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言葉は人を生かすことも殺すことも出来る。傷付け合うのではなく、支え合ってお互いを生かしあうページにしたい。

日本政府の、血の通わない被爆者認定について考える。

2006年05月19日 | 平和・福祉・介護を考える
61年前の広島・長崎の原爆による被害を受け、被爆者健康手帳を取得している人は、全国で約27万人を数えるという。実際に、原爆投下により被害を受けて亡くなったり後遺症を受けた人の数はおそらく100万人を超えるだろう。
人類始めての核爆弾による人体への影響は計り知れない影響を与え続け、放射能による後遺症・癌などの疾病発症は後を絶たない。2世代、3世代への悪影響・放射能の被害がどのような影響を持つのか?それは今後数十年のデータを積み重ねないと判らない。現在分かっている範囲でも、被爆者の子、孫に癌等の疾病が多発していることが確認されている。・・・果たしてこれらの疾病が、原爆の被爆によるものなのか?別の要素から来ているものなのか?その因果関係は未だ解明されていない。

日本政府は、27万に及ぶ原爆後遺症を訴える人たちに対して、僅か1%の被爆者認定(2200人)を判定しただけで、後は請求申請を却下している。
何故、60年以上原爆の被害に苦しみ、健康被害を申立てている人を救済する認定を下さないのか?理解に苦しむところだ。・・・こうした、厳しい認定方法が、果たして妥当なのか?科学的な判定方法に裏付けられていると強弁するなら、その”科学的判定方法”は何の為の方法なのか?原爆の被害に今尚苦しむ人を救済しない、もっと突き詰めれば、最小限度の認定でしか国家としての責任を果たそうとしない現在の国の認定のあり方は、果たして”温かみのある制度”と言えるだろうか?認定率を切り下げて、国庫の支出を押さえているとしても、それを喜ぶ人が何処にあろう!
原爆の被害者は当然年を重ね、既に亡くなってしまった人たちが過半数である。今後彼らを早急に救済する事こそ、政府が一番に取り組む必要のあることである、この事を曖昧にする厚生省等の遣り方には断固抗議をしたい。小泉自民党政権および現政府の言うことと、実際に被爆者に対して行なっている”救済方法”の裏表、欺瞞をもっと明らかにし、被害者に対する認定を急ぐ必要がある。

先日、大阪地裁では被爆者認定申請却下に対する不服申請は、9人とも認められる判決が下りた。
この判決はまっとうな判決である。この判決の示すところを早急に活かしてゆくことが必要ではないか?

今回の判決は、9人の被爆者の病状を詳細に検討し、国の責任を明らかにすべき事を指し示している。
国は、この判決を重く受け止め、03年以降全国13地裁で計170人が訴訟を起こしていることを視野にいれ、控訴することなく被爆者の救済に踏み出すことを要望する。
こうした認定が認められることにより、僅かではあるが、毎月の手当て支給額も上がることとなる。

健康管理手当てだけでは、健康保険自己負担分が無料になること、癌など指定された健康障害で治療を受けると月額34000円が支給されるのみだ。
しかし、原爆症認定被爆者には月額137000円の医療特別手当が毎月支給されることとなる。
決して多い金額ではないが、少なくとも今後の医療生活費の保証にはなるものである。・・・そして、何よりも認定が下りる事による被爆者の心の傷を癒すことである。

61年前の広島・長崎の原爆による被害を受け、被爆者健康手帳を取得している人は、全国で約27万人を数えるという。実際に、原爆投下により被害を受けて亡くなったり後遺症を受けた人の数はおそらく100万人を超えるだろう。アメリカ軍再編のために何兆円も散在するお金が在るのなら、それより先に支払わなければならないことがあるのだ。高級官僚たちが膨大な年金・退職金を労せずして取得している現実を勅旨し、本当に困っている被害者に対する救済措置を優先する政治を実践すべきだ。自分の家族や、愛する友人が被爆者ならば当然それを切望する事は少し考えれば当たり前の事ではないか?何故、戦後60年経っても未だこうした直ぐ実施すべき保障がなされていないのか?疑問を禁じえない。

現在の政府の認定全体に対して、抜本的な改革が必要と思われる。
この制度改正をする事が、本当の意味での改革であり、小泉首相が言う改革は偽者であると言わざるを得ない。
早急に、血の通った原爆認定方法へ転換すべく、制度の大改革をすべきである。

