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昭和43年盛夏、初めて出会った人生の師匠は云った。
未来に羽ばたく使命を自覚するとき、才能の芽は急速に伸びる。

第94回 全国高校野球選手権 西東京大会 3回戦

2012年07月16日 | 誓球の空2011-2015

[写真] 快腕・田中投手が2年ぶりに復活し、脱三振ショーを披露した。145キロぐらいは出てたと思う。

2012年 7月16日(月/祝) 12:49~14:37 晴れ 強風(右→左/中→本塁) 市営立川球場

第94回 全国高校野球選手権西東京大会 3回戦  (7回コールド)

創価   (小平市)  1  0  4   3  0  0   0  -  - =  8
都立立川 (立川市)  0  0  0   0  0  0   0  -  - =  0
 

[ 投 手 ] 内野(4)‐小山(2)‐田中(1)
[ 本塁打 ]
[ 三塁打 ]
[ 二塁打 ] 南(4回/右)

1番 (三) 河村
2番 (左) 原  → (7裏/中)
3番 (右) 鈴木
4番 (中) 田中 → (7裏/投)
5番 (遊) 野口
6番 (捕) 南
7番 (一) 野田 → (4表/打)相田 → (4裏/一)
8番 (投) 内野 → (5裏/投)小山 → (7裏/左)松下
9番 (二) 奥


「海の日」で三連休となった月曜、朝からゆっくり出来るのは嬉しいが、
気温はうなぎ登りに上昇し、日射しはメチャメチャ眩い。
季節の上ではまだ梅雨が明けてないのだから、梅雨の中休みというのだろうが・・・ 暑い。

前の試合が長引いて、プレーボールのコールがかかったのは13時の11分前
この時、市営立川球場の気温は35度に達していた。 暑いはずだ。
それでも多摩川から吹く強い風が、子供だまし程度だが時おり涼風なり観戦者を癒してくれていた。

今日の創価は先攻、スターティングメンバーは一昨日と同じメンバーが名を連ねた。
相手の都立立川は右オーバーのエースがマウンドに上る。
まずトップバッターの河村が、拘りのポーズで屈伸をしながら構えた。

スリーボールツーストライクから二つファールで粘り、インコース低めのボールを見送ると
ワンテンポ遅れて、1塁へ歩こうとする河村の背にストライクのコール
見送り三振となったが、あのコースをこの主審はストライクを取るのが分かったと思えば影響は小さい。

2番原もじっくりと見ていく。原もスリーボールツーストライクとなったが、
こちらは6球目が完全に外れ1塁に歩く。
一死1塁から3番鈴木、こちらは一転して積極的に振って出ると、図ったように三遊間を真っ二つ

一死12塁、先制のチャンスに期待の4番田中がゆっくりとバッターボックスへ入った。
ふと気になったことがある。田中選手はバットを変えたのではなかろうか?
一昨日は黒っぽいバットだったと思うが、今日は赤っぽい黄金色を振っている。
私の勘違いか? それとも気分転換なのか? どちらでも良いが、ここで1本欲しい。

威圧感たっぷりの大きな構えから、まさに一閃だった。
心地よい快音を残した打球は、あっという間にレフト前ではずんでいた。
本来なら2塁から帰れない当りだが、外野の守備が深かったのを3塁コーチが見逃さなかった。

大きく大きく右手をグルグル回すと、小躍りするように2塁から原が戻って来た。
さらに返球を焦ったレフトが軽くファンブルしたのも見逃さず、1塁走者も打者走者も進塁した。

押せ押せの場面で続くは、一昨日大当たりの5番野口、打ち気満々で速いカウントから鋭く振り抜くが、
前進守備のセカンド真正面への強い当りとなって本塁アウト(正確には三本間挟殺の間に打者走者は進塁)
さらに6番南も、セカンドゴロに打ち取られた。
チャンスが急にしぼんでしまったのは、創価らしい。と言えばそれまでだが・・・ ちょっと悔しい。

