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昭和43年盛夏、初めて出会った人生の師匠は云った。
未来に羽ばたく使命を自覚するとき、才能の芽は急速に伸びる。

第94回 全国高校野球選手権 西東京大会 2回戦

2012年07月14日 | 誓球の空2011-2015

[写真] 8回までは危なげなし、9回に課題を残したが粘りきった2年生右腕の内野投手

2012年 7月14日(土) 10:00~12:13 曇りのち晴れ 無風 市営立川球場

第94回 全国高校野球選手権西東京大会 2回戦

都立小平 (小平市)  0  0  0   0  0  0   0  0  1 =  1
創価   (小平市)  3  0  3   0  0  0   0  0  X =  6


[ 投 手 ] 内野(8.2/3)‐小山(1/3)

[ 本塁打 ]
[ 三塁打 ] 南(3回/右中間)
[ 二塁打 ]

1番 (三) 河村

2番 (左) 原
3番 (右) 鈴木 → (9表/一) 笠貫
4番 (中) 田中
5番 (遊) 野口
6番 (捕) 南
7番 (一) 野田 → (9表/右)
8番 (投) 内野 → (9表/投) 小山

9番 (二) 奥

 
九州の内陸部から北部にかけて、一昨日から降り続いた豪雨は・・・ 今なお降り続いている。
テレビを通して、連日のように放送される画面を見る度に心が痛む。
今夏エースナンバーを背負う池田君は佐賀県の出身、その佐賀にも大雨が降り、町は水に浸かっていた。
歴代の球児にも、九州出身者が何人もいたことを思い出す。

私事で恐縮だが、創価が小野投手を擁して甲子園に初出場を決めた昭和58年の夏
夏休みが始まったばかりの7月23日、島根県西部に降った豪雨は、
高津川・益田川・三隅川の三つの川を氾濫させ、益田市と三隅町(現/浜田市)の町を水没させた。

三隅町には、私にとっては田舎と呼ぶべき、母方の祖父母が住む家があった。
テレビに映し出される水没した町並みを見ながら、涙が止まらなかったことを昨日のように思い出した。
まずは、被災された方々のご無事を祈念させていただくとともに、心からお見舞いを申し上げたい。


一方で、東京都内も未明から激しい雨が降っていたが、5時前にはすっかり上がり
7時を過ぎた頃からは雲間から日も射すようになり、この時期特有の蒸し暑さが増して来た。

たっぷりと水分を含んだグラウンドだけに、試合前のシートノックは取り止めとなり、
サイドノックで体をほぐす両校の傍らで、じっくりとじっくりと時間をかけた整備の方々のお陰で
定刻通りのジャスト10時に、球審はプレーボールのコールをした。

 
[写真左] 三塁打で貴重な追加点をあげた6番南選手   [写真右] 3安打と当りまくった5番野口選手

後攻めの創価のマウンドにはエース池田ではなく、進境著しい2年生右腕の内野(うちの)が上がった。
その内野に、いきなり小平打線が注文を付ける。
先頭打者が、ややプッシュ気味にマウンド右にセーフティを仕掛ける。
スタンドで見ている分には、ピッチャーの正面に近い何でもないゴロに見えたが
勢いよくマウンドをかけ降りた内野は足を滑らし、転がったボールに触ることも出来ない。

朝方に降ったの雨を意識して、マウンド周辺を狙ったセーフティだったら、
何度もは使えないが、シートノックを取りやめたことを逆手に取った見事な頭脳プレーだと思う。
実のところはどうだったのか分からないが、スタンドには「やるな、小平」と言った空気が漂っていた。

しかし・・・ 意表を突かれはしたが、心配することなかれバッテリーは落ち着いていた。
ストレートが走ってるので、キャッチャー南は強気のリードで攻めのボールを求める。

続く2番を高めのストレートで犠打を許さず、南へのファールフライに打ち取ると
3番は外角低めのストレートで空振りの三振、強打の4番は内角のストレートを詰まらせてファーストゴロ
トップバッターにいきなりセーフティを決められたが、力勝負で危なげなく後続を断った。
まずは上々の立ち上がりと言って良いだろう。今日の内野は良い。ボールが・・・ 走ってる。

1回裏、小平のマウンドには背番号3を付けた左腕が上がった。
昨春の都立足立西、今春の東亜学園、苦杯を喫した2校の先発はいずれもサウスポーだった。
左打者が多い創価対策としては当り前なのかもしれないが、負のイメージは早めに払拭したいところだ。

1番河村は、じっくりとボールを見て行く。追い込まれはしたが軽く合わせる軽打でレフト前に落とした。
2番原が手堅く送って一死2塁、3番鈴木、4番田中にはボールが先行する。
相手投手も粘るが、いずれもスリーボールツーストライクから四球を選び一死満塁とチャンスを広げる。

ここで小平は、早くも先発した左腕を諦め右のサイド気味の投手を出して来た。
創価は5番の野口が左バッターボックスへ入り、じっくりボールを見ていくと、
力みのない構えから、外のストレートに巧みなバットコントロールでレフト前に運んだ。
まさに、打ったというより運んだといった感じで待望の1点が入った。

