とみしゅう日記

僕がエアロフォンを買った理由 - その4

前回の続きです。
 
僕がエアロフォンを買ったきっかけとなる、もうひとつの出来事についてお話しします。
 
ここで登場するのが、仕事の同僚であるCさんです。
Cさんはとても朗らかな性格で、ついでに言うと酒も強く、何度か一緒に飲んだこともあります。
その時も仕事以外の話をあれこれしていたのですが、その話の中でCさんが楽器経験者であることを知りました。
Cさんは学生時代に吹奏楽部にいて、クラリネットを担当していたそうです。
その後、社会人になり、楽器からは遠のいていたのだけれど、最近になってまたクラリネットを吹くようになったと。
地元の音楽教室が主催しているアマチュア楽団に加入して、毎月練習に通っているのだそうな。
みな社会人だから、そんなに上手い人たちばかりじゃない。
でも、みんな音楽が好きだから、とても楽しく練習しているんですよ。
Cさんはとても楽しそうに話していました。
 
なにも珍しい話ではありません。
そうやって、自分のペースで音楽を楽しんでいる人は、この日本にもたくさんいることでしょう。
でも、なぜかその時の僕には、その話が深く刺さったのです。
 
タイミングとしか言えません。
たまたまその時期に、たまたまそういう話を聞いた。
それが、その時の自分にとってはとても大切なことで、人生の何かを決断するきっかけとなった。
そういうことは、以前の自分も経験しています。
 
たとえば、一冊の本との出会い。
大学の浪人時代と前後して、岸田秀さんの「ものぐさ精神分析」という本に出会いました。
この本で知ったこと、考えたことの多くは、自分の人生に多大な影響を与えています。
 
たとえば、友人との語らい。
心と身体を病んで、仕事を辞め、まさに引きこもっていた時代。
少しずつ社会に戻り、そのタイミングで友人と行ったカラオケ。
あの時、普段と変わらず接してくれた友人のことを、僕は一生忘れません。
 
エアロフォンを買った後に、Cさんが出演したコンサートを見に行きました。
10人ちょっとという小所帯のグループ。
楽器も、(見た目の)年齢層もまちまちの大人たちが、みな楽しそうに演奏していました。
とある有名なクラシック(僕ですら知っている曲)を演奏したのですが、そのオープニングに度肝を抜かれました。
本来ならトランペットが吹くべきパートを、トロンボーンが吹いていたのです。
そもそも、このグループには金管楽器がトロンボーン1台しかないので、編曲者も苦労したのかもしれません。
 
でも…それでいいんだよね。
だって、聴いていても楽しかったもの。
このグループは、それぞれ仕事や家庭を持っていて、そういう忙しい中でも時間を割いて、自分たちが楽しむために音楽をやってきたはず。
音を楽しむと書いて音楽と読むんだよ、なんていう陳腐な言葉は幾度となく聞いてきたけれど、この日のコンサートを見て、その言葉の意味を改めて噛みしめました。
 
Omens of Loveへの思い、果たせなかった吹奏楽への思い、クラリネットと改めて向き合っているCさんの思い。
友人や趣味が少ないことへの危機感とか、「楽器できたら、ちょっとカッコいいかも」みたいな見栄とか、その他もろもろの「調味料」。
材料はすべて揃いました。気も熟しました。
 
さあ、次なる問題は「どの楽器を手に取るか」です。
それは当然、T-SQUAREと因縁の深いEWIでしょ…とはならないのが、人生の面白いところでして。
 
【つづく】
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