ミゼット ウィング
~小さな小さな はね物語~
第7章 時はいつしか
5.初めての歌
どれくらいの時が経ったのか。
時計を持っていない私は分からないが、きっと短い間なんだろう。
急に、中庭が騒がしくなった。
たくさんの声と、綺麗な澄んだ歌声。
アイドル部の誰かだなーとぼんやり思った。
「あ、静かになった…。」
私がそう呟くと同時に、後ろから誰か歩いてくる。
ドルチェか、心配した先生だと思っていた。
「フルート。」
ほらね。
―――って、ちがう!?
慌てて振り向くと、なんとそこにいたのは…。
「ベルさん!?」
「ベル、よ。そう呼んで。」
何事もなかったかのように、私がもたれかかっていた木に寄りかかる。
ちょうど背中合わせみたいになった。
「あの。」
「ん?」
「さっきは生意気なこと言ってすみませんでした。」
「別にいいわ。気にしてないし。」
1本の木をはさんで聞こえるベルの声。
耳に心地よかった。
「でも、ドルチェには謝りなさい。」
「はい。」
深く反省する。
一番の親友に、何てこと言っちゃったんだろう…。
「そうだ。」
「え?」
「私、歌を作ったの。さっき広場で歌ってたんだけど、あなた来なかったでしょ?」
「ああ…あの歌、ベルさんのか…。」
「ベル、だってば。」
「あ、ごめん。」
つい友達口調になる。
でもベルは「それでいいの」と笑う。
ま、いっかと思うのだ。
「だから、今、聞いてもらえる?」
「え?」
ベルははにかんだように笑った。
Written by ふーちん
~小さな小さな はね物語~
第7章 時はいつしか
5.初めての歌
どれくらいの時が経ったのか。
時計を持っていない私は分からないが、きっと短い間なんだろう。
急に、中庭が騒がしくなった。
たくさんの声と、綺麗な澄んだ歌声。
アイドル部の誰かだなーとぼんやり思った。
「あ、静かになった…。」
私がそう呟くと同時に、後ろから誰か歩いてくる。
ドルチェか、心配した先生だと思っていた。
「フルート。」
ほらね。
―――って、ちがう!?
慌てて振り向くと、なんとそこにいたのは…。
「ベルさん!?」
「ベル、よ。そう呼んで。」
何事もなかったかのように、私がもたれかかっていた木に寄りかかる。
ちょうど背中合わせみたいになった。
「あの。」
「ん?」
「さっきは生意気なこと言ってすみませんでした。」
「別にいいわ。気にしてないし。」
1本の木をはさんで聞こえるベルの声。
耳に心地よかった。
「でも、ドルチェには謝りなさい。」
「はい。」
深く反省する。
一番の親友に、何てこと言っちゃったんだろう…。
「そうだ。」
「え?」
「私、歌を作ったの。さっき広場で歌ってたんだけど、あなた来なかったでしょ?」
「ああ…あの歌、ベルさんのか…。」
「ベル、だってば。」
「あ、ごめん。」
つい友達口調になる。
でもベルは「それでいいの」と笑う。
ま、いっかと思うのだ。
「だから、今、聞いてもらえる?」
「え?」
ベルははにかんだように笑った。
Written by ふーちん