上野石之助さんは、まず、墓前の母に詫びを入れたという。

2006年04月23日 | 平和・福祉・介護を考える
元日本陸軍兵士、上野(うわの)石之助さん(83葉、故郷の地に赴き、まず母親の墓前に参り、自分が無事暮らしていることと、今までそれを報告出来なかった事を詫びたと言う。本来ならば、60数年にわたって、自分の人生を翻弄した戦争というものに対して憤りを表してもいいところを、自らを詫びることから言葉を始めたというところが、いろいろ考えさせられる。
多くの兵士たちを外地の戦地に送り込み、命を投げ出すことを強制したのは、日本の国家である。おそらく、多くの兵士はそこで死にたくは無かったはずなのだが、潔く戦死することを旨とする軍事教育がなされ、死ななければ国賊扱いするような考え方が強制されていた。・・・こうした軍国主義の時代に、運よく生き延び、今日まで生きてこられた人を目の当たりにするとき、その人生の重さに脱帽する重いです。
上野(うわの)石之助さん(83)=ウクライナ在住、岩手県洋野町出身=が無事帰郷できたことは、(ご兄弟はじめ知人の方の暖かい出迎えを受けたことは)承知のことだが、ここまで所在が判らず、故郷から離散していたのは、国家というものが行った戦争に起因していることは明らかです。
幸いにも、今回母国に帰ることが出来、懐かしい親族とも再会を果たすことが出来たが、国家の責任という意味では、戦争がいかに人々の絆を引き裂き、多くの人の生命を犠牲にしてきたのかを如実に示していると思う。

本来ならば、上野さんの口から、『戦争は、ひどい。私たちの人生を狂わせた。』という告発の言葉が溢れても当然のことだと思うが、彼の口からは決して非難めいた言葉は出てこない。・・・いや、出そうとしても言葉にならないのかもしれない。多くのの戦友が死んでゆき、言葉にならない叫びを発していなくなった事を、決して忘れてはならないと思う。

非戦の誓いをしなければならないのは、我々の仕事であると思う。
戦い、傷つき、計り知れない悲しみの体験をしてきた人達からは、もはや言葉というものは無いのかもしれない。・・・だからこそ、私たちは、後世の世代に平和のための歴史の事実を残し、この悲しみが2度と繰り返されない様に伝えてゆく責任があるのだと思います。

靖国神社に参拝している暇があるのなら、一人一人の戦争犠牲者が何を感じ何を叫んだのかを調べ記述し噛み締めることが必要だと思います。悪戯に近隣諸国を刺激して、それを心の問題だと詭弁を使って知らん振りしていることは許されない。

微修正で、基地建設が許されるのか?・・・普天間基地建設問題を考える。

2006年04月07日 | 平和・福祉・介護を考える
政府は、さかんに地元首長などと協議を繰り返して、建設に対する地元住民の反対を押さえ込もうと躍起になっている。・・・既に建設そのものは、政府と米軍との間で密約が成立しており、残すところは地元の意向を”宥める事”に焦点が集まっているように見える。
しかし、もともと、地元住民の意向など、戦後60年まともに考慮されてきたことは無いのであって、常に沖縄の意向は握り潰されてきた事を忘れてはいけない。

太平洋戦争の末期、沖縄の戦闘では何十万人の住民が殺戮された。・・・互いの軍隊が殺しあうだけでなく、老若男女かまわず犠牲にされた沖縄戦の悲惨を誰が忘れるものか?

ところが、沖縄の基地は、こうした多大な犠牲の上に、引き続き米軍基地の継続と使用とを認める方向で建設されてきた。平和を尊重して、基地を永遠になくすのではなく、米軍の世界戦略に組み込まれて軍事基地の街として沖縄が蹂躙され続けていることを知らなければならない。・・・ここに、沖縄の人たちの苦しみの叫びがあることを、本当に本土の人たちは知っているのか?
特に、協調しなければならないことは、政治家たちが、こうした沖縄の声を常に無視して押し潰して来た事である。

