死神
4.死神の決心
<2>
「ルリ、起きてってば!」
「…へ?」
目の前には、ルカの呆れ顔があった。
どういうことだろ?
確か私は楓さんの魂の糸を切った。
で、何で私は寝ていたのだろうか。
「あんた、力使いすぎたんだか知らないけど、倒れたのよ。まったく、体弱いんだから。」
「弱くないはずだよ!てか力って何?」
「…そのうち説明する。」
「えぇ~?」
めんどくさいのか、ため息をついたルカ。
私は首をかしげ、気付いた。
「おなか空いた…。」
そういや、朝も食べていない。
昨日ルカがコンビニで買ってきた物も、ごちゃごちゃでさっぱり手をつけていないし。
「ルカ~♪朝ご飯は?」
「ん?買ってないけど?」
間。
「え!?昨日コンビニ行ってたじゃん!」
「あ~あれはさ、最新式のクルトガっていうシャーペン買ったら、おにぎり買う予算が消えた。」
「消えた!?いや、どう考えても使ったんじゃん!」
「えぇそーですよ!昨日のあの時間は深夜2時!ATMも閉まってたの!」
開き直った。
完全に開き直った…。
「じゃ、昼ご飯もかねて買いに行く?」
「…そだね。」
私は空き部屋(実はアパートの空き部屋にいた!)の入り口に向かって一歩進めた。
その後に続いてくるはずのルカが、なぜか黙って動かない。
「ル、ルカ?」
「ごめん。」
「は?」
「魂の、糸のこと…。」
正直、私はまたか、と思った。
別に私は怒ってもいないし、恨んでるわけでもない。
「逆に、謎が分かってすっきりしたんだけど…?」
「…ほんと?」
「嘘ついて何になるのさ。」
私は笑った。
ルカが思い悩んだことは、私にとって何でもなかった。
「もしかして『私は生きたかった』発言で傷つけちゃった?」
少し待った後、ルカはこくりと頷く。
悪いこと言っちゃったなぁ~と、私は今さらながら思った。
「平気だよ。――って、私が平気でも意味ないか。あの時は、家族のことも考えてなかったし、あのまま生きてたら逆に苦しんでたかもしれないしね。」
私は言葉を切って、ルカを抱きしめた。
いろんな気持ちを込めて。
「だから、ありがと。今は感謝してるから。」
「ほんと?」
「だから、嘘言ってどーすんの。」
気休めでないことが分かったようだ。
私は腕からルカを解放し、照れたように笑った。
「とにかく、朝ご飯!早くしないと、おやつになっちゃう。」
もう2時になりそうだ。
ルカは時計を確かめると、足取りも軽く部屋を出て行った。
私もニヤつきそうな顔に力を入れ、普通の笑顔を作る。
ルカの急かす声を聞きながら、私はアパートの壁をすり抜けた。
written by ふーちん
4.死神の決心
<2>
「ルリ、起きてってば!」
「…へ?」
目の前には、ルカの呆れ顔があった。
どういうことだろ?
確か私は楓さんの魂の糸を切った。
で、何で私は寝ていたのだろうか。
「あんた、力使いすぎたんだか知らないけど、倒れたのよ。まったく、体弱いんだから。」
「弱くないはずだよ!てか力って何?」
「…そのうち説明する。」
「えぇ~?」
めんどくさいのか、ため息をついたルカ。
私は首をかしげ、気付いた。
「おなか空いた…。」
そういや、朝も食べていない。
昨日ルカがコンビニで買ってきた物も、ごちゃごちゃでさっぱり手をつけていないし。
「ルカ~♪朝ご飯は?」
「ん?買ってないけど?」
間。
「え!?昨日コンビニ行ってたじゃん!」
「あ~あれはさ、最新式のクルトガっていうシャーペン買ったら、おにぎり買う予算が消えた。」
「消えた!?いや、どう考えても使ったんじゃん!」
「えぇそーですよ!昨日のあの時間は深夜2時!ATMも閉まってたの!」
開き直った。
完全に開き直った…。
「じゃ、昼ご飯もかねて買いに行く?」
「…そだね。」
私は空き部屋(実はアパートの空き部屋にいた!)の入り口に向かって一歩進めた。
その後に続いてくるはずのルカが、なぜか黙って動かない。
「ル、ルカ?」
「ごめん。」
「は?」
「魂の、糸のこと…。」
正直、私はまたか、と思った。
別に私は怒ってもいないし、恨んでるわけでもない。
「逆に、謎が分かってすっきりしたんだけど…?」
「…ほんと?」
「嘘ついて何になるのさ。」
私は笑った。
ルカが思い悩んだことは、私にとって何でもなかった。
「もしかして『私は生きたかった』発言で傷つけちゃった?」
少し待った後、ルカはこくりと頷く。
悪いこと言っちゃったなぁ~と、私は今さらながら思った。
「平気だよ。――って、私が平気でも意味ないか。あの時は、家族のことも考えてなかったし、あのまま生きてたら逆に苦しんでたかもしれないしね。」
私は言葉を切って、ルカを抱きしめた。
いろんな気持ちを込めて。
「だから、ありがと。今は感謝してるから。」
「ほんと?」
「だから、嘘言ってどーすんの。」
気休めでないことが分かったようだ。
私は腕からルカを解放し、照れたように笑った。
「とにかく、朝ご飯!早くしないと、おやつになっちゃう。」
もう2時になりそうだ。
ルカは時計を確かめると、足取りも軽く部屋を出て行った。
私もニヤつきそうな顔に力を入れ、普通の笑顔を作る。
ルカの急かす声を聞きながら、私はアパートの壁をすり抜けた。
written by ふーちん