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あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

幸せのカタチ

2018-05-20 | 本(文庫本)
荻原浩さんの『メリーゴーランド』を読みました。
読書記録、もの凄く久しぶりだわ。本を読んでいなかったわけではないのです。記録として残していなかっただけで、本書も読んだのは3月の終わりころでした。

都内にある家電メーカーに勤めていた啓一だったが、過労死続出の職場だったことと父親が亡くなったことを機にUターンして9年。現在は市役所勤務で、妻の路子、小1の息子・哲平、3歳の娘・かえでと平穏に暮らしていた。ところがある日、市が建設した超赤字テーマパーク「アテネ村」の再建対策室へ異動になった。運営会社である第三セクターのペガサスリゾート開発は天下りで自分の利益しか考えない爺さんばかりだし、対策室の室長も何だか頼りない。啓一の平穏な公務員生活は、異動を境にガラリと変わってしまう。

啓一は本当に奮闘しました。地方公務員でもそこは民間企業勤務を経験した啓一だから、底力が違うのかもね、とも思いました。いや、公務員が働いていないとは言わないですよ。ただ、この物語に出てくる自己利益だけしか考えていない天下りの爺さんどもからは、良い印象は受けないんです。
さらに、大学時代に啓一所属していた劇団・ふたこぶらくだの来宮たちも、最初は読む私をイラつかせました。こんないい加減な人たちと関わらなければならない生活だなんて、あり得ない! と、いつも読むのが楽しい荻原さんの作品らしくなく、中盤までは嫌な感じで進みました。
中盤以降は、啓一の奮闘ぶりが心地よく、応援しながら読んでいる自分がいました。公務員なんだから、利益追求はしなくても良いんじゃないかとは思ったけど、そこを解決しなきゃいけない役割だから、やるしかないのです。
啓一の奮闘の結果の受け止め方は、読む人それぞれだと思います。途中から応援していた私ですけど、がっかりはしませんでした。むしろ爽快な気分で読み終えることができました。理不尽なことはあっても、それぞれに幸せのカタチがあって、そのカタチに綺麗に収まったと思えましたから。そして、働くということは素晴らしいのだと。そこはいつもの荻原作品でした。
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