続く6番南は痛烈に三遊間を真っ二つで2点目、7番野田もセンター前に軽打で運びもう3点目が入り
代わった投手は3人の打者に10球もなげてないだろう。あっという間の3連打だった。

続く8番内野はファーストゴロ、本塁フォースアウトで二死満塁
9番奥は痛烈に三塁線を襲うが、ここはベース際を固めていた相手サードのファインプレーに阻まれた。

3連打で3点のリードしたが、注目したいのは3塁コーチの判断の良さだろう。
野口と南のヒットは、2塁走者が本塁へ走っても良いような打球だったが3塁で止めている。
実は2塁走者が3塁ベースを走り抜け、本塁へ向かって膨らむ辺りが水分を含み滑り易くなっていたのだ。
あそこで転倒してアウトにでもなれば、せっかく傾いた流れが相手に行ってしまう。
無理してたら4点ぐらい取れてたかもしれない。
しかし、初回からギャンブルを仕掛ける必要もないのだ。冷静で堅実な判断だったと思う。

 
[写真左] ベンチからのサインを確認する7番野田選手  [写真右] トップバッター河村選手は2安打

3点を貰った内野は緩急自在で攻める。
毎回のように走者を許すものの、走者が出てからの攻めが圧巻で勝負どころは力勝負でねじ伏せる。
ナイスピッチングといって良いだろう。

そして3回、再び創価打線が襲いかかる。
5番野口が絶妙のセーフティをサード前に転がし無死1塁、
6番南は一度犠打を失敗した後にヒッティング、打球は右中間を真っ二つに割る三塁打となり1点追加
7番野田はスクイズ、本塁上でクロスプレーになったが一瞬南の足が速く滑り込んだ。
野選となって1塁へ残った野田を8番内野が送ると、9番奥がセカンド後方にしぶとく落としてもう1点

押せ押せとなって来たが、1番河村の当りはサード真正面のゴロとなりダブルプレーとなる。
この後、創価はチャンスを作るが、後1本が出ないまま回だけが進んで行く。
6点あれば今日の内野には十分だが、コールド決めきれないところに若干の歯がゆさも残る。

 
今日のクリーンナップは不発だったが、次は頑張れ。3番鈴木選手[写真左]と4番田中選手[写真右]

イニングは進んで7回の表、四球で出した走者を1塁に置いて、何でもないファーストゴロだったが
ゲッツーを狙った野田が、前に出て捌こうとしたがこれをファンブル
内野がファーストベースカバーに入っていたので、カバーの奥が取っていれば際どかったが
奥もボールが手に付かない。

そろそろ終盤のプレッシャーか? 一瞬そんな思いが過ったが、これも全くの杞憂
一死12塁から、続く打者を見逃しの三振に打ち取ると、次の打者はサード河村へのゴロ
イージーバウンドで河村が捕球すると、目の前のベースを踏んでスリーアウト
初めて2塁までの進塁を許したが全く危なげなし、ナイスピッチングだ。

そんな内野が、唯一ドタバタとなったのが最終回、先頭打者にセンター前に落とされたのだが、
この打球にセンター田中がダイビングキャッチを試みるも捕れず、記録は二塁打となった。

田中は、たぶん捕れると思ったのだろう。
6点差で迎えた最終回ということもあり、ギャンブルを試みたと思うのだが
相手を勢いづかせることは必要ない。無死1塁と無死2塁とでは気持ちの面でも若干の差が出るだろう。
事実その後、あれほど冷静だったバッテリーが投げ急いでしまう。
ツーストライクと、カウント有利的になりながらも攻め急いで連続痛打を浴びる。

無死2塁から左中間を真っ二つの二塁打を打たれ、ついに1失点
仮に無死1塁だったら、あのような攻めをしただろうか?
若干球威も落ちてはいたが、攻め急いで配球が単調になってなければ完封出来てたと思う。
レフトフライを一つ挟んで、その後の打者にもカウント有利からレフト前、ライト前に運ばれ一死満塁
長打が出れば分からない展開となって来た。

迎える打者は、初回にセーフティを決められた相手のトップバッター
照りつける日射し以上に手に汗握る場面となったが、ここは真っ向から力勝負を挑み三振に打ち取る。

二死満塁、あと一人、この場面でベンチが動いた。
ピッチャー内野に代って小山、エース池田でないところが、この試合に賭ける監督の意地だろうか?
いずれにしても、右サイドの軟投派に監督は総てを託した。

迎える打者は2番、四球だけは絶対に避けねばならない場面
初球は度胸良く真ん中へストレートでストライク、
その後外への変化球が二つ外れ、ツーボールワンストライクからの4球目
外への抜いたボールを引っ掛けると、打球はサード河村の前に力なく転がる。
これを勢いよくダッシュしてきた河村が、軽快に捌いて1塁へストライク送球
この回からファーストに入った笠貫が捕ると、ファースト塁審の右手が上がった。