何はともあれ1点先制して、マウンドには一昨日に引き続き内野が上がる。
ウォーミングアップを見る限り、今日もボールは走っているが、この暑さだけに継投があるかも・・・

そして内野は、先頭打者をストレート二つでツーストライクと追い込むと、
低めの変化球を振らせて空振りの三振、2番は内角を詰まらせてファーストへのイージーフライ
3番はスリーボールツーストライクと粘られたが、渾身のストレートで見送りの三振
文句なし、完璧の立ち上がりだ。
 

 
創価自慢の投手リレー [写真左] 先発した本格派右腕の内野 [写真右] 2番手サイドスローの小山

2回は互いに三者凡退で終えたが、3回表から試合は大きく動いた。
1番河村がレフト前にクリーンヒットを放つと、2番原はバントの構えから見事なバスターを決める。
無死12塁から3番鈴木は手堅く犠打、勢いよくダッシュして来た相手投手が2塁へ送ると
これがフィルダースチョイスとなってセーフ


タイミング的にはバントは投手の正面だったし、当りもやや強く2塁への送球は際どかったのだが
ベースカバーに入った相手ショートがベースの前で捕球してしまった。
まさにツキも実力のうちと言って良いのだろう。

流れは完全にこちらに来ているのだが・・・ 今度は創価の4番田中が力んでしまった。
無死満塁の絶好の場面だったが、どん詰まりのサードゴロ
しかし、これにもツキがあった。
前進守備だったにも拘わらず、当りが緩くてホームゲッツーにならなかったのだ。

そして・・・ そのツキは、5番野口が証明してくれた。
ピッチャーの足元を鋭く抜いた当りは、二遊間を真っ二つにしてセンター前に転がる。
3塁走者の原に続いて、2塁から俊足の鈴木も帰って来た。
野口は初回のチャンスに、悔しいセカンドゴロに倒れてはいたが、
当りは申し分なくセカンド真正面だっただけで、タイミングは合っていたのだ。

さらに6番南が四球を選んで、再び満塁とすると今度は7番野田がパッチリとスクイズを決めた。
ボディブローのような追加点を決められ、気落ちが見える相手投手は8番内野にストライクが入らず四球
9番奥にも四球を与え押し出し、今日の内野なら安全圏とも言える5点目が入った。

 
  
大活躍の6番南 [写真左] 二塁打を打って2塁ベースに立つ。 [写真右] 犠打もパッチリ決めた。

4回表、さらに創価は攻撃の手を緩めない。
先頭の2番原はプッシュ気味にセーフティを仕掛けるが、
逆を取られかかった相手投手が、バランス崩しながらも踏みとどまり惜しくもピッチャーゴロ
しかし、3番鈴木が四球を選ぶとすかさず走って一死2塁、
イマイチ調子の上がらない4番田中はショートゴロに倒れるが、5番野口の打席で暴投があって3塁へ進む。

野口は四球を選んで二死13塁から、6番南が右中間を割る二塁打を放ち1点追加
なおも二死23塁から、7番野田の代打相田は変化球が足に当るあまり痛くない死球で満塁とチャンスを拡大
そして打者は8番ピッチャーの内野、死球の後の初球を痛烈にレフトへ弾き返して2点追加
投げて良し。打って良し。ナイスだ内野!

しかし・・・ その裏、内野が初めてのピンチを迎えた。
先頭打者に初ヒットを許すと、次の打者は追い込みながらも攻め急いでレフト前に連打を打たれる。
無死12塁、ピンチの後にチャンスあり。チャンスの後にピンチありとはこのことだ。

だが、今日の2年生バッテリーは落ち着いていた。前の試合のドタバタを学んでいた。
一本調子とならぬよう緩急を使って追い込むと、変化球でレフトへのイージーフライを打たせワンアウト