今回、政府が、米軍機の飛行ルートを変更して名護市の辺野古、豊原、安部3地区の集落や南側の宜野座村上空を回避する新たな微修正案をまとめたことが6日、分かった。
何とか、地元の不満を押さえるために、苦肉の策を考えたようだが、こんな子供じみた修正は本来の住民の安全を保障するものとなるだろうか?
飛行ルートの角度を少しくらい変えたところで、普天間に基地が建設され住民の暮らしを直ぐそばで脅かすものとして今後存続し続ける事に何の変更も無い。

まやかしの修正では基地問題は解決する事が無い事を知るべきだと思う。

沖縄の人々の願いは、沖縄から、全ての米軍基地の撤去を求めている。

N.チョムスキー教授の言葉に耳を傾ける。

2006年03月25日 | 平和・福祉・介護を考える
イラク開戦当時から、ブッシュ政権を批判していた米国マサセッツ工科大教授ノーム・チョムスキー氏は、先日M新聞記者と会見した。その会見の模様が紙上に載っていたのですが読まれた方もいるかと思います。以下に彼の発言趣旨を纏めてみたいと思います。

▽・・・イラク戦争を総括すると。

「ニュルンベルク裁判で裁かれた侵略行為と同様である。
米英両国によるイラク攻撃は国際的な戦争犯罪と言える。
何千(何十万?!)もの人を殺害し、拷問し、国家を解体し、インフラを壊滅させた。・・・これを戦争犯罪と呼ばないのなら、人類は何を戦争犯罪と呼ぶのか?」

・・・かって、60年前、日本の広島に、長崎に原爆が人類史上初めて投下され、数十万人の民間人が一瞬の内に殺戮され両都市は放射能により生きるもの全てが破壊されました。その惨状は、口では言い尽くせないものです。広島の資料館には残された原爆の凄まじい破壊の証が残されています。(・・・未だ、見ておられない方は、ぜひ一度自分の目で確認して頂きたいと思います。)
この、大虐殺について、(アメリカという国家と)多くのアメリカ人は、未だに「必要な攻撃であった。二つの原爆投下により、多くの人々の犠牲を食い止められた?」と言う解釈をしているのです。
しかし、このような見解に対して、単に人道主義と言う見方ではなく心のそこから核戦争の恐怖を感じ人間の戦争行為の愚かさを痛感するのは私だけではないと思います。人をどれだけ傷つけ、殺戮してもその行為を正当と肯定する・・・こうした判断と言うものは、どんな高貴な理論と戦略で練られており近代兵器を屈指するものであろうと決して許されるものではないと信じます。
大量殺戮を正当化する考え方は、チョムスキー教授が指摘されるように、まさしくナチスの戦争犯罪と同質であると思います。・・・こうした指摘は、何も米国だけではなく、今まで戦争を聖戦としてつ遂行してきた多くの列国に対しても言えることです。(これは、戦前の日本も同罪です!)


▽・・・ブッシュ政権は先制攻撃論を堅持しているが・・・どう思うか?

「イラクで失敗しいて、今度はイランを先制攻撃論で脅している。
ブッシュのやり方は、何時でもどこにでも大規模な軍事攻撃を行うというものだ。
この遣り方が、結果的にはロシア・中国の軍拡を誘発している。世界の緊張を高め核戦争勃発や放射能爆弾の使用に繋がりかねない。」

・・・アメリカに害が及ばないのなら、他の国に対しては何でもやる。中東の敵国の子供たちが泣き叫び、女たちがもう止めてと叫ぼうがその声に耳を傾ける事は無い。要するに、アメリカ人以外は、どうなってもいい。自分たちだけが幸せで楽しく暮らせば良い・・・こんな身勝手な考え方を誰が容認できるでしょう?もともと、ブッシュ政権には民主主義のかけらも無いのです。自分たちと、考え方をことにする人々、宗教が異なる民族を理解しようとする姿勢が決定的に欠如していると思います。

▽・・・依然40%近い人々がブッシュ政権を指示しているが?

