この邦題を見ただけでなんとなくストーリーがわかってしまうのでどうしようか悩みましたが、テレビCMでしつこいくらい「実話です!」と強調していたので見に行くことにしました。各映画評では賛否両方ありましたが、私的にははまりました。
映画の前半、5歳のサルー少年がお兄ちゃんとはぐれて一人で都会をさまよい、オーストラリア人夫婦の養子になってタスマニアに行くまでのところで、すでに涙をこらえるのが大変でした。
お兄ちゃんにはぐれて潜り込んだ列車がひた走る、どこにも出られない、日が沈み日が昇り、それを2回繰り返してやっと外へでると、そこは言葉さえ通じないまるで別の世界。
地下通路でたむろするストリートチルドレンが捕まってどこかへ連れ去られたあと、その一人にもらった段ボールを後生大事に抱えて一人で何とか生きて1か月!あの時捕まっていればスラムドッグミリオネアの子供たちのように目をつぶされ物乞いにされていたでしょう。
その前に胡散臭い女に助けれて、もっと胡散臭い男にどこかへ連れていかれそうになって逃げたこともあった。
今日本でも生活の格差が広がって、ろくに食べられない子供も多いと聞きますが、さすがに路上に寝泊まりするのは大人だけですよね。そこで1か月も一人で生きるって想像しただけで胸を締め付けられる思いでした。
そしてメルボルン大学に進んだ青年は、あのスラムドッグミリオネアの主役の青年。実に素敵に大人になっていました。
ここからは映画評が分かれるところ。私は仕方ないだろうと思います。自分でも覚えていない自分の素性、お兄ちゃんや妹の名前は覚えているものの、母親の名前は憶えていない。でも英語しか話せないオーストラリア人とは周囲は見てくれません。あの一人でさまよった都会はベンガル語圏でヒンディー語 は通じなかったのです。
ふとしたことがきっかけで少しずつ幼いころの記憶が蘇ってくれば、自分のルーツを知りたいと思うのは自然のことです。
友人のアドバイスもあり、そこでグーグルアースを使うあたりが現代的。
しかし、彼は探し出しました、覚えていた地名は間違っていた。グーグルアースで家までの道がたどれます。
そして彼は母親にただ今が言えたのです。
久しぶりに映画で泣きました。映画の最後に実際に二人の母親が会うシーンが出てきます。
そしてエンドロールで「インドで行方不明になる子供は年間8万人、その子たちに援助するにはユニセフへどうぞ」てな感じで出てきます。そして最後にこの映画のライオンの意味が出てきます。そして納得、あの悲惨な状況を抜け出せたのはこれだったんだ!って
そして完全に映画が終わって一人の客が拍手しました、実に久しぶりに映画館で拍手を聞きました。