goo blog サービス終了のお知らせ 

I~これが私~

風の吹くまま,気の向くまま,ありのままの自分で。

『ミゼット ウィング』第7章-6

2011-02-26 17:42:14 | 小説『ミゼット ウィング』
ミゼット ウィング
 ~小さな小さな はね物語~


第7章 時はいつしか

6.集合写真

「とまあ、そういうこと。」
フルートが語り終えると、その場にいた悪魔6人は息をついた。
今のベルと、フルートが話したベルとではかなり違う。
「なんでベルさん、そんなに違うんですか?」
「んー、たぶんね。たぶんだけどいい?」
「え、はい。だって、本人に聞けませんし。」
「ま、ね。たぶん、君たちに会ったからじゃないの?」
フルートの言葉に6人は首を傾げる。
「なんでですか?」
「あと、ビオラのこともあるんじゃない?」
今度はシェンが言う。
ビオラはさっきの過去話のあとに入部したらしい。
「あー、あるかもね、それは。」
「彼女、意外ないじりキャラだもんね。」
「その、いじりキャラって、どっちのイジリですか。」
「もちろん、仕掛ける方。」
もちろんなのか…とフラットは絶句する。
他の5人も同じようだ。
――いや、レストは平然とした顔をしている。
「だから、カーテン裏の部長を考えたのもビオラだよ。部長の仕事を知らないベルに、ちゃんとだか分かんないけど教えてたから。」
「えっ!ってことは、ベルさんいじられてたんですか!?」
「そーだよ。って、知らなかったの?」
こわい。
ビオラをおとなしそうで頼りやすい人だと思っていたフラットとラートは想像して寒気がした。
あまり頼りすぎない方がいいっぽい。
「そのおかげでベルもいじりキャラになったし。ポジティブになったんだよ。」
時間は人を変える、と何かの本に書いていたのを、フラットは思い出した。
確かにその通りなのだろう。

「悪かったわね。いじりキャラになっちゃって。」
「あれ。」
「うひょー!」
聞き覚えがある声。
ちょうど噂(?)をしていたベルだった。
後ろにはビオラとドルチェがいる。
「あ、全員揃ったことだし、写真取りませんか?」
シャープが提案する。
みんな「もちろん!」と頷いた。
「じゃ、シェンさんは写真取ってね。」
「えー!冷たいなぁ…。こういうのは写真部だろ?」
みんなで取った集合写真には、笑顔のベルが写っている。
この笑顔が、いつまでも消えませんように。
――フラットは、心からそう願った。


Written by ふーちん


最新の画像もっと見る