「政策の失敗と、支持率の低下は直ぐにリンクする訳ではない。・・・これはナチスヒトラーが良い例になる。加えて、ヒトラーの時代とは比べ物にならない”政府による周知な宣伝工作”が行える。この政権による情報操作と言うものを重視する必要がある。メディアを使った宣伝工作により、米国民は、フセインをはじめとしてイスラム勢力を恐れる様になったと見るべきである。」

・・・確かに、情報操作の権限は、時の政府や財力のある勢力がイニシアティブを握っている。民主的な方法で幾らお金の無い市民が手作りの運動を繰り広げても、マスコミが取り上げない限り、土に沁みこむ水のように、遠くの人にはなかなか情報の発信が見えにくい。ところが、テレビやインターネットで情報が大きく取り上げられると、1日にして世界にその情報は発信され行き届くことになる。
・・・この意味で、政権政党や、巨大政党による、情報の独占や規制と言うものを軽視するととんでもないことになる。

▽・・・米国では新たなテロが懸念されているが。

「ブッシュ政権の政策はテロを誘発しているだけだ。
その政策を改め、テロリストの不満の源泉を見つめ、見極め、不満解消に向けた対策を練ること、それが問題解決への近道だ。」

目には目を!歯には歯を!これは昔のハムラビ法典の考え方だが、ブッシュの取っている政策は目には何百の首を!歯には、村全体の破壊を!である。疑わしいと思うイスラム人は、全て撃ち殺す権利が、米軍のどこにあるのか聞きたい。軍事要員に、イスラムに暮らす人々の国土を踏みにじる権利が本当にあるのかどうか?こんなまともな疑問が意味を成さない現在の中東情勢をまともな状態とはとても呼べない。・・・だから、まず米軍とそれを指示する国家勢力により編成された占領軍が撤退することが必要だと思うのです。それをきっかけとして、武装した抵抗勢力も撤退する道が開いてくる。
内戦状態になりつつあるイラクを、平和的なプロセスとしてその行程を描くならば、そのやり方しかないと思うのです。そもそも、大量破壊兵器の存在と言う、「米軍の介入の御旗」は失墜しているのですから。

今回、N・チョムスキー教授の話を聞くと、イラク戦争における問題の本質が何であるかが、よく頷けるのです。物事の本質は、そんなに複雑なものではない。何が真実で、何が虚偽であるのか?これを見抜く目を、われわれは、きちんと磨いておく必要があると思います。

ニュース 有効求人倍率の回復と、格差拡大の現実をどう見るか?

2006年02月01日 | 平和・福祉・介護を考える

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有効求人倍率の回復と、策差拡大の現実をどう見るか?


31日、この問題に対して、安倍官房長官が「きめ細かな改革と同時に、きめ細かな政策をしてきた結果」と自画自賛を記者会見していた。有効求人倍率が、05年12月に、1.0となり、実に13年ぶりに1倍台に回復したからだが、この数字には訳がある。


雇用調整弁となっているパート、派遣労働者ら非正社員の求人が伸びているから全体としての求人数が伸びただけのことである。


因みに、正社員の倍率は0.65倍であり、非正社員の1・58倍により中和されさらに全体係数が微増しただけのことである。実数にすると、正社員の求人数は、150万人分。92年9月の1・2倍にあたる。一方、非正社員の数は71万人で、92年の3倍に上る。叉、新規求人数約70万人の打ち、正社員を求められているのは44・9%で、全体の比率では昨年と比べて0・6%さがっている。


現在、平均失業率は、05年で4・4%(男4・6%、女4・2%)数にして、294万人が数えられている。


此れだけの人達が、雇用保険を貰ったり、あるいは雇用保険を受領する期間を過ぎても自分の仕事を探し続けている実態がある。


一言で云って、企業の雇用姿勢が非正社員に流れすぎている事が、こうした失業者の常時滞留を余儀なくさせていると思う。もっと積極的な正社員雇用を図るべきであるし、全体としての待遇改善努力を続けるべきであると思う。働く意欲を削ぐような使い捨て雇用が増えても、全体としては雇用の安定にならないどころか、返って労働意欲を削ぐ役割を果たすと思う。


叉、問題は地域間の格差拡大としても問題が出てきている。例えば愛知県では1・61倍、東京都で1・54倍、と軒並み最近の求人数が伸びている地域が見られる一方で、沖縄県0・41倍、青森県0・44倍、高知県0・48倍、などと続いている。こうした格差は逆に広がっているのが現実で、就労者の移動も当然出てくるし、高齢者率のアップと介護の問題が絡んでくる。・・・如何すれば、地域間の落差がちじめられるのか?様々に対策は練られていても、肝心の企業の募集が低迷していては根本的な改革は不可能であろう。


