あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

鬼も仏も

2013-10-08 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『あんじゅう』を読みました。
久しぶりに分厚い文庫本と格闘しました。主な読書timeが電車の中ですから、本の「持ちやすさ」は重要ポイントなのですが、手の小さい私には解説等入れて約630ページのボリュームはちょっと辛かったか?『蒲生邸事件』と比べるとチョイ薄かったけど…。

さて本書。以前読んだ『おそろし 三島屋変調百物語事始』の続編。シリーズ第2弾です。なので『三島屋変調百物語事続』と副題がつきます。前作では5つの不思議な物語が語られ、今回は4話。トータル9話。「百物語」にするにはあと91話もあるのですが、今回もまったく期待を裏切らない素敵な連作時代怪談集を読ませていただきました。

神田の袋物屋・三島屋を営む叔父夫婦のもとで暮らすおちか。おちかが負った心の傷を癒すことになればと叔父が始めた「百物語収集」で、またしても不思議な話を聞くことになる。
お旱さんをと少年の物語「逃げ水」、双子の姉妹にかけられた呪いの顛末を描く「藪から千本」、紫陽花屋敷に出没する”くろすけ”と老夫婦の物語「暗獣」、人間の業の深さとそれから起きた山村の悲劇が語られる「吠える仏」。
怖くて悲しくて可愛くて切なくていとしい、江戸人情怪談物語。


以前から「宮部みゆき作品は絶対に時代物!」と言っていますが、本当にそうだと思った作品でした。とにかく、人の持つ感情すべてがストレートに突き刺さる。江戸の庶民の生活が生き生きと描かれ、人の心には鬼もいるけど仏もいるのだと、優しく教えてくれました。
中でも今回「まいった!」のは「暗獣」(あんじゅう)。泣きました。『孤宿の人』のときと同じパターンで「まさか宮部作品で泣かされるとは!」な不意打ちで泣かされました。しかも、読後にブックカバーを外してカバーイラストを見て『くろすけが月を眺めながら歌っている!』と感じてまた泣く…。
もう…。年とって余計に涙もろくなってるんだから…。勘弁してよ…。

新たなおちかちゃんのお婿さん候補になりそうな青野利一郎や、彼が手習所で教えている3人のイタズラ坊主たち、おちかちゃんを守ってくれる存在になるお勝さんなど、これからの長くなるであろう物語の中で活躍してくれそうな新キャラクターもたくさん登場してます。ますますこのシリーズへの期待が膨らみます。楽しみ・楽しみ♪
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