死神
4.死神の決心
<1>
「ルリ!?本当?」
ルカが涙に濡れた顔を上げた。
思わず顔をしかめる。
「もう、ルカってば。涙ぬぐって鼻かんで。みっともない…。」
「それはそうだけどっ!本当に?できるの?」
「ここまで来たら、やるっきゃないよ!」
私は笑った。
さっきまでの怒りはどこかに消え去り、清々しい気持ちになっている。
「急に、大人っぽくなったわねぇ…。」
後ろから楓さんの穏やかな声が。
私はその場に脱力した。
「急に、はつけないでくださいよぉ~。」
「本当の事じゃない。」
ルカの茶々が入った。
わざと怒ったフリをする。」
「ひっどーい!私はもう17才だよ!?」
「私から見たら若いっ!」
「楓さんまで…。」
そこまで言って、3人は顔を見合わせた。
もうこれで、楓さんと話すのは最後だから、思いっきり笑い合うんだ。
悔いが残らないように。
いい思い出が、少しでも増えるように。
私達3人は、気が済むまで冗談を言い合った。
ひとしきり笑った後、楓さんが寂しそうな顔をした。
「もう、いいですか?」
空は赤くなり始めている。
「そうね――辛いかもしれないけど、がんばって。」
こんな時でも、楓さんは私やルカのことを考えてくれていた。
驚きで、目をみはる。
「楓さんったら…。涙出てくるじゃないですか…!」
しずくが目からこぼれた。
隣にきたルカの目も潤んでいる。
楓さんも笑って、泣いた。
「じゃあ、切りますよ…。」
本当はやりたくない。
こんな1週間ほどの日々で、私達は分かり合い、一緒に笑った。
それなのに――魂の糸を切らなくちゃいけないんだ。
「楓さん…。切り、ます…!」
プツッと小さな音がして、糸が切れた。
「ルリちゃん、ルカちゃん。あなた達に会えて、良かったわ…。」
その言葉が、最後だった。
楓さんの顔は、眠るように安らかだ。
世界の生きている人に、伝えたい。
魂の糸は、もろく、切れやすい。
少し力を入れただけで、切れてしまったのだから。
だから――だから、今この一瞬をしっかりと生きて。
人は、いつ死んでしまうか分からないから。
悔いを残さぬように、しっかりと、生きて。
written by ふーちん
4.死神の決心
<1>
「ルリ!?本当?」
ルカが涙に濡れた顔を上げた。
思わず顔をしかめる。
「もう、ルカってば。涙ぬぐって鼻かんで。みっともない…。」
「それはそうだけどっ!本当に?できるの?」
「ここまで来たら、やるっきゃないよ!」
私は笑った。
さっきまでの怒りはどこかに消え去り、清々しい気持ちになっている。
「急に、大人っぽくなったわねぇ…。」
後ろから楓さんの穏やかな声が。
私はその場に脱力した。
「急に、はつけないでくださいよぉ~。」
「本当の事じゃない。」
ルカの茶々が入った。
わざと怒ったフリをする。」
「ひっどーい!私はもう17才だよ!?」
「私から見たら若いっ!」
「楓さんまで…。」
そこまで言って、3人は顔を見合わせた。
もうこれで、楓さんと話すのは最後だから、思いっきり笑い合うんだ。
悔いが残らないように。
いい思い出が、少しでも増えるように。
私達3人は、気が済むまで冗談を言い合った。
ひとしきり笑った後、楓さんが寂しそうな顔をした。
「もう、いいですか?」
空は赤くなり始めている。
「そうね――辛いかもしれないけど、がんばって。」
こんな時でも、楓さんは私やルカのことを考えてくれていた。
驚きで、目をみはる。
「楓さんったら…。涙出てくるじゃないですか…!」
しずくが目からこぼれた。
隣にきたルカの目も潤んでいる。
楓さんも笑って、泣いた。
「じゃあ、切りますよ…。」
本当はやりたくない。
こんな1週間ほどの日々で、私達は分かり合い、一緒に笑った。
それなのに――魂の糸を切らなくちゃいけないんだ。
「楓さん…。切り、ます…!」
プツッと小さな音がして、糸が切れた。
「ルリちゃん、ルカちゃん。あなた達に会えて、良かったわ…。」
その言葉が、最後だった。
楓さんの顔は、眠るように安らかだ。
世界の生きている人に、伝えたい。
魂の糸は、もろく、切れやすい。
少し力を入れただけで、切れてしまったのだから。
だから――だから、今この一瞬をしっかりと生きて。
人は、いつ死んでしまうか分からないから。
悔いを残さぬように、しっかりと、生きて。
written by ふーちん