雇用環境の改善とは程遠いこうした現実に対して、まずは正社員とパートを問わず、労働条件の総体としての改善が大前提となると思う。使い捨てや、遣り甲斐の無い職務が幾ら増えても仕事に生きがいを見つけ出すことには繋がらない。・・・こうした意味で、労働組合が担う役割も大きなものがある。組合員の利益を代弁して、企業から有利な雇用条件を引き出す努力を怠れば、益々労働組合の存在意義は薄れるだろう。逆に、こうした下からの組合員の声を実現する為に成果を上げる組織は結果的には伸びてゆくはずであり、労働者の指示を増やす筈である。この意味で、此れからの新しい組合運動にエールを送りたい。たんに正社員の利益を護るだけではなく、非正社員と共に企業から労働条件の改善を勝ち取ってゆく努力が必要だ。


必要な身体拘束ってあるのかな?

2005年12月24日 | 平和・福祉・介護を考える
身体拘束は、人の自由を奪うものです。それが正当化されるのは、例えば犯罪人を捕まえたりするときは、一般的には正当とみなされます。また、凶暴な動物が人間社会に進出して現れたら、その時、捕獲を目的に捕らわれることについては、誰しも妥当と認めざるを得ません。しかし、こと人間社会では、何の理由か明確にされずに人を拘束して自由を奪うことがあってはならないのです。同時に、どうしても拘束せざるを得ない理由があるときは、已むを得ず拘束をする理由付けが必要でしょう。その理由が明らかにされていなければ、やはりそうした身体拘束は不当です。

厚生労働省では、「身体拘束ゼロへの手引き」の中で次のように規定している。
○やむを得ず拘束する場合の手引き
1・職員個人ではなく、施設として判断できるよう、事前にルールを定めておく。
2・本人や、家族に詳しく説明をし、十分な理解を得るように努める。
3・要件に該当しなくなれば、直ちにやめる。

こうしたガイドラインがあるにも拘らず、実際には施設では身体拘束が行われているのが実情です。それも、3割は、生命などの必要なしに行われたものであるとのアンケートからの統計がある。
この調査は、厚生労働省が、今年、全国5800施設からの回答で明らかになったものです。
今までに、一切身体拘束を行ったことがない、と言い切った施設は、15・2%だけであった。そして、緊急時と、一定の手続きを前提に容認する、とした施設が、60・7%であった。また、判断をここの担当者職員に委ねている、と答えた施設が19・1%あった。
拘束する場合の手続きを定めているは、66・4%で、個別ケースごとに協議するため定めていないが24%在った。また、現場の判断にまかしている、と答えた施設は4・4あった。

拘束の手続きを定めているところでは、拘束率がゼロのところが、36・2%ある。それに対して、個別ケースごと協議する、ではゼロ拘束率は26%であり、現場の判断で、という施設では、18・5%と低かった。
やはり、きちんと拘束に対して対応を明示している施設のほうが不必要な拘束を防いでいることが現れている。

拘束しなければならない理由で多かったものが、人手の少なさです。
特に、夜勤においては、最小職員数で対応するために、こうした身体拘束の可能性が高くなり、一人あるいは限られたスタッフの判断がポイントになる。この時、現場スタッフの判断が重視される遣り方では、結局、身体的な拘束を避けられない現実があるようだ。

この調査は、現実の状況を一定程度著しているが、実際のところは、もっと多くの身体拘束のケースが埋もれている可能性がある。

介護報酬がすり減らされて、援助する人の手がこのまま減らされるようでは、身体拘束に対する懸念も、また強まらざるを得ないと思います。
根本的には、余裕を持った人員配置がされないと、どこまで行ってもこの手の問題はなくならないでしょう。

また、研修や施設でのルール作りもされる必要があり、職員間の意識改革も不可欠でしょう。このためには、スタッフの研修体制が、強化される必要があります。

こうして考えると、身体拘束の撲滅は、行政の制度改革と、働くスタッフの意識改革が連動する必要があります。施設により差があると思われますが、良質の介護を目指すからには、身体拘束をなくすことが一つの目安となるはずです。
如何したら、これが出来るのか?逆に如何することが悪い結果を生むのか?もっと様々な議論とケース検討が積み重ねられ、サービスの質が高められるようにしてほしいと思います。