次の打者は渾身のストレートで詰まらせ、これもレフトフライ
レフト原が思いっきり良く前進するのと、ショート野口がバックするのと両方が目に入った。
上空は強風が吹いており、一瞬嫌な予感がしたが・・・ 最後は野口が譲って、原がランニングキャッチ
さらにハーフウェイに出ていた2塁走者を見逃すことなく、セカンド奥へ矢のような送球で併殺
見た目は、明らかに立川打線のボーンヘッドだけど、
ランニングキャッチの後、バランス崩さず直ぐに送球した原のファインプレーといっても過言ではない。
何故なら原はサウスポーで、2塁送球には向きを変えなきゃならない。
けっして派手なプレーではないが、厳しい練習に裏付けられたナイスプレーだと思う。


 
[写真左] ゴロを捌いてベースタッチするファースト相田 [写真右] 切り込み隊長・河村の特異ポーズ

4回を終わって8対0、あと2点取れば5回コールド、6回コールドとなる。
そして・・・ その機会がなかったわけでもない。
事実、5回も6回も無死で走者を出しているが・・・ 後1本が出ない。
これが創価らしいと言えば創価らしい。詰めが甘いというより、優しさすら感じてしまう。

5回裏から創価のマウンドには、好投の内野に代って小山が上がる。
右のサイドスロー、緩急とコーナーの出し入れが身上の投手だが、スピード感がもう一つで
申し訳ないが、一発勝負の公式戦では何となくハラハラドキドキしてしまう。

だが、8点差をバックに小山は変幻自在の投球を見せた。
スピードがないぶんだけ、遅い球をより遅く見せる技術で2イニングを1四球で押さえきった。
いいぞ、小山 ナイスピッチングだ。

そしてコールドゲームがかかった7回裏、本日最大の見せ場がやって来た。
なんと、なんとなんと・・・ 2年ぶりに田中がマウンドに上がった。
いつ投球練習をしていたのだろうか? まさかぶっつけでマウンドに上がったとも思えないが
7回表の最後のアウトは2番原の盗塁死だが、バッターボックスには3番鈴木が入っていた。
4番田中がネクストバッターサークルに居たかどうかは確認してないが・・・マウンドには田中がいた。

大きく振りかぶってウォーミングアップをすると、スタンドからどよめきが上がった。
速い。メチャメチャ速い。感で言うのは良くないが・・・ 145キロぐらい出てると思う。
2年前は綺麗なフォームで投げていた記憶があるが、今日は荒々しく雄々しく豪快なフォームに見える。
唸りを上げて、唸りを上げて南のミットにストレートが吸い込まれていく。

先頭打者を簡単に追い込むと、低めのボールを振らせて空振り三振を取るが・・・ これを南が後逸
いわゆる振り逃げという奴だが、まぁご愛嬌といっても良いかもしれない。
次の打者は、内角のストレートを詰まらせてサードゴロで2塁ホースアウト

次の打者にはサード強襲の内野安打を打たれるが・・・ これは河村には申し訳ないがエラーだと思う。
何故なら河村が上手いというのもあるが、一歩前に出てバウンドを合わせに行ってのファンブルだから
記録はHのランプが点いていたが、河村なら軽くゲッツーに出来るゴロだと思う。

しかし田中にとっては、その強襲ヒットもフィニッシュを盛り上げる一つの設定に過ぎなかった。
後続二人を連続三振、スタンド後ろで誰かが「スピード違反だよ。」と言う声が聞こえた。
2年前のエースナンバーが復活した。今シーズンの背番号こそ「8」だが快速右腕が復活した。

さぁこれでベスト16、いよいよ次(19日)からは神宮決戦が始まる。
まだまだ先は長いが、数えて見ればあと四つ
次は満を持してのエース池田だろう。田中がストッパーにいるのも心強い。

頑張れ創価 行くぞ甲子園


1 表/創価 三振、四球、左安、左安1点、二ゴ、二ゴ
 裏/立川 三振、一飛、三振

2 表/創価 投ゴ、三振、投ゴ
 裏/立川 三振、投ゴ、中飛

3 表/創価 左安、左安、犠打野選、三ゴ、中安2点、四球、スクイズ1点、四球、四球1点、投ゴ
 裏/立川 三邪飛、二飛、遊ゴ失、三飛

4 表/創価 投ゴ、四球、盗塁、遊ゴ、暴投、四球、右二1点、[代打]野田→相田 死球、左安2点、遊ゴ
 裏/立川 [守備交代]相田(打)→(一) 右安、左安、左飛、左飛併殺

