(飯能河原から割岩橋を望む)
母の病気の看病もあって、山歩きはおろか、奥武蔵からもだいぶ縁遠くなっていた。最近は少し時間ができて、どこかに行きたいという欲求はある。しかし奥武蔵の山は低くて夏歩くには不向きだ。そこでがっつり山歩きをするのではなく、観光を兼ねた散歩感覚でどこか歩いてみたい。昨年美杉台を歩いたときにその裏山に当たる大河原地区が気になっていたので、飯能河原での川遊びと組み合わせて歩いてみることにした。
お昼過ぎ、飯能駅南口に降り立つ。駅ビルの無い南口だが、大きなショッピングモールが近くにあるため、歩く人は多い。とはいえ、東京都では暑い所で知られる青梅市の隣にあることもあり、陽射しは焼けるように暑い。本格的な山歩きを楽しむ人には馴染みの無い南口であるが、バスターミナルからは大河原工業団地行きのバスが出ており、柏木山や龍崖山を歩く人にはお馴染の風景となっていくのだろう。
駅前の道を真直ぐ歩き、ショッピングモールを過ぎると最初に見えてくるのが飯能大橋。橋の上からは緑に覆われた美杉台の丘陵が望め、丘陵の上にできた学校の校舎も見える。飯能大橋は美杉台へ無理なく上がっていくため、入間川(名栗川とも言う)の河岸段丘面の高い所を通っている。したがって橋から川床まではかなりの高さがある。
(飯能大橋 丘陵の上に校舎が見える)
(下流方面を望む)
橋を渡りきらずに途中に付けられた階段を下り、入間川へと寄って行く。少し北に矢久橋と呼ばれる、やや小さな橋が架かっている。小さいと言っても交通量は多く、おそらく入間川の右岸に付けられた車道を走るクルマがこちらへ流れてくるのだろう。ちなみに右岸の道路は名郷行きのバスルートになっている。河原へと下りると川床はコンクリート護岸となっていて、コンクリートブロックも転がっている。おそらく洪水の際に橋を守るための衝撃吸収材のような役目を担っているのだろう。コンクリート護岸の上は草原が広がる中洲があり、飯能河原へとつながる流れは緩やかになっている。
(矢久橋)
(入間川)
(飯能大橋と矢久橋)
車道へ戻り、入間川の左岸の道を行く。周囲は河岸段丘の低い部分に作られた住宅街で、美杉台と比べると古いのではないかと推測される。美杉台へと上がる傾斜の急な車道の手前に入間川へと流れ込む沢がある。いや沢というよりは美杉台から流れ出す排水溝のようなものかもしれない。沢の周りは雑木林に覆われているのだが、川床がいやに赤茶けている。飯能はかつてマンガンなどが採掘されたらしいのだが、そうした鉱物が関係しているのだろうか。
(赤茶けた川床)
小さな集落を過ぎると丘陵の雑木林の中の道になる。車道ではあるが、涼しく歩きやすい。途中丘陵側に階段が付けられ、その先を緩やかな登り坂が続いている。ディジタル地形図によると美杉台へと続く公園道路へとつながっているらしい。この小さな分岐を過ぎると車道の丘陵側に側道が付く。土の道で車道を歩き続けるよりずっと良い。しばらく雑木林の木陰を楽しんでいると雑木林内に舗装路が見えてくる。これは上の美杉台公園への通路で、この道一帯も公園の敷地内にあるようだ。クルマ一台くらいは通れそうなので、緊急時には車道扱いになるのだろうか。
(木陰の道)
(このまま上がると美杉台公園の舗装路にぶつかるようだ)
(美杉台公園への舗装路)
公園への道を見送ると右手がやや大きな集落となる。集落の向こうには小さく盛り上がった天覧山の姿が見える。丘陵側にも住宅が現れると三吉稲荷神社前に着く。三本の鳥居が設けられた石段は木々に覆われていて、石段の頂上には住宅らしきものが見える。石段下にはポストがあり、個人の名前が書かれていたので、神社を管理している御宅なのだろう。なかなか傾斜が急な厳しい石段を上がると一段上に個人宅があり、その脇に三吉稲荷の社がある。問題はこの先どう行ったらよいかということだ。個人宅の裏を通るのは気が引ける。迷った末、石段下の左脇にある林道のような道を行くことにした。
(天覧山)
(三吉稲荷神社)
石段を下り、住宅の裏に付けられた舗装路を登る。林道のような扱いだったようだが、今や草が茂り、自然に還ろうとしているかのようである。谷間に付けられた道は杉や檜が高く育ち、夏の暑さを和らげてくれる。ところが良い気分で歩いているとあと少しという所で舗装路が切れてしまう。上部は二本の山道となっていて、左は沢筋、右は尾根を上がっていくようだ。