元気な高遠さんの話を聞いてきました。

2005年11月14日 | 平和・福祉・介護を考える
武装勢力による拉致、緊張、開放、帰国・・・色々あって、内面的な苦労が沢山あった彼女ですが、今日叉、元気に活動再開されていることを目の当たりにしました。・・・世界の、様々な地域に赴いて、人々と事件の現場を訪れ、事実を取材しながら、彼女のもたらす情報を聞く機会を得ました。・・・かってのか細いイメージは無くなり、活動的で精力的な話し振りを聞き、逞しくも思いました。

本日参加した集会名は、”市民と学生が作る「平和のための後援会」”で、大阪豊中の阪大キャンパスにて開催され、約580人が集まりました。
僕が参加できたのは、新聞の小さな集会広告から知っての事です。偶然13日に高遠さん達の話が聞けることを知り、是非参加しようと思ったのです。
彼女が、日本に帰られてからの軌跡が良く分からず、確かマスコミの話で講演会などもされている噂は聞きましたが、此れまで話などを聞く機会を持つ事が出来なかったのです。しかし、今回、こうして、実際に彼女の話を聞き、改めて、「しっかりした人なんだ」と確信しました。

第一に、話方が、凄い早口ではっきりと的確に筋道を通して話をされていることに驚きを受けました。・・・勝手に思いこんでいた高遠さんの話法として、か細く、ぼそぼそと遠慮がちに話をする人だろう?と勝手に思いこんでいましたが、実際に話を聞いてみると、どんどん勢力的に話を展開されて、聞く者をぐいぐい引き寄せるような・・・そんな話っぷりにいやおうなく会話の中に引き寄せられてしまいました。 彼女は、もはや、拉致されて傷付いて下を向いているボランティア志望の女性ではなく、骨の芯が通ったプロの平和活動家、と言ったほうが的確と思えるコメンテーターとして目の前に立って居られ情報を提供されてました。

約90ぷかんの彼女の話には、沢山の情報があり、とても、このブログだけでは伝えられないものですが、叉、ダイアリー(gooのホームページ)などでも少しずつ紹介してゆく心算です。ここでは、彼女のパンフレットに書かれている、メッセージを紹介しておきたいと思います。

『私にはお伝えしたいことがあります。それは、報道の見えない壁の向こうでイラクでは何が起きていたか、ということです。私は、「事実」を持っていきます。敢えて、「真実」とは云いません。色々な事実を「戦争と平和」を考える材料にして戴ければと思っています。どちらが残酷か、叉は善悪の判断をするのではなくて、人間として自分は何をすべきなのかを考えるきっかけとして頂ければと思います。』なかなか、味わい深い言葉ではないでしょうか?

なお、彼女の活動を紹介するサイトとして、下記のサイトが紹介されていますので、詳しいことを知ろうと思う方は、見て下さるよう呼びかけます。
なかなか、マスコミの中では知らされない事実の報道が、彼女達の活動では発信されて居ります。・・・特に、イラク戦争の、事実が、語られていると思いますので、是非耳を傾けて頂きたいです。

米軍がイラクで殺害した、4万から、10万人と言われている犠牲者達の殆どは、民間の一般人です。米軍の死亡者はたかだか2000人です。その何十倍もの人々が罪も無く無残に殺され踏み潰されているという事実が、現実の報道では殆ど知らされていないことを知るべきなのです。

イラクホープダイアリー

増えるイラク人記者の犠牲。暴力停止と言論の自由の確立を!

2005年11月06日 | 平和・福祉・介護を考える
昨今、イラクでの外国人記者の活動が益々危険になっている。03年からの2年半で、実に73人の報道関係者の死者が出ている。この中には、橋田さんらに本人記者も含まれており、何故こうした現実になっているのかが心配される。・・・あのベトナム戦争でも、75年までの20年間で、63人の犠牲者だと言われている。・・・如何にイラクの情勢が短期間のうちに出された犠牲として異常な数字であるのかが判る。