5 表/創価 死球、盗塁、中飛、右飛、遊ゴ
 裏/立川 [選手交代]内野(投)→小山(投) 一ゴ、中飛、遊ゴ

6 表/創価 左安、犠打、三振、三振
 裏/立川 三ゴ、一ゴ、四球、投ゴ

7 表/創価 三ゴ、四球、盗塁、一安(本塁を狙うがアウト)、盗塁死
 裏/立川 [選手交代]小山(投)→松下(左)、原(左)→(中)、田中(中)→(投)
      三振振り逃げ、三ゴ、三安、三振、三振(試合終了)

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6 コメント

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おつかれ (野球小僧)
2012-07-16 18:10:18
まず田中君に1本が出て安心ですね。

小山君にむらがあって少し心配です。

全体的な試合運びは良かったのではないでしょうか
次の試合も期待しましょう!!
返信する
お疲れ様でした。 (誓球の空)
2012-07-16 19:03:56
田中選手は、まだまだこんなもんじゃないと思いますが、初回のヒットは大きな1本でしたね。
取りあえず、ホッとしました。

池田君、田中君、内野君は速球派で、
小山投手は、右サイドの軟投派なので少しハラハラするのだと思います。
タイプの違う投手を間に挟むと目先が変わって良いという考え方もありますので、監督にお任せしましょう。
私も試合運びは、まずまずだと思います。
ここ二戦はダメ押しが課題となりましたが、それでも勝ってますから、それは次に期待しましょう。
返信する
順調ですね(^.^) (酔いどれ天使)
2012-07-18 09:10:18
お疲れ様です。
我慢できずに球場に行きました。^_^;
相変わらず内野君の安定感は抜群ですね。
田中君は元はピッチャーだったとは・・・。
おかげさまで、彼の姿を見ていて感じていた違和感の正体が見えました。
醸し出していたオーラは、4番打者ではなく「大投手」のそれですね。

もし肩が完全に回復してるとしたら・・・。

ヤバイ。興奮してきました。(^_^;)
返信する
そうなんです。投手だったんです。 (誓球の空)
2012-07-18 21:43:59
酔いどれ天使さん、こんばんは

池田君、田中君、野田君は1年生の時から注目されてた投手でした。
私は勝手に、ズドーンとナタの切れの剛腕・池田、スパっとカミソリの切れの快腕・田中、緩急巧み変幻自在の野田と
3投手の成長を楽しみにしていました。
今は野手ですが、相田君も球は速いし、野口君、原君も良い変化球を投げます。

さて、明日はいよいよ池田君の登板でしょう。
楽しみですね。
返信する
田中君 (吉田)
2012-07-18 23:03:41
思い返せば
二年前の早実戦 一年ながらエースで創価を背負い やられました あの時は本当に監督問題まで発展しいろんな意味で荒れましたね しかし田中君の登板 あれ以来久々に見ました 感動しました 二年前あの時は田中君が一番つらかったでしょうね
二年経つと田中君も大きく成長し あの傷がいえたように思います そして 甲子園でも田中君の投球がみたいです 全国に創価には田中ありといわしめましょう(^o^)
返信する
こんばんは (誓球の空)
2012-07-19 21:27:28
吉田さん、コメントをいただき有難うございました。
また、ご返事が遅くなり申し訳ございませんでした。

私的には、今シーズンの田中君は顔見せ程度の登板でバッティングでの貢献を期待していたのですが
今日の実践学園戦で、どうもそうはいかなくなったようです。
先発完投なのか?それとも押さえで行くのか?
彼に期待する部分が、とてつもなく大きくなりましたが
チーム一丸でプレッシャーに負けず頑張ってほしいですね。
返信する

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