バジェロンさんのミシン針

今回コンテンポラリー部門で金賞を受賞したのはアメリカ人男性・バジェロンさんです。授賞式の後のパーティーで、小さなプラスチックの箱に入った５本ほどのミシン針を掲げて「今回のキルト作りに使った針です。あさって(注・８日)に浅草寺で『ハリクヨウ』があると聞いたので収めてきます」とおっしゃったのです。日本人でさえ忘れている針供養という言葉をアメリカ人の口から聞くとは思いもしませんでした。
その彼の作品は、紺色の生地の上に、赤、黄色、緑、青の刺しゅう糸でミシンステッチをしたもの。色の重なり具合はすべて糸で表現した作品です。ちょっと見ただけでは織物のような印象を受けます。
人が作品の前で「コレはどうなってるのかしら？」などと話していると、作者が飛んできて「イト、ミドリ、アカ、キイロ」と日本語の単語で説明してくれます。思わず私も英単語を口にしてみました。「ワン　ファブリック？」「ハイ」「ビューティフル」「アリガトゴザイマス」
私の友人がお仕事は何を、と聞いたら(もちろんちゃんとした英語で)コンピューター関係の仕事をしていて、キルトはあくまで趣味だと答えたそうです。

今回受賞したことで公の片隅にちょっぴり名前が出ました。そうするとこんなことがあるんだ！という出来事がありました。
昨日の夕方電話がありました。
その電話は○ジ△ンケイグループの広告代理店を名乗り、私の作品がとてもすばらしいので、１５日付の△ンケイ新聞の朝刊に１面全部を使って芸術特集をするので、是非私のキルトの写真を使わせて欲しい、というものでした。しゃべり方がいかにも怪しいし、自分が読んでもいない新聞に写真が載ってもうれしくもなんともなし、第一印刷物に関する版権は手芸普及協会が持っています。その旨を話して普及協会に連絡してください、というと「いや、協会は関係ない。あなたの作品を載せるのだから」というだけ。何度か押し問答した後私は「とにかく普及協会を通してください。アナタはよくても私は通してくれないと困るの！わかりましたね！！」と言って電話を切り、すぐに普及協会にこういう電話があったと話しました。すると他にも１軒電話があって、そちらは全作品を掲載するからと、２４万円請求されたそうです。それから程なく手芸普及協会から、注意を促すＦＡＸがきました。
まったく何でもかんでも詐欺の材料になるのですね。
皆さんも御注意を！