昨今では、外国人特派員などの活動は、極めて限定された状況でしか活動出来ない状態となっている。
叉、それに連れて、イラク人記者にも拉致や殺害の手が伸びており、報道の自由が保障されていない。もはや、イラクでは、報道記者の活動は命がけの活動となっている。
例えば、9月の末には、イラクのネット新聞「キタバト」のアルディーン記者が、南部のバスラにて、射殺体で発見され、彼の右腕が切り落とされているという残酷な殺し方に批判が高まっている。
しかし、こうしたテロは、止まるところがなく、目立つ活動をすると狙われてしまう恐怖が、イラク社会を覆っている。アルディーン記者の場合も、スンニ派の武装勢力と、米軍に対する批判だけではなく、シーア派の政党にまで批判の矛先が向く記事を書いていたためと言われている。

しかし、言論の自由を象徴する新聞関係者が軒並み狙われているイラクの現状は、如何考えても異常である。
こうした状況を放置すれば、民主主義の根幹が否定されることになり、云いたいことが自由に云える社会では無くなり、独裁国歌が根付いてしまうことになりかねない。
命がけで取材する報道関係者を守る事は当然必要だが、こうした暴力の風潮を何処かで断ち切る必要があると思う。

そのためには、政治的な正常化を早く回復して、イラクでの平和的手段による社会復帰が急がれる。人を殺し、傷つける応酬はもうこりごりです。こんなことを幾ら続けても、何の解決にもならない。

現在のイラクの状況で必要なのは、武器を横において、話し合いで物事を解決してゆく知恵だと思います。その知恵が、イスラムの教えの中から生まれるならば、大歓迎です。しかし、憎しみしか生まないのならば、そんな宗教は必要ではない。平和を進める宗教こそ、人民のための宗教たるゆえんだと思います。人種と宗派を超えて、イラクの人々の平和のために全ての宗教者は団結すべきです。

東京都の『成年後見人』一般公募開始に一言申す。

2005年10月18日 | 平和・福祉・介護を考える
認知症、知的障害などにより判断能力が不十分な人を対象に、財産管理や契約などを代行する『成年後見制度』があるが、それを実際に行う人である『成年後見人』を市民から一般公募して、養成しようという計画が実施されることとなった。

近年リフォームの詐欺、訪問販売による悪質な詐欺などの事件が頻発して高齢化社会を向かえるにあたって不安が先行している。現有の後見人では、とても多くの御年寄りを守ることが不可能になってきている。
現在ターゲットとされているのは”団塊の世代”であるという。ここ何年かで多数排出される定年世代に狙いを定め、『成年後見人』を急遽養成して、増大するニーズに答えようとする狙いである。

全国でも始めてのこの養成が、果たして効果を発揮するのかどうか、注目されるが、若しこの方式が有効という事がはっきりすれば、恐らく全国の市町村でも実行されることとなろう。この事は、有意義なことではある。

例えば、大阪府を例に取ると、『成年後見人』を希望する人があっても、順番で申込を叉なければならないし、何ヶ月かの期間待機する必要があるという。肝心の必要なときに、直ぐに担当者を派遣してもらったり、契約を交わしたりが出来ないのが現実である。・・・何せ、各区に数人の担当者しかいない現実では、とても沢山の御年寄りからの申込に答えられないのが現実であるという。・・・此れでは、幾ら制度の趣旨は良いとしても、地域の人々の依頼に答えられる体制とは云えない訳である。

大都市では益々認知症の御年寄りが増え、『成年後見制度』や、”金銭管理”を依頼出来る”安心サポート”などの需要が増してゆくことは確実である。その場合、問題となるのは、スタッフの確保を如何するのか?である。人を雇うにしても人件費が必要となることもあるが、兎にも角にも、後見人となる人を探すことが先決となる。このとき、沢山の高齢者の予備軍?を無駄にほっておく手はない。
60代の健康な御年寄りならば、まだまだ行動的に仕事が出来るわけであり、労働意欲も豊富である。これらの年代から意欲的な人たちを”成年後見人”として養成できれば、所謂”老老介護”の明文も功を奏する訳である。

