あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

それでも生きていくの

2021-08-07 | 本(文庫本)
あさのあつこさんの『おいち不思議がたり』と『桜舞うおいち不思議がたり』を続けて読みました。

江戸・深川の菖蒲長屋で、医者である父の仕事を手伝っているおいち。16歳になって亡くなった母の姉からは「嫁入り前の娘らしくしろ」と口うるさく言われたり縁談の話を持ち込まれるようになるが、おいち自身は父のような医者になることを目指している。そんなおいちには不思議な力が備わっていた。この世に思いを残して亡くなった人の声を聴くことだけでなく、姿を見ることができるのだ。

既にシリーズ化されている人気作品なので「面白くないわけがなかろう」と思って読んでみました。まずは2冊。これが何と申しましょうか、2冊で上下巻みたいな流れになっていたので、「ヤダ、私ったら!勘が働いちゃったのかしら」って、天狗になるところでした。
本作、とにかく読みやすいです。表紙カバーのイラストから「ラノベかも」と思ったのですけどそれほどライトでもないし、オトナでも満足できるのではないでしょうか。
ただ気になったのは、おいちの父親・松庵さんと叔母のおうたさんの掛け合いが、面白いを超えて「ちょっとくどい……」な感じになっているところ。さすがにお笑い好きの私でも「もうええて!」って突っ込んでしまいましたから。
それと、なんだか色々テンコ盛りな感じになっちゃっているところ。不思議な力があるだけじゃなくて、幼いころからの大切な友だちの死があったり、身内の病が発覚したりした上に出生の秘密までも! そして本当の血縁者との縁。そこまで豪華にしなくても、面白い展開にできるのではないかと思ったんですけどね。
しかしキモは、悲しいことや辛い別れもあるけれど、それは生きている間にたくさん起きる普通の出来事。江戸の時代も現代でもそれは変わらない。だけどそこからだって生きていくのが人の道ですよ、ってことだと感じました。そんな風に思わせてくれた作品でした。

そう考えたところで、何か忘れ物をしているような気になって「何だっけ?」と、しばし考えて思い当たりました。速攻「積読」スペースを確認しましたら、ございました。「まだ読んでなかった!」な作品。それを思い出させてくれるほど、本作はその作品とテイストが似ていると思うのです。そしてまた改めて「やっぱ凄い作家さんだわ」と思い知らされました。
夏休みの期間に涼しいところに避難してその作品を読もうと思います。
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2 コメント

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Unknown (ハナキャップ)
2021-08-08 06:44:41
ご無沙汰しておりますー!
でも、とみさんが日々、粛々と着々といつものとおり過ごされているのを覗きに来ては、勝手に安心して私の心は平穏になっていました。

今回の読書日記のといい、この間の伊坂さんのホワイトラビットの日記のといい、どちらからも『そうそう、いろいろあるのよね、でも生きていかないとね』と本当に勇気?というか、根性?というか…を頂いたので、ひとことお礼を申し上げたくて久々にコメント…
きっと振り返ったらあっという間。 だって今年ももう3分の2が過ぎていくところ…
とみさん涼しいところで夏休みなの?いーなー☆ 自分を大切にするのもとっても大切!だと思うようになった、私もとうとう50代です笑
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ハナキャップさん (とみ)
2021-08-08 09:48:03
いやいやいや、「休暇は避暑地で」ではないんですよ。
緊急事態宣言中ですしね。
今、東京から地方に行ってごらんなさい。東京の人間はバイキン扱いされますから
だから近所の涼しい場所(つまり、家の中にいるよりもマシなところ)で暑い時間をやり過ごす、ってことなのよ。

ということで、お元気で何よりでした。
私の中のハナさんのイメージはいつまでも「若い」から、「超えたのぉ~」って驚きがデカい
ま、ヒトのことはまったく言えない私なのですけどね。
お互い、いくつになってもしぶとく生きて行きましょう!
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