(草生える林道)
(植林の中を進む)
左の道を進むと小さな鞍部を越えた所で下っていく。その先は先ほど見かけた美杉台公園へと続く舗装路へと下りていくようだ。そこで今度は右の尾根道を上がる。尾根道といってもすぐに藪にかき消され、もはや道ではない。杉木立に入ると割と明瞭な踏み跡になっていて、頂上部分へ出ると前がやや開けている。と、ここで問題に直面する。前は個人宅の裏手で、先へ続く道は個人宅の敷地を通らなければならないようだ。流石に戻るのは面倒だし…。止むを得ん。緊急避難として通らせてもらおう。見咎められたら謝るしかない。
(左の道を進むとやがて下り傾向になる 先には舗装路も見えている)
(左手の尾根を上がっていく)
駐車スペースを通り、美杉台の住宅街へと出る。さてこの御宅の東にあるのが朝日山平等院だったのだが、そうとは知らずあさひ山展望台方面へと歩き出してしまう。というのも地形図には現在摩利支天の社が建つ辺りに寺院のマークがあるからだ。土留めの木段が付けられた急な坂道を上がっていくと樹木に覆われた頂上に小さな社がある。これが摩利支天で、割と新しく作られたものらしい。横の壁にはいくつかの絵馬が掛けられていて、近在では知られた存在なのだろう。社の左奥は人工的な崖地となっていて、美杉台の住宅街を見下ろせる。
(摩利支天)
(社に括り付けられた絵馬)
(摩利支天からの眺め)
正規のルートは摩利支天の社から北へと延びるものだけで、西へは行けないようだ。そこで往路を戻り、住宅街の車道を進むことにした。ところが摩利支天直下の崖地を過ぎると摩利支天方面へと登る道があるではないか。おそらく北へ延びる尾根道に途中で合流するのだろう。この分岐を過ぎると美杉台配水場の下を進むことになる。配水場内にはかつて展望台があったのだが、現在は閉鎖されている。利用者のマナーが問題だったというのが理由のようだが、行政側としては配水場というライフラインの管理上の問題が大きかったのではないだろうか。
配水場を過ぎ、次の交差点を左に入ると再び山道に入ることができる。以前訪れた朝日山の三角点が近いはずだ。尾根に上がると確りとした踏み跡が付いている。一応配水場方面にも踏み跡があるが、整備はしていないようだ。檜と落葉樹が混在する中の一本道は如何にも奥武蔵といった雰囲気がある。尾根の西端へ近づくと南へ下る道が分岐する。あさひ山展望台へは後で寄ればいいので、まずは三角点へと向かう。尾根の西端は西側が開けていて、三角点は尾根からやや外れた所に埋まっている。西端からは飯能クリーンセンターと背後の山、そして造成中の分譲地が良く見える。
(三角点へと続く道)
(三角点近くから 左に飯能クリーンセンターが見える 背後の山は下畑辺りから上がれるらしい)
広く開けたあさひ山展望台へ下ると意外にも数組の親子連れが歩いていた。コンクリート舗装された所が多いので、異様なまでに暑いのだが、それでも親としては外で遊んでほしいという思いもあるのだろうか。展望台からは東・南・西とほぼ270°の眺めが得られる。東側は美杉台と飯能の市街地が見下ろせ、西側は赤根ヶ峠や柏木山、龍崖山などの近在の山と遠く奥多摩の山並が眺められる。
(あさひ山展望台 あづぃ…)
(東側の眺め)
(西側の眺め)
さて通常なら尾根を戻ってさらに北へ下って大河原の交差点へ出るのが楽な道なのだが、あえて造成地を西に下って県道28号から入間川へと下ることにした。龍崖山公園の下部がどうなっているのか、確かめてみたいのだ。日陰の無い造成地脇の道はとにかく暑い。アスファルトの照り返しを浴びて、体が干物になってしまいそうだ。下っていってぶつかる道路が県道28号。ここを南へ下るのだが、造成中ということもあってこの辺りもしばらく日陰が無い。右へ左へと曲がった所で龍崖山公園の入口が見えてくる。
(龍崖山公園へ向かって)
