野老の里

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アベノミクスは道半ば 

2014年11月20日 | tokoroの日常
21日衆議院が解散される。政治にはお祭り的な要素があって、政治家と呼ばれる人たちは盛り上がりを求める傾向がある。選挙というのはその一つだろう。正直安倍首相が選挙をやりたい理由はよくわからないが、国民のほうは選挙というお祭りに付き合わされる余裕がない。マスコミは色々な予測を立てているけれども、このまま行けば現政権が圧勝するのは間違いないだろうと思う。

ボクは現政権の保守的な方向については好ましく思わないけれども、アベノミクスにはそれなりの評価をしている。日銀と協力して円安誘導を行ったことで大企業が息を吹き返した。またビザ取得の緩和などで日本を訪問する外国人の数も年々伸びてきている。もちろんどんな政策にもデメリットがあり、庶民にとっては物価の上昇、中小企業にとっては原料の価格上昇・電気料金の上昇の原因となっていることは否めない。

そこで求められているのが「第三の矢」な訳だけれども、正直上手くいってない。現政権側は何故上手くいかないのか語ることはないけれども、安倍首相としてはおそらくもっと広い支持があれば実行できると考えているのではないだろうか。前回総選挙の大勝は民主党政権への失望が生み出した。必ずしも現政権への強い支持があったからという訳ではない。安倍首相としては再度選挙で信任されることで不人気政策を推し進めたいのだろう。

しかし「第三の矢」つまり規制緩和が上手くいっていないのは、現政権側に実行力が無いからというよりも、円安誘導と公共工事で盛り上がってきた景気をどうやって次の展開へつなげるのかという展望が見えないからなのだと思う。例えば労働者派遣法の改正やホワイトカラーエグゼンプションの導入のように労働者に不利に働く政策やカジノ解禁といった反対意見の多い政策について、現政権は個々のメリットばかりを強調することが多い。例えば派遣法の改正では「労働者側の多様なニーズに応えるものだ」という答弁が繰り返し流されたのは記憶にあるだろう。この答弁を聞いたとき、この改正の意味がよくわかっていないのだろうなと思ったものである。

ボクも派遣労働に従事したことがあり、正社員時代と比べると随分と不安定な立場にあると感じた。だからといって派遣労働が悪いのかというとそういう訳でもない。ボクが従事していた仕事もそうだが、派遣労働は単純労働に使われることが多い。でもそれは派遣労働が想定する一つの機能を取り上げたものに過ぎない。単純労働はそもそも正規雇用に馴染むものなのかという疑問が経営者側にはあり、派遣労働はそれを具体化したものに過ぎないのではないだろうか。今回の法改正は労働者には不利になるかもしれないが、経営者側に正規雇用で使いたい人と非正規雇用で使いたい人という区切りがある以上、法改正をしなかったからといって正規雇用が増える訳ではない。正規雇用を増やしたいのであれば、人材を求める産業へ労働者を移すか、あるいは労働者を必要とする新産業を育成するしか方法は無い。そして現政権が目指しているのも基本的には労働者を移す・産業を育成するという点にある。

問題は労働者を移す・産業を育成するという方向と個々の法改正とをつなげて説明できないことにある。さらに言えばアベノミクスがもたらした良い状況を政策作りに反映できてないともいえる。先の展望を示さないから個々の政策をバラバラに行っているように見えてしまうのだ。かつて安倍首相は「美しい国」をスローガンに掲げたが、今はそういったビジョンを示さない。「美しい国」についての賛否は色々あるが、近年の政治家としてはビジョンを示していたというだけでも評価できた。衆議院解散を宣言してしまった以上、アベノミクスは道半ばである。選挙は盛り上がりには欠けるかもしれないけれども、現政権側はどんなビジョンを打ち出せるのかについては興味がある。そしてだらしない野党はその存在意義が問われる選挙になる。単なる批判あるいは迎合勢力に堕するのか、それとも政権に対抗できるビジョンを打ち出せるのか、そこを注視していきたい。意義を問われる選挙に意義を見出すのは国民の側にあるのだから。

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