ひかりとしずく(虹の伝言)

勉強会や講演会、上映会のレポートなど主に載せています。

父と息子の深い絆 

2011-04-10 | ポルカさんのあいあいメールから
友人でもあり私の属するなな色シスターズの一人であるY・Iさん(ポルカさん)が書かれたものです。送ってこられた時候は2008年8月でした。私の手元に置いておくだけではもったいない素敵なお話を紹介してくださっているのでここに載せたいと思います。

最近読んだ本からの素敵なお話です。作者の宮脇さんはイギリスの古い街コッツウォルズで、ご両親とティールームを開いています。昨年当地のティーギルド協会からティールームナンバーワン賞を受賞。それまでの歩みやイギリスの深い伝統、紅茶文化にかける思いが綴られています。そのティールームでかいま見た父子(おやこ)の姿です。私にはまぶしくうつる親子関係です。

宮脇樹里著『コッツウォルズでティールーム』より

開業直後のある日曜日。老紳士とその息子らしき中年男性が中に入ってきました。老父の腕をしっかり支え、男性は窓ぎわの日ざしのあたる席を選び、二人は並んで席に着きました。父親と息子はスクランブルエッグとベーコンをのせたトーストを注文。二人はハイストリートを行き交う人たちを目で追いながら、たまに二言三言を交わすだけなのですが、父親は言葉の初めに必ず「Son」と息子に向かって呼びかけるのです。そして息子も「Father」と返すのですが、それがとてもほほえましく心地よく感じられました。

日だまりの中に寄り添う二人の後ろ姿に、この親子がこれまでどのような時間を共有してきたかを見るような思いがしました。

私はあるとき店を訪ねた、やはりある親子の姿をこの二人に重ねていました。若い父親と幼い息子でした。母親が同伴していないところからすれば一見父子家庭かしら、とも思ったのですが、どうやらそうでもなさそうです。男親とその子供という組み合わせは見慣れているので、なにも珍しくはないのです。親子は横に並んで席に着きました。なぜ子供が小さいのに退屈しそうなこんなところを訪れたのだろう。(このお店は少しグレードの高い喫茶店です・・・編者注)のどを潤すならジュースやソフトドリンクはほかでも手に入るのだから。二人の間に流れるものは静かな親子の対話の時。この親子は話をするために店を訪れたのでした。しかしまじめに何を語るという風でもなく、例えば父親は紅茶の入れ方やカップの持ち方の手本を我が子に見せ、それを父親に寄り添うようにして座っている子供が後にならう。わずか5,6歳と見える金髪の幼子も大人と同じ紅茶を飲んでいました。

子供は最近のママが怒りんぼうなこと、学校の友人のペットがかわいいこと、今食べかけのチョコレートケーキがこれまでの彼の人生で最高の味だと話しているのが聞こえました。ときどき父親がわが子に名前でなく優しさに満ちた声で「Son!」と呼びかけると子供は「Father?」と顔を上げるのです。こう呼び合える父子の関係をとても羨ましく感じました。

私が生まれる前に男子を望んでいた父の気持ちがわかったような気がしたのです。無二の父子の関係をこの親子は大切に育んでいる。子供の遊び道具も絵本もないけれど、このティールームで過ごす二人の時間に至極満足しているのが伝わってきたのです。キャッチボールをしに出かけるわけでもテレビゲームに興じるわけでもない。ただ穏やかな時間を過ごすだけ。この父子もやがてあのような高齢の父親と中年の息子となるのでしょうか。


ポルカ

以上がY・Iさんの文章です。彼女が以前から『あいあい通信』、『あいあいメール』そして、『ちゃぶ台メール』と名称を変えながら、送ってくださっていた文章の中から「これはとても感銘を受けた!」と思うものをこれからもアップしたいと思います。

私にも息子がおります。うちの旦那と息子もこういういい関係を作ってくれていればいいなと思います。また、今介護施設で仕事をしており、いろんな家族の関係を見ているものですから、特にこういった老いた親を暖かく共に時間を過ごすという事が、本当に素敵だと思いました。紅茶を飲むなんていうのは、いかにもイギリスですが、ここ日本なら?囲碁を一緒にするとか?日本茶を飲みながら・・・。縁側が欲しいですね!
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