案内板が設置された広場から山を回り込むように舗装路が付いている。茜台から流れ出す排水を入間川へ流すための水路が県道28号に沿って流れていくのが見える。左岸に秘密基地のような管理施設があり、公園自体がまるで秘密基地のようだ。下の広場で引き返してもよかったのだが、最上段まで上がり、トイレで顔を洗っていく。それにしてもここを夏場に上がるのはきつい。
(秘密基地、それとも地下神殿? …いや水道施設か)
県道28号へ戻り、入間川を目指す。龍崖山公園を見上げるとまるでダムのようだ。丘陵地の造成というのは相当地下深くまで開発されているのだなということを窺わせる。水路というかおそらく沢沿いには点々と民家が存在する。途中国際興業バス間野黒指行きの赤根峠入口バス停がある。造成工事前は赤根ヶ峠への道がどこかに存在していたのだろうが、今では想像もできない。左手に大河原の集落が見えてくると大河原交差点に着く。ここには朝日山三角点への山道が延びているほか、沢筋に監的壕が存在しているそうだ。
(龍崖山公園 まるでダムのようだが水を湛えているわけではない)
(大河原交差点 正面が朝日山三角点への道)
岩根橋へは住宅街が広がる中の道を抜けていく。とにかく日陰が無いのが辛い。岩根橋へ近づくとようやく木陰で一息つける。吾妻峡を見下ろす位置に架けられ、かなりの高度感だ。橋を渡り、民家や商店が立ち並ぶ名栗街道を東へ進む。天覧山下の交差点から登り返し、今日は飯能市郷土館へと寄って行く。ここの大きな利点は入館料が無料というところ。館内展示はかつて飯能市の主産業であった林業の紹介と飯能市内で見つかった遺跡の紹介がメインとなっている。山歩き派には館内にある図書室の資料が大いに参考になるだろう。
(岩根橋)
(上流方面を望む)
(飯能市郷土館)
館内展示を一通り見たところで、飯能河原へ向かう。今日の小さな旅もそろそろ終わりが近づいている。交差点を渡って下ると名栗川亭の前に出る。その脇から河原へと下ることができる。名栗川亭のほうではバーベキュー場が開かれていて、川を渡るのは難しそうだ。そこで左岸沿いにぐるっと回っていくことにする。川の流れは意外にも右岸に寄っていて、左岸には砂利と草地で出来た広い河川敷がある。左岸の護岸沿いには舗装された遊歩道が付けられていて、東の端はウッドデッキになっている。こちらは遊ぶ人も無く、独り身が歩くには良い所だ。割岩橋の下から橋の上へと上がり、あとは真直ぐ飯能駅を目指すだけだ。3時間ほどの軽い歩きではあったが、暑さでかなり疲れた。やはり真夏は高い山に行きたいものだ。
(名栗川亭方面を望む)
(割岩橋)
(ウッドデッキがある)
(草地というか湿地だろうか)
(割岩橋の下から)
(上流方面)
(下流方面 左岸にバーベキュー場がある)
DATA:
飯能駅12:50~12:55飯能大橋~12:59矢久橋~13:24三吉稲荷神社~13:45摩利支天~14:09あさひ山展望台~14:26龍崖山公園~14:59岩根橋~15:06飯能市郷土館15:26~15:31飯能河原~15:50飯能駅
関連HP 飯能市郷土館
地形図 飯能
トイレ あさひ山展望台下 龍崖山公園 飯能市郷土館 飯能河原
三吉稲荷神社から摩利支天へは神社脇の個人宅の裏手を通っていくのが正規の道のようです。ボクが通った林道のルートは個人宅を通ってしまうので避けて下さい。
母の病気の看病もあって、山歩きはおろか、奥武蔵からもだいぶ縁遠くなっていた。最近は少し時間ができて、どこかに行きたいという欲求はある。しかし奥武蔵の山は低くて夏歩くには不向きだ。そこでがっつり山歩きをするのではなく、観光を兼ねた散歩感覚でどこか歩いてみたい。昨年美杉台を歩いたときにその裏山に当たる大河原地区が気になっていたので、飯能河原での川遊びと組み合わせて歩いてみることにした。
お昼過ぎ、飯能駅南口に降り立つ。駅ビルの無い南口だが、大きなショッピングモールが近くにあるため、歩く人は多い。とはいえ、東京都では暑い所で知られる青梅市の隣にあることもあり、陽射しは焼けるように暑い。本格的な山歩きを楽しむ人には馴染みの無い南口であるが、バスターミナルからは大河原工業団地行きのバスが出ており、柏木山や龍崖山を歩く人にはお馴染の風景となっていくのだろう。