2時間と13分、点差はあったものの楽には勝たせてくれない。
これが初戦特有のプレッシャーというものだろうか。
決めるべきところで決めない(コールドゲーム)と・・・ こんな展開がやって来る。
相手も一生懸命なんだから、こちらも集中を切らしてはダメだ。

何はともあれ、まずは一勝おめでとう。
総てはここから始まる。
頑張れ、創価

 

1 表/小平 二安、捕邪飛、三振、一ゴ
 裏/創価 左安、犠打、四球、四球、左安1点左安1点中安1点、一ゴ、三ゴ

2 表/小平 二ゴ、左安、中飛、遊飛
 裏/創価 左飛、遊邪飛、左安、左飛

3 表/小平 四球、左飛、三振、三邪飛
 裏/創価 三安、右三1点犠打野選1点、犠打、右安1点、三ゴ併殺

4 表/小平 右安、二ゴ併殺、三振
 裏/創価 一ゴ、中飛、遊飛

5 表/小平 左邪飛、三安、三振、盗塁、遊ゴ
 裏/創価 中安、左直、二ゴ、投ゴ

6 表/小平 一飛、左飛、三振
 裏/創価 三振、中安、投ゴ、四球、二ゴ

7 表/小平 四球、中飛、一ゴ失、三振、三ゴ
 裏/創価 右直、左飛、二ゴ

8 表/小平 捕安、三振、遊飛、右飛
 裏/創価 死球、犠打、三ゴ、四球、右飛

9 表/小平 [選手交代] 鈴木(右)→笠貫(一)、野田(一)→(右)
      中二、左二1点、左飛、左安、右安、三振
      [選手交代]内野(投)→小山(投)
           三ゴ(試合終了)

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8 コメント

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とりあえず一勝(^.^) (酔いどれ天使)
2012-07-15 09:08:45
はじめまして。
創価高2年の長女を持つ親父です。^_^;
的確な評論をいつも興味深く拝見しています。
この試合は現地で見てました。
内野君は本当にナイスピッチングでした。
ブルペンの池田君も昨年よりひと回り大きくなった感じで楽しみです。
ただ、投手陣に比べて打撃陣(特に4番田中君)は心配です。
次は是非、強豪校らしい「打球」を見たいものです。(^.^)
PS。校長先生も打力を自慢していた海老原君はなぜ登録されていないのでしょうか?ご存じですか?
返信する
Unknown (誓級の空)
2012-07-15 10:23:18
酔いどれ天使さん、コメントをいただきありがとうございます。

確かに田中君のノーヒットは、少し気になりましたね。
彼に1本出てれば、コールドの可能性があっただけに残念でした。
彼が気持良くスイング出来たのは、第二打席の大きなレフトフライだけだったと思います。
それだけマークされてるのだと思います。
4番でキャプテンで迎えた最後の公式戦ですから、相当にプレッシャーもあると思いますが、
練習は嘘つかない。って言いますから、次に期待しましょう。

また、海老原君ですが、詳しいことは分かりませんが体調不良だと聞きました。
2年生ですし、先のある選手ですから無理をさせてないのではないでしょうか。
一番近くで選手を見ている監督が選んだ選手達、スタメンや試合で起用された選手達が
その日、一番最高のパフォーマンスをしてくれる選手達だと信じて応援して行きたいと思ってます。
返信する
おっしゃる通りです(^.^) (酔いどれ天使)
2012-07-15 10:59:12
早速のご回答ありがとうございます。
いま目の前で頑張っている選手を最高と思って応援しないでどうする?とのご指摘には参りました(>_<)
その通りですね。
心を入れ替えて、明日の試合も応援に行きます。\(^o^)/
返信する
選手交代 (野球小僧)
2012-07-16 18:05:33

交代間違えてますよ!!

交代は野田です。
返信する
Unknown (誓球の空)
2012-07-16 18:46:51
野球小僧さん

ご指摘いただきました選手交代の件ですが、15日の朝日新聞で確認させていただきましたら

鈴木(右)→笠貫(一)、野田(一)→(右)となっています。

確か場内アナウンスも、そう言ってたように聞こえました。
ライトは左投げの選手が入っていたのを確認してますので、おそらく間違ってないと思います。

私もけっこう思いこみが有りますので、間違っていたらご指摘ください。
今後とも宜しくお願いいたします。
返信する
Unknown (虚無僧)
2012-07-17 11:36:50
野田君でなく野口君が
交代になってしまってる
とのご指摘ではないかと
返信する
申し訳ございませんでした。 (誓球の空)
2012-07-17 12:34:30
虚無僧さまの、ご指摘の通りです。
帰宅後、直ちに修正します。
大変申し訳ございませんでした。
返信する
恥ずかしい限りです。 (誓球の空)
2012-07-17 18:08:02
野球小僧さま、ご指摘をいただいたにも拘わらず、
勘違いも甚だしいミスをしてしまい、大変申し訳ございませんでした。

交代とのご指摘でしたので、てっきり鈴木君と野田君の間違いと思い込んでしまいました。
お恥ずかしい限りです。慎んでお詫び申し上げます。
今後とも宜しくお願いいたします。
返信する

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