あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

やっぱりイイね~

2010-04-19 | 本(文庫本)
私が浅田次郎作品ファンだと知っている方だと、「どうして昨秋に出た文庫本のレビューがないの?」と、思われていたことでしょう。実は、買っておいてはいたものの、「短編集だったらいつでも読めるから、先にこっちを読んで…」と、なかなか読まないでいたのでした。
ということで、今月ちゃんと読みました。浅田次郎さんの『月島慕情』と『月下の恋人』。どちらも素敵な短編集です。
たて続けに2冊、短編集が出たということは、作品が書かれた時期が「短編強化期間」だったのでしょうか? 長編を書く気分ではなかったとか? ま、どうであれ、浅田さんの長編小説が大好きな私ですが、短編も大好物なので、読む前から期待大でございました。

まずは『月島慕情』から。
ヤバいです。いきなり最初の作品、表題作の「月島慕情」からやられました。
辛いことばかりを経験してきた吉原の太夫が、やっとつかんだ幸せを、きっぱりと手放す悲しさと優しさとカッコ良さ。心の中の複雑な動きを繊細に描ききる作家さんですから、この題材とストーリー展開は、ファンにはたまらないものがあります。
やはり浅田次郎作品は面白い! 全世界に向かって叫んでしまいたいくらいだ!
続く「供物」「雪鰻」「インセクト」「冬の星座」「めぐりあい」「シューシャインボーイ」と、すべて心がキュンキュンしてたまらない1冊でした。

次に『月下の恋人』。
こちらはちょっと不思議な出来事を描いた短編集。中でも「黒い森」は話の続きがどうしても気になって仕方なくなる作品でした。「結局、笛木小夜子って何者だったんだ~!」って…。
11篇の中でお気に入りの作品は、不思議だけどしっとりとした雰囲気があって、その先に暖かい灯りがともっているように感じた「回転扉」。読後、自動ではなく手動の回転扉を見かけることは少なくなったけど、今度手動の回転扉を見かけたら、ゆっくりと押し回して建物の中に入っていこうと夢見心地に思ったりしました。

こんなに素敵な短編集を続けて読んだので、どうしても「次は是非長編を!」と思ってしまいます。だから、もうそろそろアレを文庫化してくれないかしらねぇ、講談社さん…。
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