駅前の道を真直ぐ歩き、ショッピングモールを過ぎると最初に見えてくるのが飯能大橋。橋の上からは緑に覆われた美杉台の丘陵が望め、丘陵の上にできた学校の校舎も見える。飯能大橋は美杉台へ無理なく上がっていくため、入間川(名栗川とも言う)の河岸段丘面の高い所を通っている。したがって橋から川床まではかなりの高さがある。
(飯能大橋 丘陵の上に校舎が見える)
(下流方面を望む)
橋を渡りきらずに途中に付けられた階段を下り、入間川へと寄って行く。少し北に矢久橋と呼ばれる、やや小さな橋が架かっている。小さいと言っても交通量は多く、おそらく入間川の右岸に付けられた車道を走るクルマがこちらへ流れてくるのだろう。ちなみに右岸の道路は名郷行きのバスルートになっている。河原へと下りると川床はコンクリート護岸となっていて、コンクリートブロックも転がっている。おそらく洪水の際に橋を守るための衝撃吸収材のような役目を担っているのだろう。コンクリート護岸の上は草原が広がる中洲があり、飯能河原へとつながる流れは緩やかになっている。
(矢久橋)
(入間川)
(飯能大橋と矢久橋)
車道へ戻り、入間川の左岸の道を行く。周囲は河岸段丘の低い部分に作られた住宅街で、美杉台と比べると古いのではないかと推測される。美杉台へと上がる傾斜の急な車道の手前に入間川へと流れ込む沢がある。いや沢というよりは美杉台から流れ出す排水溝のようなものかもしれない。沢の周りは雑木林に覆われているのだが、川床がいやに赤茶けている。飯能はかつてマンガンなどが採掘されたらしいのだが、そうした鉱物が関係しているのだろうか。
(赤茶けた川床)
小さな集落を過ぎると丘陵の雑木林の中の道になる。車道ではあるが、涼しく歩きやすい。途中丘陵側に階段が付けられ、その先を緩やかな登り坂が続いている。ディジタル地形図によると美杉台へと続く公園道路へとつながっているらしい。この小さな分岐を過ぎると車道の丘陵側に側道が付く。土の道で車道を歩き続けるよりずっと良い。しばらく雑木林の木陰を楽しんでいると雑木林内に舗装路が見えてくる。これは上の美杉台公園への通路で、この道一帯も公園の敷地内にあるようだ。クルマ一台くらいは通れそうなので、緊急時には車道扱いになるのだろうか。
(木陰の道)
(このまま上がると美杉台公園の舗装路にぶつかるようだ)
(美杉台公園への舗装路)
公園への道を見送ると右手がやや大きな集落となる。集落の向こうには小さく盛り上がった天覧山の姿が見える。丘陵側にも住宅が現れると三吉稲荷神社前に着く。三本の鳥居が設けられた石段は木々に覆われていて、石段の頂上には住宅らしきものが見える。石段下にはポストがあり、個人の名前が書かれていたので、神社を管理している御宅なのだろう。なかなか傾斜が急な厳しい石段を上がると一段上に個人宅があり、その脇に三吉稲荷の社がある。問題はこの先どう行ったらよいかということだ。個人宅の裏を通るのは気が引ける。迷った末、石段下の左脇にある林道のような道を行くことにした。
(天覧山)
(三吉稲荷神社)
石段を下り、住宅の裏に付けられた舗装路を登る。林道のような扱いだったようだが、今や草が茂り、自然に還ろうとしているかのようである。谷間に付けられた道は杉や檜が高く育ち、夏の暑さを和らげてくれる。ところが良い気分で歩いているとあと少しという所で舗装路が切れてしまう。上部は二本の山道となっていて、左は沢筋、右は尾根を上がっていくようだ。
(草生える林道)
(植林の中を進む)
左の道を進むと小さな鞍部を越えた所で下っていく。その先は先ほど見かけた美杉台公園へと続く舗装路へと下りていくようだ。そこで今度は右の尾根道を上がる。尾根道といってもすぐに藪にかき消され、もはや道ではない。杉木立に入ると割と明瞭な踏み跡になっていて、頂上部分へ出ると前がやや開けている。と、ここで問題に直面する。前は個人宅の裏手で、先へ続く道は個人宅の敷地を通らなければならないようだ。流石に戻るのは面倒だし…。止むを得ん。緊急避難として通らせてもらおう。見咎められたら謝るしかない。
(左の道を進むとやがて下り傾向になる 先には舗装路も見えている)
(左手の尾根を上がっていく)
