あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

メリークリスマス

2017-12-23 | 本(文庫本)
有川浩さんの『キャロリング』を読みました。
あっという間に今年もクリスマス。なのでこの作品を選びました。多分今年最後の読書記録になるだろうから、幸せな読後の気分が欲しいじゃないですか。だからこのタイトルがピッタリでしょ?

クリスマス倒産が決まった子供服メーカーで働いている大和は、少年期に親からの虐待を受けていた過去を持つ。もうひとりの元少年は、サラ金の取り立てをしているという、結局は裏家業に身を落とすほかに選択肢のなかった人生を送ってきた赤城。そして現在進行形の少年は、離婚の危機を迎えている両親のことで心を痛めている小学生の航平。それぞれが自分なりの幸せを得ようとしているだけなのだが……。

なかなかのハードなシーンから入る物語で、クリスマスの楽しい雰囲気など微塵も感じられないのですが、この物語に「悪い人」は存在しません。悪い人は彼らの人生の中の記憶の中にいる人物だけです。
とても切ないのは、3人が3人ともそれぞれに幸せになりたいだけなんだということ。だけど何だかうまく行かない。ま、人生なんて大概がそんなものなんだけどね。
でも読んでいくうちに「幸せになってもらいたいなぁ~」と思ったのです。とくに航平君。彼はおとなを手玉に取るようなところがあるけれど、おとなの気持ちを思いやることができる部分があります。良い子です。だから両親には彼の気持ちを分かってやってほしいと思いました。
でも、そこはおとなの事情もあるわけで。子どもにとっては「お父さんとお母さん」だけど、両親目線だとパートナーは「結局は他人」なんですよね。
大丈夫。航平はきっと優しいおとなになれる!

この物語を読んで、私はクリスマスだからって特別何かをする予定はないけれど、メリークリスマスって「楽しいクリスマスを」っていう意味なのだから、ちょっとは楽しく過ごさなきゃもったいないような気がしてきました。
今年のイブは日曜日だし、好きな音楽を聴きながら、好きな料理をしながら過ごそうかしら。
皆さんも楽しいクリスマスを!
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