉強になります。

 この様に毎月様々な指導を頂き、日々向上出来るのは手から手に技術を教えてもらえる東洋はり医学会大阪支部があるお陰と思う次第です。




■お問い合わせ

随時、聴講・入会受け付けております。
聴講初回は、無料、2回目以降は、学生1500円、有資格者3000円となっています。
聴講等の際は、事前に御連絡下さい。

お問い合わせやご質問は、メールにて 
toyohari_osaka@yahoo.co.jp

または、お電話にて、
  0721-52-5999   阿部はりきゅう院

までご連絡下さい。


東洋はり医学会 趣意書

 文化の進展は瞬時の猶予をも許さず、今や鍼灸術も世界の医学界に登場するところとなった。
 翻って国内においては、これが科学化の掛け声と共に種々な研究が進められてはいるが、その大勢は鍼灸の臨床における諸現象を現代医学によって解明せんとするものの如くである。即ち、経穴を刺激の部位となし経絡はほとんど顧りみない状態であるが、かくては数千年の伝統を誇る東洋医学の真髄を学ぶことは全く至難となる。
 病体を気血の変動とし、その病変を経絡の虚実として統一的に把握し経穴を診断と治療の場として補瀉調整する経絡治療こそ鍼灸術本来の正道である。しかして、この学理と術技を体得せしめて、真に病苦除去の実力ある鍼灸人を育成することこそ、その科学化に優先すべき必須要件であるが、不幸にしてこれを誤る時は、その鍼灸術、すなわち我が祖先の偉大な文化遺産を後世に伝承することは全く不可能となる。
 ここにおいて、我々志を同じうする者、相図って東洋はり医学会を結成し別紙綱領の完遂を期す。
 以上の主旨を諒とせられる同志は、来って本会に投ぜられんことを広く業界の諸君に訴える次第である。



綱  領
1.我々は臨床を通して古典を再検討し、病体を通じて経絡経穴を把握し、以て伝統的な鍼灸術の本道を体得せんことを期す。

1.我々は正しい経絡治療の学理と術技を修得することによって、鍼灸人としての人格と実力を涵養し、以て鍼灸家の社会的地位を確立せんことを期す。

1.我々は古典による経絡理論を正しく理解実践し、経絡経穴の普及啓蒙に努め、以て偉大な祖先の文化遺産を伝承せんことを期す。



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