駐車スペースを通り、美杉台の住宅街へと出る。さてこの御宅の東にあるのが朝日山平等院だったのだが、そうとは知らずあさひ山展望台方面へと歩き出してしまう。というのも地形図には現在摩利支天の社が建つ辺りに寺院のマークがあるからだ。土留めの木段が付けられた急な坂道を上がっていくと樹木に覆われた頂上に小さな社がある。これが摩利支天で、割と新しく作られたものらしい。横の壁にはいくつかの絵馬が掛けられていて、近在では知られた存在なのだろう。社の左奥は人工的な崖地となっていて、美杉台の住宅街を見下ろせる。
(摩利支天)
(社に括り付けられた絵馬)
(摩利支天からの眺め)
正規のルートは摩利支天の社から北へと延びるものだけで、西へは行けないようだ。そこで往路を戻り、住宅街の車道を進むことにした。ところが摩利支天直下の崖地を過ぎると摩利支天方面へと登る道があるではないか。おそらく北へ延びる尾根道に途中で合流するのだろう。この分岐を過ぎると美杉台配水場の下を進むことになる。配水場内にはかつて展望台があったのだが、現在は閉鎖されている。利用者のマナーが問題だったというのが理由のようだが、行政側としては配水場というライフラインの管理上の問題が大きかったのではないだろうか。
配水場を過ぎ、次の交差点を左に入ると再び山道に入ることができる。以前訪れた朝日山の三角点が近いはずだ。尾根に上がると確りとした踏み跡が付いている。一応配水場方面にも踏み跡があるが、整備はしていないようだ。檜と落葉樹が混在する中の一本道は如何にも奥武蔵といった雰囲気がある。尾根の西端へ近づくと南へ下る道が分岐する。あさひ山展望台へは後で寄ればいいので、まずは三角点へと向かう。尾根の西端は西側が開けていて、三角点は尾根からやや外れた所に埋まっている。西端からは飯能クリーンセンターと背後の山、そして造成中の分譲地が良く見える。
(三角点へと続く道)
(三角点近くから 左に飯能クリーンセンターが見える 背後の山は下畑辺りから上がれるらしい)
広く開けたあさひ山展望台へ下ると意外にも数組の親子連れが歩いていた。コンクリート舗装された所が多いので、異様なまでに暑いのだが、それでも親としては外で遊んでほしいという思いもあるのだろうか。展望台からは東・南・西とほぼ270°の眺めが得られる。東側は美杉台と飯能の市街地が見下ろせ、西側は赤根ヶ峠や柏木山、龍崖山などの近在の山と遠く奥多摩の山並が眺められる。
(あさひ山展望台 あづぃ…)
(東側の眺め)
(西側の眺め)
さて通常なら尾根を戻ってさらに北へ下って大河原の交差点へ出るのが楽な道なのだが、あえて造成地を西に下って県道28号から入間川へと下ることにした。龍崖山公園の下部がどうなっているのか、確かめてみたいのだ。日陰の無い造成地脇の道はとにかく暑い。アスファルトの照り返しを浴びて、体が干物になってしまいそうだ。下っていってぶつかる道路が県道28号。ここを南へ下るのだが、造成中ということもあってこの辺りもしばらく日陰が無い。右へ左へと曲がった所で龍崖山公園の入口が見えてくる。
(龍崖山公園へ向かって)
案内板が設置された広場から山を回り込むように舗装路が付いている。茜台から流れ出す排水を入間川へ流すための水路が県道28号に沿って流れていくのが見える。左岸に秘密基地のような管理施設があり、公園自体がまるで秘密基地のようだ。下の広場で引き返してもよかったのだが、最上段まで上がり、トイレで顔を洗っていく。それにしてもここを夏場に上がるのはきつい。
(秘密基地、それとも地下神殿? …いや水道施設か)
県道28号へ戻り、入間川を目指す。龍崖山公園を見上げるとまるでダムのようだ。丘陵地の造成というのは相当地下深くまで開発されているのだなということを窺わせる。水路というかおそらく沢沿いには点々と民家が存在する。途中国際興業バス間野黒指行きの赤根峠入口バス停がある。造成工事前は赤根ヶ峠への道がどこかに存在していたのだろうが、今では想像もできない。左手に大河原の集落が見えてくると大河原交差点に着く。ここには朝日山三角点への山道が延びているほか、沢筋に監的壕が存在しているそうだ。
(龍崖山公園 まるでダムのようだが水を湛えているわけではない)
(大河原交差点 正面が朝日山三角点への道)