東京都の場合、まずは50人を養成すると云っているが、この程度の人員で問題が明るい方向へ進むのかどうか疑問でもある。もっと大胆に、500人くらいの養成をしてゆくべきだと思う。2000年に、東京では126万人(70歳以上)の御年寄りが、2020年には、242万人に増える。此れだけの御年寄りに対しての成年後見人を、50人程度増やす計画を立てても、恐らく”焼け石に水”だと思う。
社会福祉の計画というものは、もっと、先々の状況を見越し計画を経てるべきであり、万全の対策で計画して欲しい。2004年に、制度利用希望者が、2021件を数えたと云われているが、しかし、本当にそれを必要としている人は、その何倍も存在する。・・・制度の網から漏れて公的な見守りから外れた御年寄りの中から、様々な悪しき詐欺などに遭う犠牲者が増えているのである。御年寄りの被害は、ある意味では、社会における高齢者保護制度の貧困を現している。・・・このことを踏まえるならば、今回の東京都の公募開始は、進歩的な意味を有するとしても、もっと大胆に行う必要を感じます。全国の自治体でも、早急に成年後見人の公募を開始すべきであると思います。

イラク帰還兵の大統領批判はどこまで有効か?

2005年10月08日 | 平和・福祉・介護を考える
元海兵隊員P.ハケット氏が、オハイオ州の下院補選にて善戦した。共和党の地盤であり、今まで民主党が共和党に勝ったことが一度も無い地域で、無名新人のハケット氏が(!)、有力共和党候補に対して52対48(4000票の差)間で肉薄したことが話題になっている。
同区では、前回、ブッシュ氏が64%を獲得して、圧倒的な支持を得ていたにも拘らず、今回の補選では、きわめて痛切な大統領批判と、イラク戦争反対を掲げる候補が支持されたことになる。一体何故、このような変化が保守的な地域においても起こってきているのか興味が湧くところである。

米国では、シーハンさん(イラク戦争犠牲者兵の母)らのイラク戦争反対の草の根運動が、日増しに浸透しており、今回のハケット氏の登場も、こうした反イラク戦争の運動の流れのなかに位置付ける事が出来ると思われる。
しかし、ハケット氏はもともと戦争そのものに反対する”反戦運動”としてではなく、間違った戦争に対して”異議を唱えている”グループに属している。

彼らは、人一倍の愛国心を自負する人々であり、軍隊などに入隊した経歴を誇りとしているところが共通している。強いアメリカ、世界の憲兵としてのアメリカを否定していない点では、現在のブッシュ政権と思想的には同じ立場に立っていると言って差し支えないだろう。
にも拘らず、今回、イラク戦争からの脱却を主張して、これ以上イラクに関わるべきではない、という考え方では、政策的な相違点を有しており、ここ1年余りの米国内での災害対策の不備に対する政府批判と相乗効果を持った形でにわかに脚光を浴びてきた勢力であるといえよう。

果たして、今後彼等イラク戦争反対派が、米国の大衆から過半数の支持を得るまでに勢力を拡大するのかどうか?これは、誰にも判らないが、少なくとも、現時点では、民主党の中に一定の支持基盤を獲得しつつある新グループであることには異議を挟む余地は無い。

現在の共和党の政策に反対する意味では、イラク戦争反対という点で同一のスローガンを持つであろうが、核大国としてのアメリカの体質そのものを問い直すような”反戦運動”としての立場とは、大きな開きを持っており、今後、民主党内で、どのような議論が深められてゆくのか注目してゆきたいと思う。

イラクからの撤退を語る人は、今後も増え続け、何時か米国もイラクから撤退する日が来ることは疑いない。
しかし、その日が先延ばしされ、米軍が滞在することによるリスクの大きさ、マイナス面はあまりにも明らかであろう。米軍が駐留することによる戦費の負担拡大に比例して、イラク人のみならず、世界の世論からの叱責を米国は背負い込まなければならないことを、ようやく自覚し始めたといえるのではないか?それならば、少しでも早く、部隊を撤退して自国内での山済みされた課題にたち返る必要がある・・・こうした考え方の説得力が、戦争継続一点張りのブッシュの言葉より上回っている。

ハケット氏等のイラク帰還兵の中間選挙立候補が、今後どういう軌跡を踏んでゆくのか注目してゆきたいが、もし、彼らのうち一人でも選挙に当選するような形勢になるとすれば、ブッシュ政権のイラク戦争継続の政策にとって、大きな打撃となる。現政権にとっても、本気で戦わねばならない苦しい選挙戦になろうとしている。