岩根橋へは住宅街が広がる中の道を抜けていく。とにかく日陰が無いのが辛い。岩根橋へ近づくとようやく木陰で一息つける。吾妻峡を見下ろす位置に架けられ、かなりの高度感だ。橋を渡り、民家や商店が立ち並ぶ名栗街道を東へ進む。天覧山下の交差点から登り返し、今日は飯能市郷土館へと寄って行く。ここの大きな利点は入館料が無料というところ。館内展示はかつて飯能市の主産業であった林業の紹介と飯能市内で見つかった遺跡の紹介がメインとなっている。山歩き派には館内にある図書室の資料が大いに参考になるだろう。
(岩根橋)
(上流方面を望む)
(飯能市郷土館)
館内展示を一通り見たところで、飯能河原へ向かう。今日の小さな旅もそろそろ終わりが近づいている。交差点を渡って下ると名栗川亭の前に出る。その脇から河原へと下ることができる。名栗川亭のほうではバーベキュー場が開かれていて、川を渡るのは難しそうだ。そこで左岸沿いにぐるっと回っていくことにする。川の流れは意外にも右岸に寄っていて、左岸には砂利と草地で出来た広い河川敷がある。左岸の護岸沿いには舗装された遊歩道が付けられていて、東の端はウッドデッキになっている。こちらは遊ぶ人も無く、独り身が歩くには良い所だ。割岩橋の下から橋の上へと上がり、あとは真直ぐ飯能駅を目指すだけだ。3時間ほどの軽い歩きではあったが、暑さでかなり疲れた。やはり真夏は高い山に行きたいものだ。
(名栗川亭方面を望む)
(割岩橋)
(ウッドデッキがある)
(草地というか湿地だろうか)
(割岩橋の下から)
(上流方面)
(下流方面 左岸にバーベキュー場がある)
DATA:
飯能駅12:50~12:55飯能大橋~12:59矢久橋~13:24三吉稲荷神社~13:45摩利支天~14:09あさひ山展望台~14:26龍崖山公園~14:59岩根橋~15:06飯能市郷土館15:26~15:31飯能河原~15:50飯能駅
関連HP 飯能市郷土館
地形図 飯能
トイレ あさひ山展望台下 龍崖山公園 飯能市郷土館 飯能河原
三吉稲荷神社から摩利支天へは神社脇の個人宅の裏手を通っていくのが正規の道のようです。ボクが通った林道のルートは個人宅を通ってしまうので避けて下さい。
当日はとてつもない暑さでしたが、林の中はかなり涼しく感じました。
アップダウンが厳しくなく、陽射しを避けられるルートであれば結構歩ける所はあるような感じがします。
実際五常の滝などは近年人気があるようです。
毎日ものすごい炎暑に感じられて、
必要以外では一歩も出たくないし、
仕事の日も、「なんとか駅まで」「なんとか電車が来るまで」とそればかり。
昨日今日はだいぶ峠を過ぎたのかと思うようですが、
更新されていたのは炎暑の頃だったので、すごいと思いました。
でも写真を見せていただいていると、
夏らしい青々とした緑や、明るい光に惹かれますね。
夏って美しかったんだなあと思い出しました。
いつもながら丁寧な記事で、何度も繰り返し読みました。
夏を楽しんだ気持ちになりました。ありがとうございました。
>実によく周辺の観察と調査をされていることにビックリです
とりあえず地形図を持って気になったことを歩いてみただけで、自分では大して調べてなかったりします。後で考えるともうちょっとじっくり歩いても良かったような気がします。
なお、ボク自身は下記のサイトを参考にさせていただきました。
http://ghosts.s87.xrea.com/Crossing.htm
http://ribble.la.coocan.jp/
>この暑いをものともせず
実際とんでもなく暑かったです。ただ林の中は結構涼しかったので、舗装路歩きさえ避けられれば何とか歩けそうな感じはします。
私も美杉台、大河原周辺はよく歩くのですが
驚きました。実によく周辺の観察と調査をされて
いることにビックリです。
それにしてもこの暑いをものともせず
これもまた、驚きです。
記事中にありました
(秘密基地、それとも地下神殿? …いや水道施設か)
は URさんの資料によりますと
防災調節池 と なります。
よろしかったら↓をご覧下さい。
http://mkaifuu.blog.fc2.com/blog-entry-51.html